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3件
ワルイコいねが
著者 安東 みきえ
あの転校生の辻アキトだ。
ジャンパーにジーンズの辻さんは電柱のうしろにかくれるようにして、お寺をじっと見つめていた。
道をへだてたところにいるあたしには気づいていないようすだ。
しんせきの集まりできたのだろうか。いや、それならば同じように黒い服を着るだろうし、かくれてながめる必要はない。
めずらしいのか。
おそうしきや法事といった風習が、前に住んでいた町とはちがっていいて、何かよほどきょうみをひかれるところがあるのだろうか。
まったく周囲に注意をはらっていないほどの真剣さが不思議だった。(本文より)
あらすじーー「うっかり自分の考えを言わないのがせいかいなのだ」と思いつつ、そんな自分を少しみみっちい性格だと思っている美海は、正直になんでも言いすぎて「性格が悪い」とクラスメートから言われている隣のクラスに転校してきた辻アキトと仲良くなる。
アキトは別に悪い子ではなく、少し変わっているだけだと思っていた美海だが、
やがてアキトがお寺だのおそうしきだの、不吉な場所にばかり興味を持ったりお年寄りに厳しい様子を何度か見てしまい胸がざわざわしてくる。
ワルイコいねが
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2024/11/27 00:12
意外性のあるYA
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
思った事を言わずに空気ばかり読む美海と、思いのままに振る舞う転校生のアキト。正反対の小学生の二人が、誰しも共通する死への道のりを考える。温かく澄んだYA小説。
何が普通で、何が正解なのか。空気を読む事はとても打算的で、それは自分の利益に繋がるはずなのに、何故かどんどん自分らしさが消えていく。周りに合わせる事のメリットと、合わせ過ぎる事のデメリットと。今まで信じてきた世界が揺らぐような、目眩い出会いをした二人の心の変遷に魅せられた。
言わないとわからない、でも言っても伝わらない事もある。それでも耳を傾け、知りたいと願う。そのもどかしさを思い遣りと呼ぶのかもしれない。
子供たちの距離の詰め方と言葉のチョイスが秀逸で、それぞれの個性が出ているのがとても微笑ましく印象的だった。既存の物差しも持ちながら、他に素敵な物差しを見付けたら加えてみるのも良いのかも。これこそが多様性なのだと思わせてくれる作品。
2025/04/01 19:22
『ワルイコいねが』
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
美海(みみ)は人にきらわれたくない、ほめてほしいと思っている6年生
秋田から来た、ちょっと変わったクールな転校生女子津田アキトと出会い、仲良くなる
思ったことを口に出して行動してしまう空気の読めないアキト
それが気が気ではないがうらやましくも思う美海
アキトがお葬式や人の死に興味を持っていることがわかると、美海は不安に思い……
山梨の山すその町を舞台に、自分を見つめ、相手を理解しながら友情を育む少女たちの物語
『満月の娘たち』で第56回野間児童文芸賞(2018年)、『夜叉神川』で第62回日本児童文学者協会賞(2022年度)、2024年IBBYオナーリストに選ばれた著者の最新作、2024年11月刊
──おめは、えぇ子だ。
秋田のなまはげが子どもをおどす「ワルイコいねが」が重要で効果的なモチーフになっている
2025/01/19 16:08
正反対な二人を通して
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
正反対な性格の2人が、お互いを通して成長していく姿を描いた児童文学。
主人公が小学校6年生なので、ローティーンの子どもたちには共感できるところが多いのではないか。