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アメリカの戦争責任
著者 竹田恒泰
「本書はいつか通らなければならない道をあえて今、歩いてみようという試みをするものである」。戦後70年を経るなかで、これまで日本では数々の「戦争責任」が語られてきた。だが、そこで絶対的なタブーとして誰もが目を背けてきたテーマがある。それが、原爆投下の正当性に疑問を投げかける「アメリカの戦争責任」だ。そして、少しでもその問題に触れようとした人たちは、社会的に抹殺されてきた。しかし、その問題を直視することなくして、戦後の本質と真の平和を語ることはできない、と竹田氏は言う。なぜ、日米ともに原爆投下の正当性を疑うことは、タブーとされているのか。アメリカの教科書は原爆について、いかにそれを正当化し、子供たちに伝えているのか。そうした現状を踏まえながら著者は歴史を遡り、トルーマン大統領の目的が「原爆投下で日本を降伏させる」から「原爆投下まで日本を降伏させない」にすり替わった恐るべき史実を描き出していく。「ポツダム宣言」に仕掛けられた「日本が絶対に降伏できないような工作」とは、何だったのか。原爆を落とすのが先か、それともソ連参戦が先か……。終戦直前のドラマを知れば知るほど「原爆を落とすことで早く戦争を終わらせる」という「早期終戦・人命節約論」が、欺瞞に満ちたものかがわかるだろう。そうした「原爆神話」から目覚め、両国が先の大戦を反省してこそ、真の日米友好が築けるはず。気鋭の作家が自らの身を顧みることなく、戦後最大のタブーに挑んだ問題作。
アメリカの戦争責任
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アメリカの戦争責任 戦後最大のタブーに挑む
2015/09/26 17:11
無意味な単なる大量殺戮兵器であることを思い知らされました。
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:jim - この投稿者のレビュー一覧を見る
ポツダム宣言、ソ連参戦を始めルーズベルト→トルーマン大統領の数々の失策がいかに大戦後の世界情勢に悪影響を与え、他国民を苦しめアメリカ国民をも戦争で苦しめたか。日本への原爆投下は日本人だけでなく日本の国土を汚し、アメリカにとっても何の利益もなく、破壊力の脅威と言うよりも無意味な単なる大量殺戮兵器であることを思い知らされました。
アメリカの戦争責任 戦後最大のタブーに挑む
2015/10/26 16:21
戦後の禁忌(タブー)解禁書?
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:M マサ - この投稿者のレビュー一覧を見る
序章で、石原莞爾の戦後下にての発言を取り上げ、裁判の検事の尋問に「今度の戦犯の中で、一体誰が第一級かと」問われ、彼は、「トールマン」と答えた、ここから本題に入る。
日本の戦後の禁忌(タブー)は、アメリカの戦争責任だと、
アメリカの正当性を、2つ、1,国際法違反の悪行への報復、2,戦争終結を早め人命を救った。トールマンの主張である。
第二章では、どの様な原爆投下の教育が有るか、アメリカの教科書を取り上げ、幾つの定義は著書を読んでもらいたいが、私が、注目したいのは、アメリカの教科書に、原爆投下の犠牲者の数だが、広島は7万人・8万人、長崎は4万人・多少の誤差は有るが、この様に記載されて要るようだ、では、日本の政府発表は昭和20年迄に、広島は14万人、長崎は昭和25年迄に7万人と、また、それ以降に亡くなった犠牲者の総数は、30万人以上と見積もられている。その数は、著しい開きがある。両国の社会事情が伺える。
第三章では、無条件降伏論を、ここで、1つ現代人と違う思想を伺う、当時の天皇が日本国民の絶大な影響力があり、この章を考えると、終戦が遅れたのも、また、復興が速かったのも、天皇が居たからだとも捉えられる、ただ、無条件降伏と言う、表現が和平交渉の混乱を招いて要るようにもみえる。
第四章では、極秘計画「s-1」をこれは、既に、アメリカは日本に原爆投下を昭和19年9月に、決まっていたと、しかも、トールマンではなく、ルーズベルトと英首相チャーチルの間で締結していた(ハイドパーク協定)。著者は、原子力爆弾を使用する事を最優先していると指摘している。
第五章では、2つの原爆投下命令は同時にされていて、それらの正式な書面が残っていない、原爆投下が軍事的必要性に基づいた作戦ではなく。ポツダム宣言前に、作戦は安易に決まっていた、しかも、ポツダム宣言は、降伏させる為の勧告ではなく、降伏させない為の勧告だ、それは、トールマンとバーンズ国務長官の意図があった、日本が降伏する前に原爆投下を、それは、終戦を早める事ではないと指摘している。なかなか、説得力はある章だ。
第6章
日本政府は、ポツダム宣言を拒否した事実はない、アメリカ政府は、ポツダムを拒否と、しかし、当時の日本は、ソ連を含め、泥沼の最悪の状態だった事が解る。
第7章、ソ連が日本への参戦を知りながら、長崎にも原爆投下へ、今まで、「天皇の地位の保障」を拒絶していたのに、原爆投下後は、地位を認めた。
第8章は、原爆投下の目的と原因を、
1,ソ連に対して優位な立場に立つため
2,マンハッタン計画費用を正当化
3,ルーズベルト政権で作られた空気
4,人道精神の欠如5,人種差別意識
終章、
原爆投下の正当性は、100万人のアメリカ兵を救った、戦争終戦を早めたとの主張は「原爆神話」を多くの国民が信じている。著者は、アメリカが気づくべき過ち、日本が果たすべき責任から、日米の友好は、世界平和の基礎で世界平和に寄与し、あの不幸な戦争が、未来の人類の利益になる。と、しめている、
以上が、大まかな内容だが、良くまとめていると思う、是非、この著書を読んだ方また、興味のある方は、馬渕陸夫氏の著書「アメリカの社会主義者が日米戦争を仕組んだ」を薦めたい、竹田氏の主張と違う角度から捉えていて、アメリカ社会を考察出来る、そこから、何故世論が、人類が理解出来ない方向に進む事に対しての事情を観ることが出来るような気がする。問題は幾つか有るが、日米関係は世界平和の為には重要だと改めて気が付ける著書だ。
アメリカの戦争責任 戦後最大のタブーに挑む
2017/07/31 03:05
アメリカに戦争責任はあるか
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:H2A - この投稿者のレビュー一覧を見る
ストレートな問いに、石原莞爾がトルーマンが戦争犯罪者だとアメリカ人記者に語ったというところから始まる。ここから時系列を追ってアメリカの政府内やトルーマンや当時の国務長官の発言、記録を丹念に追い、日本政府内の終戦に向けた動きをたどる。原爆は落とす必然はなかったと言う。また原爆投下を受けてポツダム宣言を受諾したのではなく、むしろソ連参戦の方が日本の指導部に与えた影響は大きかったと見ている。アメリカはなぜあえて原爆を投下したのか。それ自体が目的であったと判断を下す。そこに人種的な偏見があったことも冷静に認めている。アメリカは占領期に入って言論統制と思想の埋め込みを図って、それは日本自身の手で今も遂行されて、この本のような問いが公にされることは少ない。ことさら右でも左でもなく丹念に終戦への過程を追っていて面白い。