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君主論
著者 マキアヴェッリ (著) , 河島英昭 (訳)
ルネサンス期イタリアの政治的混乱を辛くも生きたマキアヴェッリ(1469-1527)は外交軍事の実経験と思索のすべてを傾けて,君主たるものが権力をいかに維持・伸長すべきかを説いた.人間と組織に切りこむその犀利な観察と分析は今日なお恐るべき有効性を保っている.カゼッラ版を基に諸本を参照し,厳しい原典批判をへた画期的な新訳.
君主論
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君主論
2006/10/07 09:45
苦味の美味しさ
10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くにたち蟄居日記 - この投稿者のレビュー一覧を見る
マキアベリというと 元来悪いイメージが強い。性悪説に則った冷静な嘘つきというイメージだ。僕も そんなイメージを持ちつつ本書を読んだ。
とんでもない。マキアベリは「人間とはどういう動物か」を語っているに過ぎない。
彼にとっては人間の善悪とは存在しない。良い悪いを超えた地点で「人間とはこういうものだ」という彼なりの冷静な分析を述べているだけである。その意味では 科学者が実験の結果を報告しているのと同じだ。但し その分析に表れる人間の「姿」が 時に僕らにとって辛らつであることが 科学者マキアベリの評判を悪くしている。マキアベリにしては迷惑な話だ。
「いかなる手段も 結果さえ良ければ 必ず正当化される」
「人は 恐れている人より 愛情をかけてくれる人を容赦なく 傷つける」
こんな言葉を否定することは難しい。吉田兼好が読んだら大笑いしたに違いない。
「辛いのは中傷ではなく真実だ」とは誰かの言葉だった。君主論は苦味に満ちている。苦味は時として美味しい。ビールのように。
君主論
2002/07/31 22:56
マキアヴェリの息吹が伝わる訳文
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ベリ太 - この投稿者のレビュー一覧を見る
マキアヴェリズムをちなみに広辞苑で引こう。
目的のために手段を選ばない、権力的な様式。
権謀術数主義。
確かにそうである、しかし目的は何であるか?
個人として印象に残ったのは彼の思想の広辞苑的な側面ではなく、
運命にたいして非常に敬意と諦念を持ちながらも、
自己の能動的な意志によって可能な部分は必ずあると信じ、
それには徹底して尽力すべきであるという意思である。
曰く、私たちの諸行為の半ばまでを運命の女神が
勝手に支配しているのは真実だとしても、
残る半ばの支配は、彼女が私たちにまかせているのも真実である。
この書は、上に立つものの書ではない。
運命の半ばを己の意志のものにせんとするものの書である。
訳は、やさしい日本語を使用しながらも、
流麗さを多少犠牲にしてもマキアヴェリの息吹を可能な限り
伝えようとする。いままでの訳に対して出色といえよう。
君主論
2020/05/02 10:22
イタリアのルネサンス期に著された政治学の古典です!
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、イタリアのルネサンス期の政治思想家であり、フィレンツェ共和国の外交官でもあったニッコロ・マキャヴェリによって著されたあまりにも有名な書です。『君主論』はもともと1532年にイタリア語で書かれて出版された政治学の書です。同書の中で、歴史上の様々な君主および君主国を分析し、君主とはどうあるべきか?君主として権力を獲得し、また保持し続けるにはどのような徳が必要であるか?などが論じられています。同書は、その政治思想から現実主義の古典として位置づけられています。同書は、現代邦訳版で、読者が読みやすいように、適宜注釈などが付され、理解しやすいように工夫されています。