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当事者主権 増補新版
初版刊行から二〇年余.当事者主権という概念は本書をもって普及・定着した.障害者,女性,高齢者,子ども,性的少数者など社会的弱者が声をあげて社会をつくりかえてきた感動の軌跡.その後の変化を紹介し,増補新版として刊行.自立の意味を転換し,専門性を問い直し,社会を組みかえる.
当事者主権 増補新版
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2025/04/25 20:29
当事者が立ち上がり、権利を獲得しないと誰も何もしない
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雑多な本読み - この投稿者のレビュー一覧を見る
2003年に初版が出されているから、20年以上経過して当事者主権という言葉が普通になっているのだろうか。確かに障害者差別解消法が制定され、障害者権利条約が批准・締結されている。障害者総合支援法があり、介護保険の利用者も大きく増え、困窮者自立支援法も制定・改正されてきている。単純に喜んでいいとも言えない。しかし、本書ではどういった取り組みが展開され、定着していく姿が描かれる。障害者が当事者として前に出てきたところが重要である。ゆえに当事者主権であり、誰かにしてもらうという当事者本位でなく、あくまで主権者として自ら獲得していくところに価値を見出している。介護保険は高齢者が勝ち取ったものとは言えないので、それとの対比でわかりやすくなっているのだろう。本書の目次を見ると、
序 章 当事者宣言
第1章 当事者運動の達成してきたもの
第2章 介護保険と支援費制度
第3章 当事者ニーズ中心の社会サービス
第4章 当事者たちのつながるとき
第5章 当事者は誰に支援を求めるか
第6章 当事者が地域を変える
第7章 当事者の専門性と資格
第8章 当事者学のススメ
第9章 (増補)二〇〇三年以降の障害者運動と新たな法制度
第10章 (増補)全国に展開する自立生活運動、そして世界へ
第11章 (増補)介護保険以後の高齢者福祉
第12章 (増補)介護保険の達成と危機
第13章 (増補)#MeToo以後の女性運動
第14章 (増補)当事者研究の新展開
おわりに 自己消滅系のシステム
おわりに(増補)
あとがき 中西 正司 上野千鶴子
あとがき 増補新版によせて 上野千鶴子
当事者運動年表 となっている。
以上のように展開されている。第9章以降は増補となっており、2003年以降の取り組み、動きが描き出されている。性暴力に対し、女性自身が(男性自身も注目されている)立ち上がって、部分的であるが法改正されてきている。これも当事者が動いたからであることは間違いない。当事者が主権者として動かない限り、反動があり、獲得した権利も取り上げられる場合がある。特に、経済成長が止まり、財源不足になると起こりやすい。これにも警鐘を鳴らしている。こうした著書を多くの人に読んでもらいたい。
2024/12/27 16:17
労障幼の統合も金次第?
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投稿者:とめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
公共性の理念、介護保険と支援費制度、恩恵ではなく権利、当事者性など、人格の尊厳に基づく当事者主権、つまり一人ひとりの個人が自らの人生の責任ある当事者として生きることを、マイノリティが元気と感じる著者が語っている。