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7件
亡国のイージス
著者 福井晴敏
在日米軍基地で発生した未曾有(みぞう)の惨事。最新のシステム護衛艦《いそかぜ》は、真相をめぐる国家間の策謀にまきこまれ暴走を始める。交わるはずのない男たちの人生が交錯し、ついに守るべき国の形を見失った《楯(イージス)》が、日本にもたらす恐怖とは。日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞、大藪春彦賞をトリプル受賞した長編海洋冒険小説の傑作。(講談社文庫)
亡国のイージス(下)
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2018/12/29 11:29
考えさせられる
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近の東アジア情勢を前提にこの本を読むとフィクションと思えない迫力緊迫感がある。
主人公たちがちょっと美化され過ぎの気もするが、読み応えのある作品。
2017/10/11 00:26
幾つもの人生がぶつかり合うヒューマンドラマ
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:読人不知 - この投稿者のレビュー一覧を見る
泥臭く抗う仙石さんがひたすらカッコいいです。おっさん萌えの人に自信を持っておススメできます。
女房子供に愛想を尽かされて捨てられた小太りで何者にもなりきれなかった冴えないおっさん……と言うないない尽くしが仙石さんの自己評価ですが、如月君との関わりの中で「自分」を再発見して行きます。
選択を誤って一度は信じるモノを見失っても、自分の過ちを認めて信念の為に一命を賭して戦う……宇宙レベルのスケールの大きい行動に胸が熱くなります。
如月君が「生きた命」を見極める基準が、視覚ではなく嗅覚だと言うのが上巻のエピソードと繋がって切ないです。
これを読んでいる自分は、生きながらにして膿腐っていないだろうか……そう問われているような気がしました。
宮津艦長が行動を起こした理由――亡国のイージス。
1999年に書かれた作品ですが、2017年現在、現実の日本社会は同じ問題を抱えたままで、政治と自衛隊、国民の関係をこれからどうすべきなのか、考えるきっかけにもなりそうです。
本作は、大きなカテゴリではミリタリものですが、硬直化した大きな組織に翻弄される人間ドラマ、人生の折り返し地点に差し掛かった大人の成長物語でもあります。
戦い終わって、それぞれの人生にどんなエピローグが用意されているのか……最後まで読んでほろ苦い笑みが浮かびました。
2017/10/11 00:24
年齢も生い立ちも全く異なる人々がひとつの艦で巡り合う
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:読人不知 - この投稿者のレビュー一覧を見る
生い立ちも立場も異なる人々が、乗艦するに至る理由が淡々と綴られる比較的長い序章。
この厚みが、上下巻を通じて物語の土台を成して、イージス艦に乗っているのは「自衛官」という「職業」ではなく「人間」だと、折に触れて再認識させてくれます。
ひとりひとりにこれまで歩んできた人生があり、背負うものがあります。それはひとりでは抱えきれない重荷かもしれません。
硬直化した組織と日本と言うシステム。その中で翻弄されるイージス艦の乗組員たち。
誰が敵で誰が味方なのか。誰の言葉が真実で、どこまでが謀略なのか。「あれ」の行方は――謎が謎を呼び、ミステリ的な側面にどんどん引き込まれます。
丁寧な説明があるので、自衛隊の組織の予備知識がなく、護衛艦の見学をしたことがなくても、状況と館内の様子をすんなり想像できて読みやすかったです。