- みんなの評価
4件
いのちがけ 加賀百万石の礎
著者 砂原 浩太朗
前田利家の忠臣・村井長頼が命を懸けて貫いた武士の本分。
加賀藩の祖・前田利家が流浪した若きころから大名になった後まで付き従った、股肱の臣・村井長頼。桶狭間、長篠、賤ヶ岳、……名だたる戦場を駆け抜け、利家の危難を幾度も救う。主君の肩越しに見た、信長、秀吉、家康ら天下人の姿。命懸けでで忠義を貫き通し、百万石の礎を築いた男を端正な文体で魅せる傑作。
『高瀬庄左衛門御留書』で話題の著者、鮮烈デビュー作!
いのちがけ 加賀百万石の礎
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
いのちがけ 加賀百万石の礎
2021/07/27 16:39
目立たないが、しっかり支えています、そんな男の物語
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
受賞には至らなかったが、第165回直木賞の候補作となった『高瀬庄左衛門御留書』が評判の砂原浩太朗さんのデビュー作である。
この作品で、第2回「決戦!小説大賞」を受賞している。
主人公は、副題にあるように「加賀百万石」の礎を築いた前田利家の忠臣・村井長頼。といっても、この時代の信長や秀吉、あるいは家康といった有名な武士でもなく、長頼の主である前田利家ほどにも名は知られていない。
主人公としては地味ではあるが、有名な桶狭間の戦いの前後あたりを描いた表題作の「いのちがけ」から、利家亡きあと家康によって御家の危機に陥った前田家を救う最終話まで、長頼は派手さはないが、こういう家来がいると大きな支えになる。
ちょうど、社長を支える大番頭といったところだろうか。
面白いのは、長頼にはそんな大番頭という風格もあまり感じないところだ。
この作品は長頼を主人公にした長編小説という読み方もできるが、「いのちがけ」が桶狭間の戦いを描いたように、それぞれ各章で長篠の戦、賤ヶ岳の戦い、秀吉による朝鮮出兵といったように、連作短編としても楽しめる。
もちろん、主である利家と従である長頼の、友情にも似た関係という一本の太い糸はゆるぎないし、最初の作品「いのちがけ」で謎かけのように登場する娘が終わり近くに重要な役どころで姿を現すのも、小気味いい。
今回直木賞受賞には至らなかったが、将来が有望な書き手である。
いのちがけ 加賀百万石の礎
2021/07/02 19:18
読後感、ジワッと押し寄せる後味の良さ。お薦め!
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トッツアン - この投稿者のレビュー一覧を見る
桶狭間、本能寺、関ヶ原等の戦の描写がない、省略されているとのアマゾンでのレビューがあった。笑止千万!戦の話なら、そういう小説がある。この小説は、1人の男の生き様とその男を通して見た前田利家の話。カブキ者と実直な男の主従関係が、生き方が鮮烈で鮮やかに描かれている。
文章も良い。怜悧で省略も効いていて、読む側の想像力を掻き立ててくれる。「高瀬庄左衛門」が紛れ(失礼!)でないことは明らか。
藤沢周平や葉室麟の後継者のように言われるが、この人はこの人の素晴らしい世界観がある。それを楽しみたい。
沢山の作品を読みたい反面、徒に多作にならず、質の高い作品を期待し、待っています。
何度でも読みたい!
いのちがけ 加賀百万石の礎
2023/10/03 10:27
前田利家股肱の臣
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
前田利家の股肱の臣・村井長頼を主人公とした歴史時代小説。主人利家の流浪したころから大名となった後まで、まさに「いのちがけ」で付き従った。生きていこうとすれば、不甲斐なきことも呑まねばならないと、主人ともども乱世を生き抜く。武勇や智謀を誇ったわけではないが、加賀藩の礎を築いた重要な人物であったと思う。歴史の中では、脇役であったかもしれないが、その脇役の視点で、三英傑の業績を見つめるのも、よかった。