電子書籍
闇は光の母
著者 ブレイディみかこ 作,中田いくみ 絵,角幡唯介 作,阿部海太 絵,谷川俊太郎 作,合田里美 絵,今森 光彦 作,城芽ハヤト 絵
死を重々しく考えたくない、かと言って軽々しく考えたくもない。死をめぐる哲学的な言葉、死をめぐる宗教的な言葉、果ては死をめぐる商業的な言葉までが氾濫している現代日本の中で、死をめぐる文と絵による絵本はどんな形でなら成立するのか、この野心的な企画はそれ自体で、より深く死を見つめることで、より良く生きる道を探る試みです。谷川俊太郎さん命名、死を考える絵本シリーズ。
クヌギがいる
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紙の本ぼく
2022/09/25 07:46
子どもたちの自殺を考える絵本
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
絵本が描く世界は、とても広い。
メルヘンもあれば、コミックのような表現もある。
怪談もあれば、神話の世界も、落語噺もある。
赤ちゃんの視線で描かれることもあれば、老人問題だってある。
そして、この絵本『ぼく』は、子どもたちの自殺を描いた作品だ。
「ぼくは しんだ」という、一文から始まる。
文を書いたのは、詩人の谷川俊太郎さん。
「じぶんで しんだ/ひとりで しんだ」と、続く。
男の子がひとりで夜空を見ている絵に、この文がついている。
絵は合田里美さんが描いている。
激しい絵ではない。むしろ、淡い色合いが男の子の感情のようで、切ない。
この男の子「ぼく」にも、夢があったはずだけど、死を選んでしまう。
絵本の巻末に「編集部より」という一文がついていて、そこにはこうある。
「「ぼく」がなぜこのような選択をしてしまったのか。どうしたら、生きることができたのか。
それを考えることが「ぼく」がどう生きたかを、そして、どう生きたかったかを考えることでもあります。」
子どもたちの自殺の問題は難しい。
まして、それを絵本で表現するのは難しい。
絵本を読む前に、まず巻末の「編集部より」で制作者の意図を理解し、本文を読み、そしてもう一度巻末の文を読む。
ひとりでなく、みんなと読んで、意見を交換する読み方もいいかもしれない。
紙の本スープとあめだま
2023/11/19 08:11
小さいけれど、それは命をつなぐ
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この絵本の絵を見て、
あ、これ、あの本の表紙の絵とそっくり、と気がついた人も多いかも。
そう、この『スープとあめだま』の絵を描いたのは、
2019年に刊行され話題となったブレイディみかこさんの
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の挿画を担当した
中田いくみさん。
そして、文を書いたのはブレイディみかこさんですから、
強力コンビによる絵本といえます。
内容も深い。
ホームレスの人たちを助けるボランティに出かける姉について家を出た男の子。
でも、なんだか不安。
ホームレスって? ボランティアって何をするの?
最初は何もわからず、ホームレスの人が死んでるなんて思ったり、
彼らの匂いにとまどったり。
なんとなくうろうろいていると、スープを配ってといわれて。
おずおずと。
そんな男の子の差しだすスープに、ホームレスの男性が「いきかえったようだ」と、
お返しに男の子にくれた、ひとつのあめだま。
タイトルはここから採られています。
男の子はそのひとつのあめだまが、
とても小さいけれど、とれも暖かい「いのちをつなぐ」ものだと知ります。
中田さんの絵は物語と同じようにほとんど色が抑えられていますが、
きっとそんな世界にもっと多くの色をつけるのは
この絵本を読んだ私たちなのでしょう。
紙の本ぼく
2022/08/02 21:01
「生きる」ことと「死ぬ」こと
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みつる - この投稿者のレビュー一覧を見る
子供の自死について、谷川俊太郎さんが作られた本です。
「ぼくはしんだ ひとりでしんだ」
この一言が何度も繰り返されて
後悔なのか、やっと楽になれた喜びなのか、
それはわかりません。
誰でも一度は思ったことがあるかもしれない
「しにたい」という気持ち。
決して、それを肯定するわけでもなく、
また、完全に否定しているわけでもない、
そんな言葉たちが、合田里美さんの色鮮やかで
美しい絵とともに紡がれています。
"なにも ほしくなくなって
なぜか ここに いたくなくなって"
という一文に
この少年を抱きしめたくなりました。
末尾の「編集部より」も読むと、より生きることを選択する
ということが感じ取れます。
テレビで、この本を作る過程を
ドキュメンタリーしているのを見て、
これは、読まねば。と思いました。
90歳になられた谷川俊太郎さんの思う
「生きる」ことと「死ぬ」こと
とても考えさせられる絵本でした。
紙の本ぼく
2022/03/15 16:41
「ぼく」という子は?
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:uruuduki - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ぼく」という子はどんな子だろう?
大人なら――「孤独」に捕まった人だろうか?
好きなのに、好きな人たちがすり抜けて行くみたいに虚しくなる――。
澄んだ絵の中の「ぼく」が、居ながら、背景のどこにも居ないように感じるのは、私だけだろうか?
「死」が怖くないと言うとしても、人は落ちる時も、大きな音にも恐怖を覚える。何かにぶつかる時、反射で避けようとする。
法医学の本を読んで思うのは、自死がけして美しくないということ。
あれやこれやを思えば思うほど、詩の数語に「ぼく」の寂しさを感じた。
紙の本ぼく
2022/03/12 00:26
子どもだからって
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:きょん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「子ども」とひとくくりにして子どもは無邪気で貪欲で楽しく日々を過ごしているだけのように考えてしまいがちな大人たちには子どもが自分で死を選ぶなど思いもよらないだろう。けれど、とりわけ、感受性の鋭い子どもたちは人知れず傷つき、心が疲れてしまい、時に、自ら消えてしまうことがある。大人の自死同様に子どものそれも原因はわからない。人が死に向かおうとする時、生きろと言われても、その先に未来など見出だせない。無責任に生きろと言われても素直には従えない。でも、私たちは、時に立ち止まり、誰かの心に耳を傾け、手を差しのべて、決してひとりではないことを誰もが感じられる世の中になったら、生きていけるのかもしれない。
それはそこで、深く立ち入るのではなく、何気ない日常でほんの少しの思いやりだけでできることなのかもしれない。
この作品は、「ぼく」を通して、「ぼく」が自ら止めてしまった時間と、変わらずに止まることのない時間と、まるで存在を忘れられたかのような日常がことばと絵とで描かれています。
紙の本スープとあめだま
2024/02/25 03:47
香魚
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:イケメンつんちゃ - この投稿者のレビュー一覧を見る
いゃーあ良かった
この作品
レビューさんのオススメで
気になって気になって
すかさず
探しました
さっそく
ストーリーの美しさ
そこに
暖かい色の画が
引き立つ引き立つ
こころあたたまる
マーベラス
夜に駆ける
まだまだ絵本の奥深さにのめり込みそう
在庫もあるそうなので
ぜひお買い求めくださいませ
ここで土になる
だから丸善書店はおもしろいんです
紙の本ぼく
2024/01/26 01:05
ガクテンソク
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:イケメンつんちゃ - この投稿者のレビュー一覧を見る
深い
詩人が考える生命力
絵が少し不気味ですが
ぼくは
逆に
生きる
すごく清々しい風が
心地よく
みずいろがセンチメンタルジャーニー
再読したけど
こんな深い海みたいな作品やったとは
ぜひともお買い上げしてください
二十歳の献血
在庫もあるそうなので
ぜひお買い求めくださいませ
ふたりのえびす
だから丸善書店はおもしろいんです
紙の本ぼく
2022/03/12 11:05
死とは何か
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
ぼくはしんだ じぶんでしんだ
から始まる身構えてしまうような言葉で始まる詩が1冊の絵本としてまとめられている。
自死選んだ子供の気持ち。
それを否定も肯定もせず詩人の言葉で深淵に誘う。
絵が美しいだけに、深く考えることなく、若い人が死を肯定的にとらえてしまわないか少々心配だ。
命の問題に向き合う、言葉を使って考える、材料にしてほしいと思う。
紙の本スープとあめだま
2023/02/02 18:04
命考える絵本
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
雪の日にお姉ちゃんとボランティアへ。ホームレスの人の支援だ。家がなくて外でうずくまっている人がいて、教会がシェルターになっていることを知って・・・。ブレイディみか子さんの「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」の絵を担当した中田いくみさんが絵を担当。命をつなぐことの重みやぬくもりを分かち合える絵本。