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農協の闇
著者 窪田 新之助
JAは、「農業協同組合」本来の理念や目的を忘れてしまったのではないか?
共済(保険)事業と信用(銀行)事業に依存し、職員に過大なノルマを課した結果、
いまや多くのJAで「不正販売」と「自爆営業」が蔓延っている。
元「日本農業新聞」記者である著者が、農協を愛するがゆえに書かざるをえなかった、
渾身の告発ルポ!
全国津々浦々に拠点を持ち、1000万人以上の組合員を抱える巨大組織の闇を撃つ。
<本書の内容>
・JA職員が自爆営業を強いられている決定的証拠
・損するだけの共済商品に切り替えを勧める職員たち
・介護状態にならずに死ぬと1円も戻ってこない「介護共済」
・受け取り開始が90歳設定の「年金共済」に意味はあるのか
・高齢者や認知症の人に営業、半ば強引に契約
・ノルマ地獄を逃れるため、職員は続々と転職
・存続のためだけの、理念なき合併に突き進む地域のJA
・権力闘争に明け暮れる経営者たち
・史上稀に見る76億円の巨額損失を計上した「JA秋田おばこ」
・津軽と南部の対立で役員不在となった「JA青森中央会」
・梅農家の苦境を放置し、業者と結託する「JA紀南」「JA紀州」
・組織の論理に搦め捕られた「JA全中」会長
腐敗の構造を徹底取材!
<目次>
第一章 不正販売と自爆営業
1 顧客を食い物にする職員たち
2 不正販売を引き起こす過大なノルマ
3 JAの職員が自爆営業を強いられている決定的証拠
4 自爆の金額は80万~200万円 LA職員の嘆き
5 自爆営業の実態を分析した内部資料
6 共済を悪用して私腹を肥やす職員たち
7 弁護士が断罪「JAの不祥事の元凶は過大なノルマにある」
第二章 金融依存の弊害
1 JA共済連に共済商品を売る資格はあるのか
2 投資信託は「第二の共済」にならないか
3 理念なき合併に突き進むJA秋田中央会
4 「准組合員制度」がもたらす矛盾と弊害
第三章 裏切りの経営者たち
1 史上稀に見る76億円という巨額損失の裏側
2 前代未聞! 津軽と南部の対立で役員不在となったJA青森中央会
3 梅農家の苦境を放置して、加工業者と結託する二つのJA
4 組織の論理に搦め捕られてしまったJA全中会長
第四章 JAはなぜ変われないのか
1 不正を追及しない、なれ合いの組織
2 「身内の監査」は終わったのか
3 なぜJAは民間の保険を扱わないのか
4 経済事業の立て直しとJAのこれから
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農協の闇
2022/10/03 12:10
JA共済の危険さを暴露した、驚異の1冊です。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
まず保険金が確実に降りない商品を進める。社員を大切にせず、生殺しにする企業体質。
JA共済の、企業としてのトンデモ事実を、次々と著者が暴露した、驚異の1冊です。
トンデモ保険商品を買わないためにも、JA共済に入社して生殺しにされないためにも、当書を読んで知識をつけていただきたいです。よくぞここまで暴露したと思います。
農協の闇
2022/09/18 18:30
JA組合・准組合員必読の書
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:つばめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
者はJAグループの日本農業新聞に記者として8年間勤務後退職、現在農業ジャーナリストとして活躍している。本書は1000万人以上の組合員を抱える巨大組織JAの信じ難い実情に迫る告発ルポである。その内容の一部を紹介する。◆JAは職員に過大な販売ノルマを課している。これを達成するために、やむを得ず自ら加入した共済商品の掛け金だけでなく、加入してもらった他人の掛け金まで負担する「自爆」と呼ぶ営業が横行している。自爆金額が年間で350万円以上となる職員もいる。◆JA職員には、JAグループの日刊紙「日本農業新聞」の購読、JAグループの機関紙「家の光」、カタログギフトの販売(契約を取れなければ自爆)などで、年間65万円の負担をしている職員もいるらしい。こうした、厳しいノルマが次のような悪徳商法を招く背景にある。◆ノルマ達成のため、顔なじみの組合員をだまして、組合員に不利益となる共済商品への切替や新規の販売が行われている。例えば、介護共済には「一時払い」と「年・月払い」がある。「一時払い」から「年・月払い」の「全期前納」(一時払いと同様に一括払いであり、支払い金額・時期に違いはない)への切替をすると、被共済者が介護状態になることなく死亡した場合、遺族が受け取る死亡給付金が「一時払い」にはあるのに対して「年・月払い」にはないという巧妙な罠が隠されている。JA職員は、共済商品の切替でノルマ達成の得点となるため、組合員が不利益を被る可能性が高いのを知りつつ、こうした営業が行われている。◆一方で、共済を悪用して私腹を肥やす職員やノルマ・自爆に耐えかねて辞職する職員も多数。
これは、「農協の闇」のあくまで一部である。巨大組織を相手に、農協の不都合な真実を調べあげ上梓された勇気に敬意を表する。少なくともJAの組合員・准組合員の方々にとって、JA悪徳商法の餌食にならないために、必読の書である。
農協の闇
2022/09/13 20:24
農協の理想と現実の乖離を描く
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サンバ - この投稿者のレビュー一覧を見る
農協が本来の姿を見失っていることに警鐘を鳴らした本。
JA共済(いわゆる保険)のノルマ達成のために行われる不正に始まり、和歌山の農協のカルテル(寡占状態を利用した不当な価格操作)疑惑や青森の農協の地域間権力闘争などが描かれる。
原因は人口減少と変わらぬノルマ、大きくなりすぎた組織の前例踏襲主義。農協というよりも、地方の企業・組織の問題でその一例と見るべきと思う。他業種に対しては持ち上げるばかりで、精緻な比較はなかった(かんぽ不正は一言触れる程度)。
あくまで理想との乖離が書かれている。筆者はあくまで「農協をより良くしたい」思いなのだろう。