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12件
薬屋探偵妖綺談
著者 高里椎奈
たっぷり雪が積もった小学校の校庭に、一夜にして全長100メートルものミステリーサークルが現れた。雪の妖精あるいは蝶の標本のような輪郭はくっきりと美しく、内側にも外側にも足跡などはいっさい残っていない。だが、雪が溶けたとき、その中央には他殺死体があった! 薬屋でもあり○×△□でもある美男探偵トリオが、初めての難事件に挑む!
蒼い千鳥 花霞に泳ぐ 薬屋探偵妖綺談
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緑陰の雨灼けた月
2003/11/25 08:44
不思議な広がり
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:紫月 - この投稿者のレビュー一覧を見る
動物から見た世界、植物から見た世界、人間から見た世界、妖怪から見た世界、あなたの中の世界。その全てに平等に降る雨と月光を、信じたことはありますか?
人気シリーズ第五弾です。
扉部分の著者の言葉ですが、妖怪の部分を外してもそれほど世界を広げて考えたことのあるひとはごく僅かなのではないでしょうか。
今回はとある高校にまつわる怪談に関連した生徒の失踪事件と、やたらと元気のいい女子高生が何者かに襲われる二つの事件が同時進行します。
個人的にはエリカの尖りすぎた性格には辟易しますが、それでも不器用な幼なじみへの思慕は微笑ましく、また、失踪した美浦と栗東の姉妹のような一風変わった友情も、爽やかです。
二つの事件はそれぞれ陰惨だったり悲しいものだったりするのですけど、読後感がとても爽やかなのは登場人物のキャラクターのせいでしょうか。
悪魔と詐欺師
2003/11/25 08:41
じっくり読みたい…
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:紫月 - この投稿者のレビュー一覧を見る
——「当ててごらん。これらの事件には、共通点がある」喫茶室で毒死した男。マンションから飛び降りた会社員。プログラマーは列車事故で死に、書店員の娘は手首を切った。だが、それらはすべて解決したはずの事件だったのだ。そこに「なにか」の意志が働いていたというのか——?
人気シリーズ第四弾です。
今回は前の事件で知り合った寺の息子や、彼のペット(イグアナ?)、レギュラーになりつつある刑事たちがふんだんに活躍していて、とても楽しい。
このシリーズの魅力はリベザルの成長と、秋の機知に溢れるセリフだと思うのです。
『先生、生徒、校舎、校則、これらが同集合であるルールは? 「この集合は学校である」ニ値論理です』
二値論理とは、真偽が確定している0か1かの論理である。ここから校舎、校則が外されると塾や習い事の教室であるかはっきりしなくなるけれど、答えは確実にあるわけで、これは多値論理…軽く読み流すことができなくて、読むほうの頭もフル回転です。
また
『見て分からない?』
『ヘラ、そこまで馬鹿じゃないもん』
ただの生意気なセリフのようですが、この場合は
見れば分かることをわざわざ訊いて時間を費やすほど馬鹿ではない、という意味。己の至らなさを認めたうえでの、自尊心に満ちたせりふとなっています。
状況に応じて、言葉の意味ってまるで違ってくるのですね。
こんな風に、せりふの一つ一つまで気が抜けない。
秋の夜長にじっくりと読みたいミステリです。
悪魔と詐欺師
2002/06/07 16:46
シリーズの本質的作品……か?
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:カルバドス - この投稿者のレビュー一覧を見る
かなりまともなミステリだった前作に比べ、この第三弾は一転して娯楽小説的な展開をする。主人公ら妖怪に、悪魔に、夢魔に、幽霊までもが総出演。例えるなら『ゲゲゲの鬼太郎』のよう(もちろん褒め言葉である)。
ミステリ色が薄くなった分キャラクター達がかなり自由に動き回っていて、ラストも前二作に比べれば強引さも薄れて納得しやすい。非常に切ないラストは心地よいくらいだ。
本格ミステリを期待していた人には気の毒だが、本作は見事な妖怪小説。もしかすると、本作こそがシリーズの本質を表しているのかも知れない。