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電子書籍

名探偵夢水清志郎事件ノート

著者 はやみねかおる,村田四郎

夢水清志郎は名探偵。表札にも名刺にも、ちゃんとそう書いてある。だけど、ものわすれの名人で、自分がごはんを食べたかどうかさえわすれちゃう。おまけに、ものぐさでマイペース。こんな名(迷)探偵が、つぎつぎに子どもを消してしまう怪人「伯爵」事件に挑戦すれば、たちまち謎は解決……するわけはない。笑いがいっぱいの謎解きミステリー。

そして五人がいなくなる 名探偵夢水清志郎事件ノート

税込 783 7pt

そして五人がいなくなる 名探偵夢水清志郎事件ノート

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みんなのレビュー37件

みんなの評価4.3

評価内訳

紙の本そして五人がいなくなる

2023/03/08 22:32

名探偵夢水清志郎

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:黒藤 - この投稿者のレビュー一覧を見る

名探偵夢水清志郎事件ノートシリーズの第一作目です。自称名探偵の夢水清志郎と三つ子の岩崎亜衣、真衣、美衣の出会いから始まります。
みんなが幸せになれるように事件を解決する教授が素敵だと思います。

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紙の本機巧館のかぞえ唄

2016/06/27 00:15

難解

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:わらび - この投稿者のレビュー一覧を見る

小学生の頃に読んだのですが
非常に難解だったのを覚えています。
しかし、当時はそれがまた魅力的で…
今読むとまた理解度が違うかな?

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紙の本そして五人がいなくなる

2016/06/27 00:12

すべての始まり

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:わらび - この投稿者のレビュー一覧を見る

これが、夢水シリーズのみならず、
はやみねかおるとの出会いでした。
当時、人の死なないミステリーというのが
嬉しかったのを覚えています。

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紙の本人形は笑わない

2002/06/30 17:35

3部作の第2弾???

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:山村まひろ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 中学3年生になった三つ子の亜衣、真衣、美衣。
 亜衣が所属する文芸部の今年度の予算がゼロと決まり、麗一は文芸部誌発行の資金捻出のために、映画を撮ると言い出します。
 ちょうど、夢水探偵が「セ・シーマ」に連載中の「謎解き紀行」執筆のため、毬音村に取材に行くことになり、便乗することになった三つ子と文芸部員たちでしたが、一行を待ち受けていたのは「毬音村に伝わる人形伝説」と「歩く人形たち」の謎。
 過去の事件の真相を暴き、呪われた人形の塔のトリックを解くことができるでしょうか?


 というわけで、名探偵夢水清志郎事件ノート第9弾は、「人里はなれた村を舞台にした三部作」の第2弾! だそうです(^^;)。
 ちなみに、第1弾は「魔女の隠れ里」で、第3弾は次回発行予定の「修学旅行編」だそうです。

 なにはともあれ、いつものにぎやかなメンバーたちが一緒に旅行に出て、何も起こらないほうがフシギというもの。
 はたして、事件の結末は???
 そして、映画「毬音村の惨劇」の出来栄えは?

 あいかわらず、ドタバタなメンバーたちですが、中身はしっかりした謎解きなところがうれしい1冊ですね。

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紙の本人形は笑わない

2001/10/03 22:16

子どもだけでなく、大人のミステリファンをも満足させる人気シリーズ

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:橋根未彩 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 名探偵夢水清志郎シリーズの第9作。

 今回の舞台は、『人形の塔』なるものがある毬音村。人間より人間らしいと言われるほど精巧な人形を作る栗須一族。その中でも天才と呼ばれた人形師である寧人は、なぜ『人形の塔』を作ったのか。寧人の孫である豪人が『人形の塔』で人形に殺されたという噂は本当なのか。そして、かつての村おこし事業との関係は——雑誌の謎解き紀行で村へ向かう夢水と三姉妹に、文芸部が何故か映画を撮りについてきてしまい、いっそうの大騒ぎに。

 シリーズ前2作の大江戸編から、舞台を現代に戻した本作では、三姉妹もついに中学三年生になっている。文芸部部長となった亜衣が、ボーイフレンドのレーチこと麗一のひと暴れにより部の予算がゼロになったことに頭を悩ませ、タフな編集者・伊藤の暴走ぶり(文字通り)は車からしてパワーアップ、そして今回も食べ物につられて事件の地へ出向く夢水清志郎と、相変わらず楽しい。新たな新入生たちも登場し、彼らの活躍は今後も期待できそうだ。それにしても亜衣以外の文芸部の連中は夢水清志郎に負けず劣らず無茶をやっていて、死人が出ないのが本当に不思議である。

 もちろん今回も、彼らのやりとりの中に事件の真相に関するヒントはもちろん、事件とは全然関係ないミステリネタが含まれている。

 今回は新入生も増えてキャラクター描写が豊富な影響もあるのか、事件は比較的シンプルだ。登場人物表の15人中事件関係者はたったの4人。丁寧に読んでいけば分かってしまう部分もあれば、かなり想像力を要する真実もある。過疎化を寂しく思いながらも堅実に暮らしているかにみえる村人たちや、大騒ぎで映画撮影中の亜衣たちの、ちょっとした言動から夢水清志郎はいつも通り鮮やかに推理(しつつも食い意地は忘れない)。そして結末はこのシリーズらしい味わいが残る。

 ちなみに番外編の『レーチの文学的苦悩III(もしくは、悪夢)』はレーチの恋心に興味のない人には気恥ずかしく感じられるかもしれないが、最後までちゃんと読むことをお薦めしたい。作者の新たな一面、なのかもしれない。 (bk1ブックナビゲーター:橋根未彩/ライター)

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紙の本ハワイ幽霊城の謎

2008/07/16 20:09

慣れてしまったせいでしょうか、期待していたわりに面白くありません。特にハワイのお金持ちの様子、お金礼賛みたいなところが子供の夢を壊すな、なんて思ったりもして・・・

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

夢水清志郎ものの情報は結構こまめに当たっているんですが、見落としていた一冊です。ま、タイトルに工夫がないので、旧作と勘違いしていたのかもしれませんが残念無念。でも、村田四郎の挿絵に再会できるならば、ここで意地を張っても仕方がありません。まずは村田の絵を使った久住和代の装丁をさっと見て、カバー後の案内に入ります。

夢水清志郎のもとに舞いこんだ、新
たな依頼は、なんとハワイから!
ハワイの大富豪、アロハ山田家を、
幽霊の呪いから守ってほしいという
のだ。しかもなんという不思議な縁
か、100年前、アロハ山田家の先祖
は、清志郎の先祖(?)夢水清志郎左
右衛門にも出会っていた!南海の
楽園・ハワイを舞台に、現在の夢水清
志郎と過去の清志郎左右衛門がみん
なをしあわせにするために謎を解く!

ふむふむ、アロハ山田家とはまた、児童書でなければありえないネーミングです。しかも現在の夢水清志郎と過去の清志郎左右衛門が登場する、いやはや長い人気を誇るシリーズ物ともなると、単なる決め技一本ではなく複合技も使わないと読者に飽きられる。上下分冊は別にした一冊の本としてはシリーズ最大かも・・・

とまあ読み始めました。印象ですが、現代篇は、ちょっとトリックが機械的に過ぎるかな、それにお金の掛け方が違うでしょ、って思います。それに対して過去篇は、トリックは自然ですが清志郎左右衛門の設定が不自然。ま、これは夢水清志郎にも言えますが、その食欲についてのエピソードにユーモアを感じないんです。我が家の娘たちはもう年齢が上になってしまい、はやみねの文章に笑うことはありませんが、今時の小学生はどうなんでしょうか。

私には、はやみねのミステリが重松清のドラマのようにオーソドックスというよりは古臭く思え、むしろ桜庭一樹が描く少女たちが、角田光代のお話のようにリアルに感じられて仕方がないのです。癖のなさは認めた上で、古さが懐かしさに繋がらず、ただただ旧弊な印象を与えるとすれば、やっぱり方向を変えるべきなんじゃないか、なんて思ったりもします。最後に、二重構造がはっきり見える目次を写しておきます。

目次
おもな登場人物
OPENING
第一章 翼よ、どれがパリの灯だ?
01 幽霊の存在――ベイズ推定――
第二章 寿限無・・・・・・?
02 超マニアッククイズ~こんなのしってるやついねぇ!~
第三章 日本のネズミはサトウキビがお好き
03 Why Didn't They Ask YUMEMIZU?
第四章 You 下駄 chance!(前編)
04 レーチの文学的クリスマス
第五章 You 下駄 chance!(後編)
05 歪んでるのは・・・・・・
第六章 Big Island
06 家系図! なんたって、家系図!
第七章 「悪魔の森」と「神の荒れ地」
07 PAST――左京が消えた
第八章 呪いに関する一考察
08 バカンス!
第九章 木陰
09 PRESENT――タロウが消えた
第十章 月夜
10 朝日はどっちにでている?
第十一章 天真流vs.デモン・ディク
11 クリスマスプレゼント
第十二章 夜会
12 レーチの推理
第十三章 カナロアの眼
13 教授の推理
最終章 過去は未来につながる
14 探偵たちの独白
おまけ その1
おまけ その2
おまけ その3
あとがき
はやみねかおる特別インタビュー
はやみねかおる作品リスト

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紙の本人形は笑わない

2004/06/02 20:50

どうしてそこまでして子供に媚びるかなあ、多分、子供だってこれを可愛らしいとは思わないぞ

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

《情報誌セシーマの伊藤編集長が名探偵 夢水清志郎に持ち込んだ企画は、廃村寸前の毬音村でツーリング中の人々が見た怪を探るものだった》

何度書いても、書きすぎた気がしないのが「夢水清志郎は和泉元彌が一番」ということ。あの番組(ふたご探偵)を、毎週家族で楽しんでいた我が家の、良くも悪くもそれが常識。それに、村田四郎のイラストが、本当に鬚を生やした時の元彌によく似ている。いろいろ身辺は騒がしいようだけれど、もう一度観たいなあ、和泉清志郎、ね、そう思うでしょ。

旅と料理の情報誌「セシーマ」に文章を書いている夢水の頭にあるのはいつも「食べ物」。だから、当たり前の以来では記事を書いてくれない。その彼に何とか旅の記事を書かせようと、伊藤編集長が目をつけたのが、人口が十人にも満たない廃村寸前の毬音村でツーリング中の人々が見た怪事件の謎を解かせて、それを雑誌に載せること。

そのころ虹北学園では、中学三年生になった文芸部長の岩崎愛が、学園祭を前にゼロに削られた部の予算に頭を抱えていた。部長の悩みをよそに、予算削減の原因を作った副部長のレーチは、起死回生のアイデアを思いつく。

部長の岩崎愛がレーチに内緒にしていた名探偵 夢水との毬音村行き。彼女が洩らした一言に飛びついたレーチは愛、真衣、美衣の三つ子の旅に便乗する。清志郎が解く事件をそのまま利用しようというレーチと愛たちを迎えるものは。村はずれに聳える不気味な塔、黒く塗られた部屋に並ぶリアルな表情をした人形たち。人形師 栗須寧人が作ったと言われる「人形の塔」を舞台に連続する密室殺人。

教育TVの小学校上級以上を対象にしたドラマにもなった名探偵 夢水清志郎が活躍するシリーズ。はやみねは、とうとう小学校の先生を辞めて、専業作家の道を歩み始めたらしい。今までの作品もだけれど、推理小説としての骨格はしっかりしている。でも、今回はいつになくレーチが傲慢・無神経で読んでいて不快。新キャラ 一之瀬くんの犬のような性格設定も嫌い。現実の子供たちに擦り寄った設定だろうけれど、そこまでして子供に媚びる必要はない。これを可愛らしいとは、多分、子供たちだって思わない。

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紙の本亡霊は夜歩く

2004/02/18 22:17

この小説、短編にだけついていえば確実に★五つ。でもレーチが出てくると一気に通俗長編になってしまう。ついこの間まで、夢水のシリーズを楽しんでいた娘達もそろそろ卒業気分

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

「虹北学園に伝わる四つの伝説。壊れたはずの時計塔の鐘が突然鳴り、校庭に不思議が起こる」夢水清志郎事件ノート第2作。今回から、このシリーズに欠かせない人物となるレーチという少年が仲間入り。若い少年探偵が見せる推理と清志郎の競演が始まる。

話は、メインの事件談を、二つの小編が挟み込む形式で、このスタイルは、はやみねのお気に入りなのか、その後の作品にも受け継がれていくけれど、その短編がどれも小粒ながら言い味を出している。今回は、ミステリ・サークルといっても推理小説研究会ではない、あの田圃や畑などに突如現れる巨大な円だが、その謎が心地よく解き明かされる。

そして本編「亡霊は夜歩く」となる。亜衣・真衣・美衣の三つ子の姉妹が通う虹北学園、その傍の工場で起きた電磁石の盗難事件に駆り出された自称名探偵夢水清志郎。その捜査も始まらぬうちに起きた学園の怪事件。ピサの斜塔のように傾いてしまった学校の時計塔の鐘が、何年ぶりに突然時を告げ始めた。

そして、学園祭を前に実行委員のアシスタントを命じられた岩崎亜衣、彼女をこき使う委員長中井麗一ことレーチ。二人が籍をおく文芸部のワープロに浮かび上がる「亡霊からのメッセージ」。思い出される学校の4つの伝説「時計塔の鐘が鳴ると、人が死ぬ」「夕暮れときの大イチョウは人を喰う」「校庭の魔法円に人がふる」「幽霊坂に霧がかかると、亡霊がよみがえる」。

それをなぞるかのような事件が起きる。自称詩人で、一作も作品を作ろうとしないレーチの推理。学園に現れた名探偵・夢水清志郎に敬意をはらう麗一少年。そして相変わらず、大食漢ぶりをみせながら事件は解決したと早々に現場から消えてしまう清志郎。

今回登場したレーチと亜衣の淡い想いなどを織り交ぜながら事件は終結する。正直、犯人は簡単に予想がつくけれど、鍵となる動機があまりに弱い。なぜ今なのか、という説得力が無いから、小説全体の印象も弱くなってしまう。いや、じつは今後のシリーズでも思うのだけれど、レーチの存在理由がわからない。三姉妹に適当な相手を、という安直さが気にかかる。

ラストの小編、本編では殆ど活躍しなかった二人の妹、真衣と美衣、そして教授が見せ始めた突然の好意。その背景にあるもの。これは楽しい。やはり江戸川乱歩がそうであったように、はやみねは本質的に短編の作家であるのかもしれない。心地よい作品である。村田四郎の挿絵も、この本から自然体になってきて以降のシリーズのスタイルを確立した。

読み終わった長女に言わせるとシリーズ中、もっともポテンシャルが低い作品、というが、それはメインの部分。前後の短編は立派。本格短編と、通俗長編、この組み合わせ、ある年代以上になると評価が分かれ始めるけれど、小学生には格好のシリーズだろう。ちなみに、図書館にあるこのシリーズは、戻るとすぐに借り出されると言う。隠れたベストセラーではないだろうか。

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紙の本機巧館のかぞえ唄

2017/01/06 18:14

シリーズの他の作品とは少し違う...

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:黄色い刀 - この投稿者のレビュー一覧を見る

小学生にも分かりやすくておもしろい名探偵夢水清四郎シリーズですが、これだけはかなりトリックが複雑でかなり分かりにくいです。

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紙の本そして五人がいなくなる

2001/05/29 04:52

そして僕らはまっ赤な夢をみる

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:春都 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 自信家の名探偵、「伯爵」を名のる犯人、そして不可能状況での人間消失。これでもかと言わんばかりの道具立てで「本格探偵小説」へと読者をいざなう。もちろん、中心にはやはり「こども」がいる。

 実を言うと、前作『バイバイスクール』もそうだったが、はやみね氏の作品はたしかに面白い、しかし一方で物足りないものも感じているのだ。ジュブナイルなのだから当たり前だ、と切り捨ててしまうのもなんなので、ちょっと考えてみた。もう書評というよりエッセイみたいなものか。

 一番気になったのが、どうもストーリーやテーマの中心となる部分以外が、極力カットされているようだということ。ジュブナイルという一応こども向けとして書かれる小説であるから、わかりやすい・読みやすいが絶対条件としてあるわけで、言ってみれば「簡略化されたミステリ」になっているのだ。「おとな向けミステリ」に比べると、装飾(ある意味いらない部分)が少ないのである。だから書評も、ネタバレせずに書くのが難しい。

 ミステリの核となるもの、つまり「驚き」や「謎」などというものは、もともと子供じみているんじゃないだろうか。アッという真相だの、奇想天外なトリックだの、こんなものを楽しめるなんてのは「こども」以外にない。

 今のミステリがほとんどおとな向けなのは、いろいろなジャンルとの統合・混合がなされてきたこととも関係してくるが、一言でいえば前述の「核」に、ストーリー的なものや描写・文章的なもの(装飾)を肉づけしていき「ミステリ」たらしめているから、という理由にすぎない。核にもっとも近い「本格ミステリ」でさえ、そういったものは不可欠だ。装飾をしなければ、ミステリ以前に「小説」にならない、クイズみたいなものだからである。

 はやみね氏は、その核に「ジュブナイル用」の装飾をほどこしている。これはおとな向けミステリよりもはるかに少ない文章量を求められるため、出す情報を厳選していかなくてはならない。切り捨てられるものも多くなる。そんなわけで、これまでの「装飾の多いミステリ」に慣れていた僕は、物足りないものを感じてしまったのだろう。

 じゃあ、そんな僕がなぜ「はやみねミステリ」に他のおとな向けミステリと比べても、遜色ないぐらいのおもしろさを感じたのか。こっちは簡単。「核に優れた素材をもってきているから」である。

 ……書評が書けないことへの「言い訳」はたいがいにしときましょう。

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二重の袋とじ本って、ナンダ?こればっかりは図書館で借りたんじゃあ、愉しみを味わえません。一家に一冊、袋とじ。あ、でも変な期待しないでね、オトーサン!

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

「おなじみ名探偵夢水清志郎事件ノート、今度は魔術師が作った館に起きた人間消失と脱出の謎に挑む」本格推理。
今回の売りは、児童向け推理小説として初の袋とじ本。しかも二重に封印されているというのがミソですね。どういうことかは、本を手にして確認してもらうしかありませんが、小学校の低学年だったら、わけもわからず泣いちゃうかも、お母さん、よそしく。ただし、村田四郎の絵は、今回はすこし崩し過ぎ。
タイトルとなる長編の前後を、短編で括るお馴染みの構成。最初は、虹北学園文芸部の文芸部誌『それわた』の原稿締め切りに追われる中学三年生岩崎亜衣の話です。彼女が何とか書き上げた推理小説の謎に夢水挑むという二重構造になっています。それは雨の降り続く、虹北学園の野球部部室で起きた密室事件だった「六月は雨の〆〆密室」。
メインの話は、海外で評価の高い魔術師グレート天野、引退した彼が作った『ミステリーの館』に招待されたお馴染みの面々、岩崎姉妹に中井レーチ、上越警部や岩清水刑事など。地下の迷路もあるという壮大な館を舞台に、幻夢王の挑戦が始まります。消失マジック、脱出マジックの謎を夢水が空腹をこらえて解き明かす「『ミステリーの館』へようこそ」、二重に封印された部分が何ともミステリアス「赤い夢へようこそ」。
いつも長編では機械トリックがメインになって興ざめすることが多いのですが、短編は相変わらずモダンな推理でスマート。その点で言えば、今回の最大のトリックは、造本にあるといったら怒られるでしょうか。離れ技を袋とじ部分で見せてくれています。レーチと亜衣のロマンスは、正直うんざり気味ですが、子供たちは、この造本トリックに驚くことでしょう。
ともかくこの袋とじ本には、はやみねの思い入れがあるらしく、あとがきで、B・S・バリンジャー『歯と爪』、島田荘司『占星術殺人事件』という二つの封印本との衝撃の出会いを紹介しています。はやみねの言葉では、児童書で袋とじ本というのはこの本が初めてとのこと。しかも二重の袋とじ。冒頭にも書きましたが、初めてこの本を手にした少年少女や、読書慣れしていないお母さん達が慌てないこと願います。
といっても、今回の袋とじは、泡坂妻夫の洒落たアンカットのフランス装本不良品扱い事件のような、混乱を引き起こすほどのものではありません。子供たちはワクワクしながら読むのかもしれません。むしろ、この袋とじで最も困ったのは、著者が言うように製本会社だったのかもしれませんね。

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紙の本消える総生島

2006/06/12 19:41

やっぱりメイントリックが海外ミステリの名作のそれに酷似しているっていうのはねえ、後日、それを読むひとには不親切だと思うんです。漫画などで安易にトリックを借用するのもどうだかねえ・・・

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

「映画に出演することになった岩崎亜衣、真衣、美衣の三つ子の姉妹。撮影現場の総生島で起きる消失の謎」本格推理小説。
名探偵夢水清志郎シリーズ第三弾です。青い鳥文庫ですから、対象は小学生上級以上ということになりますが、大人でも十二分に楽しめるところがこのシリーズのいいところでしょう。
オーディションで万能映画に出演することが決まった岩崎亜衣、真衣、美衣の三つ子の姉妹。その話を聞きつけた夢水清志郎は、映画会社の社長に自分を売り込んで、探偵として彼らの撮影に同行することにしてしまいます。
彼らが向かうのが、タイトルにもある総生島。そこには万能財団が巨費を投じて建設した館 霧越館があります。そこで万能映画が目指す理想の推理映画が撮影されるのです。そして島に集まった13人の人々。以前の事件で知り合った上越警部も見守る中、彼らが乗ってきた船は爆破され、彼らは島に孤立するのです。もう完全に本格推理小説の舞台が準備されたといえますね。
起きるさまざまな消失劇。人が、山が消えていきます。事件の背景にあるものは何でしょうか。そして事件の真相は。
これを先に読んでしまってからクイーンの名作中篇を読む人は不幸ですね。ミステリの骨格はしっかりしているし、動機も納得がいくのですが、肝心のトリックが過去の名作を利用したような印象を与えるのは問題でしょう。勿論、食い意地の張った名探偵夢水清志郎と三姉妹のやり取りは、大人でもニヤリとしたくなるほどに面白いのですが。

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紙の本笛吹き男とサクセス塾の秘密

2007/03/07 21:12

いつものことですが、ミステリの部分はいい。でも夢水の大食漢ぶりなどはユーモアになっていない。登場人物も、これじゃ維新に負けちゃうぞ

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

久しぶりのはやみねかおる、というか名探偵夢水清志郎です。図書館の青い鳥文庫コーナーを覗いていたら奇跡的に見つけました。汚れた様子もなく、新刊だとばかり思っていたら奥付を見ると3年前の作品。はやみね作品といえば書架を覗いてもほとんど貸し出されているので、これは間違いではないか、そう思いました。
で、さっそく家に帰って大学受験で失意の中にある高三長女に「はやみねの新作だよ、どうして貸し出されていなかったんだろう」って聞きますと「最近は、村田四郎の絵より可愛いく描かれた子どもが活躍する小説が増えて、はやみねにこだわる理由が無くなったんじゃない」とズバリ。うーむ、たしかにシリーズ10年ともなると周囲も変わるか・・・確かに西尾維新『化物語』に出てくる少年少女のほうが可愛いしなあ・・・
帯の文句は
「名探偵夢水清志郎事件ノート」シリーズが、
————ついに10周年!————
怪人笛吹き男vs.夢水清志郎
世紀の対決!!
待望の最新作
第12弾
カバー折り返しには
「どこからともなく聞こえてくる、
あやしく響く笛の音・・・・・・。
笛吹き男が子どもたちを、
夢の国へといざなうのだ。
さあ、赤い夢の世界へ、
ようこそ!」
カバー裏の内容紹介は
「夕暮れの街で、一つの都市伝説がさ
さやかれる。笛吹き男が、子どもたち
を夢の国へ連れていってくれる、と。
うわさの中心は、かならず成績が上
がるという評判のサクセス塾だった。
夢水は、岩崎3姉妹らと、サクセス
塾の合宿に潜入。すると、笛吹き男
は、生徒130人を消してみせる、と
予告してきた! 夢水は、笛吹き男
を止めることができるのか?
シリーズ10周年を飾る、第12作!」
とあります。 で、目次を見てビックリ!長いのです。これを写しても時間の無駄。ということで、構成が分る程度に端折ると
主な登場人物
OPENING
第一部 二つの都市伝説
第二部 三日間の奇跡
ENDING
あとがき
はやみねかおる作品リスト
となっています。圧巻は、巻頭の「主な登場人物」でしょうか。見開きに2頁にわたって村田四郎描く似顔絵つきで紹介されるのは、ナント18人。うーん、これを見ると伊藤真里さんて好みかも・・・。でも今回の小説で殆ど活躍しない人まで出てくるのは、ちょっと使いまわしみたいでいやだな・・・それに黒姫はもっと美人でなきゃ、話と合わないし・・・
でも、推理はいいです。深夜に街を徘徊しているはずの人間がビデオに映らないことや、月食そのものが消えてしまう謎は見事に解決されます。好きですよ、このさりげない論理性。新キャラである黒姫こと小野田硝子も栗山千明を思わせて悪くない。星野英雄、小川健太郎という少年二人もいいし、高校受験を控えて真剣になっているレーチも好ましい。
児童ものによくある男の子と女の子の恋愛ごっこみたいなものが影を潜めたのも好感度アップ。でもねえ、推理をしていない時の夢水清志郎、特に食事をめぐる彼の卑しさは、今回はちょっと行き過ぎ。笑う気がしません。ユーモアにならない。むしろ物語りの足を引っ張っているんじゃあないでしょうか。こんなところも維新『化物語』に敵わない。
ここらがいまいち人気が伸びない理由?ミステリとしてよく出来ているだけに、勿体無いなあ、なんて思っちゃいます。

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紙の本徳利長屋の怪

2006/02/27 22:06

子供の本で、無理矢理明治維新が立派なものだった、倒幕は正しかった、勝海舟は偉かった、と刷り込む必要があるんでしょうかねえ。あいつら、結局私利私欲の塊ですよ・・・

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

「花見の人出で賑わう江夢川の土手。雨の中を頑張って徳利長屋のために場所取りをした夢水清志郎左右衛門。せっかくの場所を武士達に奪われた。そこに怪盗九印からの予告状が」推理小説。
「ギヤマン壷の謎」に続く夢水清志郎外伝の大江戸編です。一応下巻とは書いてありますが、話は独立しているので、単独で楽しめます。
長崎から探偵術の修業のために上京したレーチと清志郎左右衛門の再会。彼が尾張で出会った不思議な事件。山中に住む変わり者の表具師。彼が飼う何十匹という動物たちが畑を荒らすようになったことに文句を言いに行った男がみた夥しい猫の死体。驚いて帰りついた家の襖には、べったりと血が「れーちの東海道中膝栗毛」。
時代は幕末。江戸では勝海舟と西郷隆盛との会談が行われようとしている、そんなとき。徳利長屋のぶらりと訪れたのは、なんと勝海舟だった。彼が訪ねてきたのは夢水清志郎左右衛門。彼が以前、共に旅をした才谷梅太郎が殺されたということを伝えるために。
江戸の町を戦火から救わなければならない。そう決心した清志郎左右衛門と人が殺しあうのが大嫌いな中村巧之介が、徳利長屋の連中を総動員してかけた奇策。天真流を使う剣士の宿命の対決。江戸城を夜空の闇が包んだときに、海舟と隆盛の胸中に帰来した思い「徳利長屋の怪」。
個人的には、政治的な見方が絡まない「怪盗九印は最後に笑う」の、簡単でいながら鮮やかな謎解きが好きです。正直、平和主義を標榜しながら、結局は自分が守るべきもののためには剣を振るうという巧之介を見ていると、同じく自分たちが大切だと思うもののために戦う幕府や薩長と、守るものこそ違え同根ではないかと思えてならないからです。しかも、ここには明治政府に対する擁護がほの見えるのです。
海舟や竜馬に対する評価も、あまりに一面的で、そんなに明治維新やその後に続く天皇の時代がいいのか?って聞きたくなります。私には、薩長土肥による政治の今に続く私物化、官僚による硬直した時代主義はすべて明治時代に生まれた、と思えてならないのです。
これを読んだ子供たちが、たんなる無頼の海舟を、ただただ英雄かなんぞのように無条件に思い込む、それがいやで堪りませ用にそれでも、そういう問題点を投げかけるということは素直に評価したい気もします。やっぱり大人が、そういった見方をきちんと教えてあげる、それが必要だと思います。

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紙の本あやかし修学旅行 鵺のなく夜

2011/07/08 19:46

そろそろ私も卒業かな、名探偵夢水清志郎の世界から。どうもはやみねが笑いを取りに来るところに共感できなくなってきた。亜衣とレーチの行動も鼻についてきた、卒業っていうか分かれ時かなって。ミステリ部分は好きでも、小説としては相変わらず児童書のままじゃね・・・

4人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

最近、殆ど読むことのなくなった はやみねかおる ですが、理由は単純で、好きな『名探偵夢水清志郎事件ノート』については全部読み終わった気になっていたからです。ま、厳密にチェックしているわけではなくて雰囲気での判断。ですから、よく調べると読み落しが見つかるわけです。とはいえ、読んでみると再読、なんていうこともよくあるのですが。ちなみに、今回も装画・挿絵担当は村田四郎です。

カバー折り返しの言葉は
       *
龍神殺神事件、鵺伝説、持ち帰るなの石……。
不思議の宝庫、洛名録へとバスは走る。
謎の人物「鵺」が心配だけど、
修学旅行は楽しむっきゃない!
       *
カバー後ろの内容紹介は
       *
虹北学園の修学旅行先が決まった。
目的地はO県T市。そこには、龍神
や鵺の伝説と不思議な石の話が残っ
ていて、楽しい旅になるはずだった。
ところが、「修学旅行を中止せよ 鵺」
という手紙が学校にとどき、なんだ
かあやしい雲行きに……。
校長の代理で同行することになった
夢水だが、修学旅行から無事に帰っ
てこれるのだろうか?
お待ちかねの、シリーズ第11作!
       *
です。相変わらず、清志郎が修学旅行に紛れ込むまでの経緯は、可笑しいというよりは悪夢のようなもので、こういうゴリ押しを認めてしまう日本人て、やだなあ、と私などは思ってしまうんです。こればかりは、はやみねと私の考え方の違いでしかないのですが、同じ笑いでも、なんでJ・K・ジェロームの『ボートの三人男』みたいな、上品なユーモアにならないんだろう、人間が薄汚く見えるんだろう、って思うんです。

特に、私が嫌いなのは三つ子の長女の岩崎亜衣です。読書が好きで文芸部に所属、まではいいんですが、はっきり言って、性格がいやです。言動に裏表があって、結局は自分が可愛いだけの、ある意味、ごくあたり前の女の子。行動だけを見れば、まさに清志郎、レーチと同レベル、似た者同士なわけです。むしろ、私としては二女・真衣がかわいい。スポーツ万能で陸上部に所属。流石、運クラ、性格も明るくさっぱりしています。末っ子の美衣にしても、新聞好きは引きますが、あっけらかんとした性格で、男女のことに疎く、それも含めて一ノ瀬くんが好きになるのも当然だと思います。

亜衣同様、嫌いなのが通称レーチこと中井麗一です。亜衣の彼氏で、クラブも同じ。清志郎、亜衣と同じく自己中です。結果がよければ何をやってもいい、と考える人間で、他人の感情や迷惑を考えたことがありません。大人になれば、試験前に他人のノートを借りまくり、授業では代返を頼む大学生になること確実です。モンスターペアレント予備軍ともいえるでしょう。なぜ、こんな男に、水野千秋のような美少女が惚れるんだろう、なんて思いますが、こればかりは世によくあるパターン。ヤクザに惚れるお嬢様パターンではありますが、彼女の健気な思いこそ、中学生女子という気がします。

正直、以上のレギュラーには少しも魅力を感じません。そこで新手を紹介しましょう。まず修学旅行実行委員会委員長の、陣内仁がいます。温厚で世話好きという、女の子が手玉に取りやすい男の子です。そして、仁を思うように操るのが修学旅行実行委員会副委員長で、生徒の目付け役の玉井雅子です。陣内のガールフレンド、ということになっていますがまるで鑿の夫婦みたいではあります。

はやみねが推すキャラでありながら、私が否定したのが歌枕真一です。まくら投げ協会会長で、野球やバスケも得意で、爽やかな印象でしたが、ラストで自分の力を見せつける姿は、嫌味としかいいようがありません。こんな人間が先々、官僚となって、笑って国民を死地に追いやるといってもいいのではないでしょうか。将来のクレイマーといい、国民無視の官僚といい、どうもはやみねの理想とする人間は、私が好む人間とは正反対。いやはや、です。

未確認動物捕獲隊の隊長で、将来の夢は冒険家という川口敏弘。川口探検隊などは、UFOの矢追と同じく、2003年の時点で既に死語に近い存在で、やはり感覚のズレを感じます。そういう意味で、私が唯一気に入ったのが、虹北学園の校長先生である土屋正です。清志郎を修学旅行に参加させたあたりのいい加減さはともかく、侍のような風格のある教職ひとすじ三十四年の人間というのは、いい意味で存在感があります。

と散々、登場人物を貶しましたが、ミステリ部分は相変わらずお見事。誰が何故、というあたりも納得です。はやみねの作風には限界を感じますが、新しい読者がきちんとついて世代交代している様は、立派。作家としては、成功しているといえるでしょう。ただ、卒業していく読者も多いはずで、いいか悪いかはともかく、小学生にミステリのなんたるかを教える貴重な作家であるとだけは言えそうです。そろそろ、私は卒業しますが・・・

参考までに、もくじを写しておきます。

おもな登場人物
第一幕 修学旅行事前説明会
 経過説明の一
 レーチの細腕繁盛記
 経過説明の二
 虹北学園修学旅行実行委員会
 経過説明の三
 文芸部の陰謀:一ノ瀬匠くんの初体験
 その他 霊子(仮名)の場合
     M太郎(仮名)の場合
     鵺(仮名)の場合
 修学旅行のしおり
第二幕 鵺のなく夜
 修学旅行初日
 修学旅行二日め――前半
 レーチの文学的苦悩:修学旅行スペシャル
 修学旅行二日め――後半
 修学旅行三日め
 修学旅行反省会――鵺が笑う
ENDING――教授の修学旅行日記

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