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17件
じい散歩
著者 藤野千夜(著)
明石家は夫婦あわせて、もうすぐ180歳。一家の主、新平は散歩が趣味の健啖家。妻はそんな夫の浮気をしつこく疑っている。長男は高校中退後、ずっと引きこもり。次男は自称・長女のしっかり者。末っ子は事業に失敗して借金まみれ。……いろいろあるけど、「家族」である日々は続いてゆく。飄々としたユーモアと温かさがじんわりと胸に響く、現代家族小説の傑作!
じい散歩 妻の反乱
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じい散歩 1
2022/12/08 17:51
おかしな家族だけれど、彼らはおかしいと思っていない
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
先日読んだ藤野千夜さんさんの『団地のふたり』の載っていた
著者の簡単なプロフィールで
2020年に出た『じい散歩』が話題になったとあったので
読んでみた。
というのも、『団地のふたり』の読後感が気に入ったというのもあって、
藤野千夜さんの作品をまた読んでみたいと
思ったせいでもある。
『団地のふたり』の心地よさは
50歳になって独身の二人の同級生が
そういう生き方をとても楽しんでいることのそれといっていい。
しかも、彼女たちだけでなく、親たちも自然に受け止めているのも素敵で
こんなところに人間の本来のありかたが現れるのだろうと思った。
『じい散歩』は、『団地のふたり』よりも
もっと驚く家族小説だ。
主人公は89歳になる新平。健康維持につとめ、散歩が日課で、
ふらりと建物を見たり、喫茶店でお茶したりしている。
若い頃の浮気癖はなくなったが、まだエロには興味がある。
妻の英子は88歳。やや認知症が出てきたようで、
新平の浮気を今でもしきりに疑っている。
彼らには三人の息子がいて、みんな50歳をすぎたあたり。
ところが、長男は引きこもり、次男は自称「長女」、三男は借金まみれ。
と、かなりおかしい家族だ。
そんな家族のどうということのない、あるいは結構波乱にとんだ、日常が
新平の散歩の姿とともに描かれている。
おかしい家族であるはずなのに、
この家族のなんというおおらかなことか。
世間を気にすることなく、世間を見て歩く、その姿に
やっぱりこの作品にも、人間の本来のありかたが
見えるようであった。
じい散歩 1
2021/02/15 11:00
その時まで日々、人生謳歌!
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BenchAndBook - この投稿者のレビュー一覧を見る
おかしみと悲しみ、シリアスとユーモア
そして決める時と優柔不断な時、これらが絶妙に混在し、読んでいて飽きない。
また特別に大望を抱いた人生の流れを記したものではなく、ただその場その場で一生懸命やってきたらこういう人生だった。つまり誰にでもある、起こり得る出来事の書かれ方が魅力があるのだと思う。
読んでいて自分にも似たような出来事があり、親近感も持てた。
富子的存在は無かったが、妻はどう思っているか?(笑)
最後の終わり方は、
家族を突き放したというより、
人生は自分のものである。
妻と息子たちは自分の関与と心配とはべつにそれぞれが選択する人生を歩むことを信じ、自分はもっと更に、これからの人生を楽しんで行こうとの宣言に思えた。
ただ、これまでがそうであった様にどこまで家族に知らん顔と突き放しができるかは、限りなく懐疑的だが。新平は基本、優しい人間と思う。
私は現在72歳、毎日ウォーキングを兼ねた散歩をしているが、楽しみ方の選択肢が増えた。
またこれからの日々の過ごし方として、大いに参考になった。
有難うございます。
蛇足ですが、これをドラマかするとしたら、次のキャスティングがバッチリと1人悦にいってます。
新平ー橋爪功 英子ー高畑淳子. 孝一ー今田耕司 健二ーミッツマングローブ
雄三ー竹山隆範
じい散歩 2 妻の反乱
2024/06/05 10:18
現代家族の小説2
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トマト - この投稿者のレビュー一覧を見る
前回の「じい散歩」の2巻目ですが、目次を見ると皆「妻」の文字が入っている。妻に何か起きる予感をさせる始まりです。相変わらず、頼りになるのは自称長女の次男だけ。それでも地球は回っているし、メチャクチャ家族でも生活している。楽しんだが勝ち。