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7件
新装版 頼子のために
著者 法月綸太郎
「頼子が死んだ」。十七歳の愛娘を殺された父親は、通り魔事件で片づけようとする警察に疑念を抱き、ひそかに犯人をつきとめて刺殺、自らは死を選ぶ――という手記を残していた。しかし、手記を読んだ名探偵法月綸太郎が真相解明に乗り出すと、驚愕の展開が。著者の転機となった記念碑的作品。長く心に残る傑作!
新装版 頼子のために
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頼子のために 新装版
2017/12/30 04:50
懐かしい・・・
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
懐かしさのあまり、ついすぐに手に取ってしまって、すぐに読み終わってしまった。
娘の頼子が死んだ、で始まる父親・西村氏の手記と、その手記を読むことになった名探偵法月綸太郎。西村氏の思いを読み解く法月綸太郎は、とても悲しい事件の真相に辿り着く・・・という話。
いろいろ説明するとネタバレになりそうなので、こんなもんで。
当時の新本格ムーブメントの中で、私がいちばん好きだったのが法月綸太郎だった。その目で見ても、『雪密室』・『誰彼』と比べて文章はぐっと上達していると思う。でもそのあと、あまり書かない人になってしまったのには一抹の寂しさが。
日本の話なのだけど、なんとなく海外ミステリに通じる空気感がある。昔読んだとき、あまりの後味の悪さにしばらく立ち直れなかったものだが、今回は全然平気だった。私も図太くなったのか、もっと後味の悪い作品を多く読んできたからか・・・。
それでも、最後の名探偵法月綸太郎の選択は、探偵としても作者としても「若かったんだねぇ・・・」と思わせる。40代、いや30代半ばくらいだったら、多分違う方法をとったのではないかしら。
今回改めて読んでみて・・・実は綸太郎はかなり早い段階で真相を見抜いていたのでは、と気づいた。ただ、それを認めたくないとか、どう扱うべきなのか迷いが出たから、うろうろと悩んで「「ふがいない名探偵」という立場に甘んじていたのではないか。
そう思うのは、自分も年を取ったからかなぁ。
懐かしさが加速して、『一の悲劇』とかも読み返したくなってしまったじゃないか。
2022/01/16 00:19
苦悩する名探偵三部作の始まり
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アントネスト - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者と同名の名探偵・法月綸太郎シリーズ第三長編。
著者の方向性を決した、出世作にして問題作です。
愛娘を殺した男を殺害した後、自殺したが、死にきれず昏睡状態にある男。彼の推測通り、殺された男は頼子殺しの真犯人なのか? スキャンダル避けとして雇用される名探偵という、実に現代的な役回りで事件にかかわることになる綸太郎は、錯綜する真実に分け入り、いばらの道を歩むことに・・・・・・
著者が評論で提示した後期クイーン問題に実作で取り組んだ三部作の一冊目。
「探偵の推理の真正をどう担保するか(できるのか)?」「探偵と裁きの問題」といった問題は、現代ではこだわる必要がないとの意見が大勢を占めそうですが、私は好きです。何よりこの時期の著者の苦悩と取り組みが、本格ミステリーの発展に寄与したものは決して小さくはないはずです。
法月綸太郎の苦悩の道行きは『一の悲劇』『ふたたび赤い悪夢』へと続きます。
2021/11/21 17:05
確かに驚愕
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちーかま - この投稿者のレビュー一覧を見る
初めて読んだ法月ミステリーがこれ。何というかただただ衝撃的というか…気持ちが最初と最後でこんな変わってしまう小説は初めてでした。