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14件
かばん屋の相続
著者 池井戸潤
働く男たちの愛憎、葛藤を描いた文春文庫オリジナル短編集。池上信用金庫に勤める小倉太郎。その取引先「松田かばん」の社長が急逝した。残された二人の兄弟。会社を手伝っていた次男に生前、「相続を放棄しろ」と語り、遺言には会社の株全てを大手銀行に勤めていた長男に譲ると書かれていた。乗り込んできた長男と対峙する小倉太郎。父の想いはどこに? 表題作他、五編収録。
かばん屋の相続
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かばん屋の相続
2015/09/24 12:21
ドラマ「花咲舞が黙ってない!」を見て
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:東野ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
読みたくなりました。
短編でどれも読みやすいです。花咲舞と相馬健のコンビは出てきませんが、
今まで銀行小説を読んだことが無かったので、銀行の仕組みや銀行という組織についてもわかりやすくてフィクションでありながらも、元銀行員である作者の描写に信ぴょう性があり面白かったです。
今まで男性作家は東野圭吾さんばかりを読んでいましたが、最近池井戸さん原作のドラマが毎期テレビで放映されていて、これからも他の小説も読んでみたくなりました。
かばん屋の相続
2021/11/10 11:24
金融機関にかかわる人物描写が見事である
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
元銀行員であった池井戸潤の銀行に関する小説である。6編の短編からなる短編小説集である。本書を構成するこの6編の短編小説は、いずれも主人公が銀行勤めの若手の銀行員という設定である。
しかし、銀行員と言っても随分多様である。その銀行員として様々な業務を担当する若手の活躍と悩みを表現した小説である。といえば、池井戸も元銀行員である。おそらく自分の銀行員時代を振り返って、読者が興味を持ちそうなエピソードを小説化したものと想像できる。
今や銀行は構造不況業種に成り下がっているが、元銀行員の作家は結構大勢いることに気が付く。池井戸潤、江上剛、江波戸哲夫など上げればキリがない。しかし、池井戸の作品は他の作家とは一線を画している。
本書では銀行、金融機関に関するストーリーのいわばアンソロジーであるが、どれも相当な水準に達している。決してアンソロジー、オムニバスだからといって手を抜いているとは思えない。その一因を考えてみると、ここに書かれている短編はほぼ池井戸本人が銀行員時代に経験した話であろうと想像できる。
したがって、実にリアルなのである。加えて、登場人物の描写が巧みであるし、ストーリー全体に銀行員、融資先などの立場の異なる人々の生活の描き方が見事である。半沢直樹でもそうであったが、単に上記のように金融機関特有の事件の表面を描くのではなく、金の使い方や預金者などの個々の事情を表現している。
本書の短編の材料は短編にしてはもったいないくらいで、それぞれが大きなドラマの一部になっていると考えた方が読後の感想全体に納得がいく。
かばん屋の相続
2017/05/27 09:28
池井戸氏の興味深い短編6篇を収録した文庫です!
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、今や超売れっ子作家となった池井戸潤氏による短編集です。表題作のほか、5編を収録したなかなか読みごたえのある、面白い作品集となっています。いずれの作品も、銀行に勤める主人公と中小企業、あるいはその家庭がテーマになっており、主人公とその周りの人々との駆け引きが見事に描かれています。一度、読みだすと止まらなくなります。