- みんなの評価
5件
不機嫌な果実
著者 林真理子 (著)
「……クローゼットの中から極上の下着を選び出した時から、麻也子の不倫は始まっているのである。レースや絹に触れながら、麻也子は超能力者のように、今夜ベッドの中で行なわれるだろうことを予想する」。結婚6年目、夫の拒絶にささやかな復讐心をおぼえたヒロインは慎重な冒険──昔の男と逢う──に踏みだす。男女の虚実を醒めた視線で描き、反響を呼んだ話題作。石田ゆり子(TVドラマ)、南果歩(映画)主演の映像化も大ヒットした恋愛譚の新機軸。
不機嫌な果実
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
不機嫌な果実
2002/07/27 04:52
「そうくるか!」の結末が良い。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:絢子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
はあ。今思い返すと何だったのか、あの日本あげての不倫ブーム。その発端を担ったのが、「失楽園」であり「不機嫌な果実」だった。当時10代だった私は、それだけ話題になるなら読んでおきたい、と思いつつも、読んでいるところを他人に見られたらかなり恥ずかしいんじゃないか、などと本気で考える純情さでもって、あの不倫ブームを乗り切った(と言うほど大げさなものではないが、まあ当時の心情としては)。
両方とも映画化されたりドラマ化されたり。私は「失楽園」の映画のほうはビデオで見たのだが、疲れきった中年の自分勝手な恋愛はいくら綺麗に描いてもなんの感動も起こさないように思った。なんと男性本位の恋愛よ、とも思った。「不機嫌な果実」はコメディタッチだと言うことを聞いて、ならばやはり読んでおこう、と手にとった。もう恥ずかしがってるような年でもないし。
夫とのセックスに満足できないからと、安全圏の昔の男と関係を再開してしまうだなんて、私には到底理解できなかったけれども、「付き合う男のレベルは下げられないわ」と言う心意気には共感できるところがあった。途中から若い音楽評論家が絡んできて、話は一気に面白くなる。私としては、どんでん返しのそれまたどんでん返しのラストという感じで意外な結末に思わず笑ってしまったのだが。変化を求める前に、今出来る努力を見つけよう、などと珍しく教訓めいたものまで感じてしまった。
ヒロインが何度か呟く「私って本当はついていない人間なんじゃないだろうか」という台詞も、読んでいるときには「何と甘ったれたことを」と眉をひそめたりしたのだが、つい最近これと全く同じ台詞を呟いている自分に気付いて思わず苦笑いしてしまった。「不倫小説」という枠を越えて女性が共鳴しやすい本だと思う。「不倫肯定派・否定派」なんてことをおいといて。
不機嫌な果実
2021/06/04 20:18
不倫
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
映像化もされて、けっこう話題になっていました。林真理子さんはエッセイを良く読むのですが、小説の方も結末が驚きで読み応えがありました。
2018/01/20 00:04
ドラマチックな展開とヒロインの心情描写が興味深い
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
結婚6年目、夫の拒絶にささやかな復讐心をおぼえたヒロイン・麻也子(32)が不倫に走るというのが大筋ですが、まずは無難な相手として昔関係を持ったことのある妻子持ちの40代の男性と関係を持ち、その関係に慣れてくると、また不満を抱き、その後に出会った相手にはどうやら本気で恋をして、ついに離婚してその相手と結婚することになるというドラマ展開に驚きつつもどうなるのかドキドキし、彼女の思考や感じ方の詳しい描写に納得したり違和感を感じたり。そして結末は、意外のようでもあり、麻也子のキャラならそれも「あり」かなと思ったり。なんだか彼女の今後が心配になるラストでしたね。