- みんなの評価
3件
鬼の筆 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折
著者 春日太一
”全身脚本家”驚愕の真実!
『羅生門』、『七人の侍』、『私は貝になりたい』、『白い巨塔』、『日本のいちばん長い日』、『日本沈没』、『砂の器』、『八甲田山』、『八つ墓村』、『幻の湖』など、歴史的傑作、怪作のシナリオを生み出した、日本を代表する脚本家・橋本忍の決定版評伝。
著者が生前に行った十数時間にわたるインタビューと、関係者への取材、創作ノートをはじめ遺族から譲り受けた膨大な資料をもとに、その破天荒な映画人の「真実」に迫る。
目次
序 鬼の詩
一 山の章
二 藪の章 『羅生門』
三 明の章 『生きる』『七人の侍』
四 離の章 『蜘蛛巣城』『夜の鼓』『女殺し油地獄』『風林火山』
五 裁の章 『真昼の暗黒』『私は貝になりたい』
六 冴の章 『切腹』『仇討』『侍』『日本のいちばん長い日』『上意討ち』『首』
七 血の章 『張込み』『ゼロの焦点』『人斬り』『黒い画集 あるサラリーマンの証言』『砂の器』
《特別インタビュー》山田洋次の語る、師・橋本忍との日々
八 計の章 『人間革命』
九 雪の章 『八甲田山』
十 犬の章 『八つ墓村』『幻の湖』
十一 鬼の章 『愛の陽炎』『旅路 村でいちばんの首吊りの木』『鉄砲とキリスト』『天武の夢』
橋本忍 脚本映画一覧
鬼の筆 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
鬼の筆 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折
2024/06/03 09:16
それにしてもの「幻の湖」
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
今、春日太一氏の467ページにわたる力作、シナリオライター・橋本忍氏の評伝、力作「鬼の筆」を読了した、私はこの評伝を読む前から「羅宗門」「七人の侍」「日本沈没」「砂の器」「八つ墓村」「八甲田山」といった邦画史に燦然と輝く脚本を書き続けていた人がどうして「幻の湖」のようなゲテモノ作品を書いたのだろうと不思議で叶わなかった(映画は観ていないが脚本を読んで愕然とした記憶がある、まさしく「北京原人」「シベリア超特急」とならぶ最低映画だと私は断定する)、犬の復讐のために走り続ける女、そんな映画を映画館で見るというのは時間の無駄も甚だしいのだ、「砂の器」の親子の旅を書けた人が、なぜにマラソン女なのだと、著者がいうとおりそれは加齢によるものだろう、剛腕で作品を作り上げてきた人は劣化する時にはこうなるのか
鬼の筆 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折
2024/04/19 07:08
あなたはどの映画が好きですか
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
橋本忍。
戦後の日本映画を牽引した脚本家。
彼の名を一躍高めたのは、おそらく1974年公開の「砂の器」(野村芳太郎監督)だろう。
もっとも映画に深く関心のある人なら、「張込み」(1958年)や「切腹」(1962年)、
さらにはTV草創期の名作ドラマ「私は貝になりたい」の脚本も知るところだろう。
いやいや、橋本のデビュー作はあの黒澤明監督の「羅生門」(1950年)とくれば、
橋本忍という脚本家がどれだけすごい人だったかわかるはずだ。
橋本は1918年生まれ。亡くなったのは2018年100歳の時。
戦時中に結核を病み、その療養中に独自でシナリオの勉強を始めた。
当時日本一の脚本家として知られた伊丹万作に師事し鍛えられていく。
そんな橋本の人生を、
生前行われたインタビューと関係者への聞き取り、
橋本が残した資料や関係文献を緻密に取材したのが
春日太一さんの『鬼の筆』だ。
取材開始から本の刊行までに12年かかったというから、
労作というしかない。
そして、労作だけあって、読み応え十分といえる。
橋本作品のファンだけでなく、日本映画に興味のある人にとっては
欠かせない一冊になるだろう。
橋本の代表作といえば「砂の器」であったり「八甲田山」であるのは間違いないが、
橋本のフィルモグラフィを見ると、この2つの作品は後期に分類される。
そのあと、彼は駄作を連発していく。
この本の副題で使われている「栄光と挫折」はそのことを差している。
だからといって、橋本が残した名作の光は日本映画史から消えることはない。
そういえば、筆者の春日太一さんの肩書は「映画史研究家」でもある。
鬼の筆 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折
2024/04/13 23:04
戦後最大の脚本家
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hiroyuki - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦後の日本映画界にこの人が果たした功績は計り知れない。「羅生門」に始まる黒澤明監督作品はもとより、ベストテン級の名作には必ず脚本橋本忍とクレジットされていた。学生時代シナリオの勉強を少ししたことがあるのだが、そのテキストには橋本忍脚本はうってつけ。シナリオの構成力でこの人の右に出る者はいないだろう。昭和30~40年代が全盛期だと思うが、それだけに自分も「幻の湖」には公開当時唖然としたひとりだ。そのいきさつはこの本を読んで分かったが、いまやカルトムービーとなってブルーレイ化されるのだから、泉下の橋本忍氏は喜んでいるだろうか。