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5件
差別感情の哲学
著者 中島義道
差別とはいかなる人間的事態なのか? 他者に対する否定的感情(不快・嫌悪・軽蔑・恐怖)とその裏返しとしての自己に対する肯定的感情(誇り・自尊心・帰属意識・向上心)、そして「誠実性」の危うさの考察で解明される差別感情の本質。自分や帰属集団を誇り優越感に浸るわれらのうちに蠢く感情を抉り出し、「自己批判精神」と「繊細な精神」をもって戦い続けることを訴える、哲学者の挑戦。
差別感情の哲学
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差別感情の哲学
2020/03/09 09:49
差別意識はどうして起こるのかを考察した哲学的書です!
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、人間であれば誰しも抱く「差別感情」について哲学的に考察した興味深い一冊です。同書では、差別感情というものがどういう気持ちから生じるのかを検証し、他者に対する否定的感情なのか、それとも自己に対する肯定的感情なのか、といったことを考えていきます。同書の内容構成も、「序 章 何が問題なのか」、「第1章 他人に対する否定的感情」、「第2章 自分に対する肯定的感情」、「第3章 差別感情と誠実性」、「終 章 どうすればいいのか」といったテーマからなっており、ぜひとも一度は読んでおきたい書です!
差別感情の哲学
2018/06/19 07:34
差別という負の感情の根源へ
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:病身の孤独な読者 - この投稿者のレビュー一覧を見る
感情と言えば今や「心理学」や「神経科学」の専売特許のようなイメージがあるが、両者とも問題点を抱えている。その中で、哲学が感情を研究することは重要性が高いと思われる。本書では、過去の差別発言やヘイトスピーチの内容を基に差別感情についてその根源を考察している。感情の研究を思索の観点から掘り起こす。
2022/06/11 18:48
生きづらさ
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:H2A - この投稿者のレビュー一覧を見る
この著者は数冊読んできたが、そのスタンスの妥協なさ、融通の利かなさ、不器用さにははっきり閉口する。その著作はおもしろい。この「差別」という始末に負えないものも善悪ではなく不可避なものとして捉えている。その根は深く、人間の社会動物としての負の側面だけでなくもっとも高い部分にまで及ぶから、その根絶などたやすく考えるなと喝破するようだ。前半に比べて結論は尻すぼみな感もあるが、そこは著者の誠実な側面でもあるので気にはしない。切り込みが鋭くよみごたえあり。ちょっと覚悟は必要。