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執権 北条氏と鎌倉幕府
著者 細川 重男
北条氏はなぜ将軍にならなかったのか。なぜ鎌倉武士たちはあれほどに抗争を繰り返したのか。執権政治、得宗専制を成立せしめた論理と政治構造とは。承久の乱を制し、執権への権力集中を成し遂げた義時と、蒙古侵略による危機の中、得宗による独裁体制を築いた時宗。この二人を軸にして、これまでになく明快に鎌倉幕府の政治史を見通す画期的論考!【本書より】・鎌倉北条氏は、そもそもどのような家であったのか。・「得宗」とは、いったいどういう意味なのか。・これは事実自体がほとんど知られていないが、鎌倉将軍には実は四人目の源氏将軍が存在した。第七代将軍源惟康がその人である。鎌倉幕府が空前の強敵蒙古帝国と対峙したこの時期、なぜ鎌倉幕府は源氏の将軍を戴いていたのであろうか。―これらの問題を追究するためには、どのような方法が有効なのであろうか。まず、鎌倉幕府の通史や北条氏歴代の伝記を書くつもりはない。なぜならば、この本は北条氏という「一族の物語」ではなく、「一族の物語」の底を流れる「基調低音」を書くことが目的だと思うからである。表面的に幕府や北条氏の歴史をなぞっても、我々が求める答には辿り着けないはずである。そこで私は鎌倉北条氏歴代のなかからキー・マンとして二人の「執権」を選んだ。承久の乱で仲恭天皇を廃位し後鳥羽・土御門・順徳の三上皇を配流(流刑)した「究極の朝敵」、第二代執権北条義時と、蒙古帝国の侵略を撃退した「救国の英雄」第八代執権、北条時宗である。世間一般の評価に極端な隔りのあるこの高祖父(ひいひいおじいさん)と玄孫(ひいひいまご)の人生に注目することにより、答に迫りたいと考える。この試みが成功し、見事、解答に至れるかどうかは、わからない。「とりあえず付き合ってやるか?」と思った読者と共に旅に出るとしよう。【本書の内容】はじめに―素朴な疑問 第一章 北条氏という家 二章 江間小四郎義時の軌跡―伝説が意味するもの 第三章 相模太郎時宗の自画像―内戦が意味するもの 第四章 辺境の独裁者―四人目の源氏将軍が意味するもの 第五章 カリスマ去って後 おわりに―胎蔵せしもの
執権 北条氏と鎌倉幕府
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執権 北条氏と鎌倉幕府
2020/02/27 11:19
鎌倉時代に権力をもった北条氏の政治論理から鎌倉幕府の政治史を再考した画期的な一冊です!
5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、北条義時と北条得宗という鎌倉幕府を支えた二人を中心にして、当時の政治史を再考した画期的な歴史書です。北条氏は鎌倉時代に非常に権力をもった一族でしたが、決して将軍にはなりませんでした。その代わり執権政治という体制を敷き、独特の政治を行いました。ここには北条氏ならではの政治論j理があったと考えれます。同書は、この北条氏の政治について詳細に、しかし分かり易く解説した一冊です。内容構成も、北条氏の政治的特徴がよくわかるように、「はじめに 素朴な疑問」、「第1章 北条氏という家」、「第2章 江間小四郎義時の軌跡―伝説が意味するもの」、「第3章 相模太郎時宗の自画像―内戦が意味するもの」、「第4章 辺境の独裁者―四人目の源氏将軍が意味するもの」、「第5章 カリスマ去って後」、「おわりに 胎蔵せしもの」となっており、とっても興味深い読み物です。歴史好きの方にはたまりません!
2021/09/11 15:51
鎌倉幕府と北条の実態に迫る
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ワシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本邦初の幕府にして武家政権の鎌倉幕府。実態はともかく、教科書に載っている通り誰もが知る名前だと思う。頼朝公自身も、北条の後ろ盾なしには流人で生涯を終えていたのだから世の中は分からない。
北条の来歴は記録がなく分からない部分も多いという事くらいしか知らないが、五月人形や兜飾りのモチーフでは定番だし、「三つ鱗」の家紋も燃料卸のミツウロコや『ゼルダの伝説』シリーズでトライフォースの文様に引用されていて、ある意味で現代まで生きながらえた武家一族と言えるのかも知れない。
時政に始まる九代は「得宗」(とくそう・とくしゅう)と呼ばれるそうだが、実はこの得宗がなにを意味するのかは分からないそうだ。鎌倉幕府についてまわる「門葉」(もんよう)「御家人」「家子」「侍」といった役職・職種にも不明な部分が多いそうで今後の研究や文献の発掘が進む事を期待したい。
「承久の乱」や時宗に権力を集中させた「霜月事件」で、簒奪や下剋上といった血なまぐさいイメージで語られる事も多い北条の一族。しかし、誰が敵で誰が味方かも分かりにくい武士階級の中を駆け抜け、元という外敵との戦いとその後の防備にも時間を割き、執政期間こそ短いが政治的な功績は非常に大きいように思う。
話題として近いところで、五味文彦『中世社会と現代』、清水克行『喧嘩両成敗の誕生』、石井進『中世武士団』、物語だが町田康『ギケイキ』、荻原規子『あまねく神竜住まう国』も挙げておきたい。
執権 北条氏と鎌倉幕府
2021/03/02 17:47
鎌倉幕府の真の統治者は?
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かずさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
鎌倉幕府の歴史を知ろうとするとき、執権・得宗北条氏の存在、役割に疑問を生じることが多い。特に得宗家とは、執権とは。なぜ源家3代の将軍亡き後、将軍がお飾りとはいえ鎌倉幕府が存続できたのか。を考えるとき北条氏は重要なポイントになる。その北条執権、得宗を解説した著作。何故、北条氏は将軍にならなかったのか?との問題
提起から二人の執権・得宗、北条義時と時宗を取り上げている。推論も含め鎌倉時代史を知ろうとするとき役に立つ一冊。