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21件
赤と青とエスキース
著者 青山美智子(著)
2021年本屋大賞2位『お探し物は図書室まで』の著者、新境地にして勝負作! メルボルンの若手画家が描いた1枚の「絵画(エスキース)」。日本へ渡って30数年、その絵画は「ふたり」の間に奇跡を紡いでいく――。2度読み必至! 仕掛けに満ちた傑作連作短篇。 ●プロローグ ●一章 金魚とカワセミ メルボルンに留学中の女子大生・レイは、現地に住む日系人・ブーと恋に落ちる。彼らは「期間限定の恋人」として付き合い始めるが・・・・・・。 ●二章 東京タワーとアーツ・センター 30歳の額職人・空知は、淡々と仕事をこなす毎日に迷いを感じていた。そんなとき、「エスキース」というタイトルの絵画に出会い・・・・・・。 ●三章 トマトジュースとバタフライピー 漫画家タカシマの、かつてのアシスタント・砂川が、「ウルトラ・マンガ大賞」を受賞した。雑誌の対談企画のため、二人は久しぶりに顔を合わせるが・・・・・・。 ●四章 赤鬼と青鬼 パニック障害が発症し休暇をとることになった51歳の茜。そんなとき、元恋人の蒼から連絡がきて・・・・・・。 ●エピローグ 水彩画の大家であるジャック・ジャクソンの元に、20代の頃に描き、手放したある絵画が戻ってきて・・・・・・。
赤と青とエスキース
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赤と青とエスキース
2022/08/03 16:46
絵と人と――
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:uruuduki - この投稿者のレビュー一覧を見る
絵は流転し、熟成するのだろうか?
絵が熟成するように、出会った二人の関係も熟成し、一所に留まらないように、人も流転を逃れられないのだろうか?
一枚の絵を軸に人達は関り、離合集散をする。
絵自体の何かが変わるわけでもない。
ただ、関わる人の気持ちと関係が常に動いて、生を綴って行く。
ただハッピーエンドの小説を読みたいと思うのなら、お薦めしないけれど、愛しさを求めるのなら是非とも読んで頂きたい。
赤と青とエスキース
2022/02/01 21:34
一枚の絵がつなぐ縁
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
メルボルンに留学している女子大学生レイと、現地の青年ブーの出会いからお話は始まります。
ブーの友人画家が描いたレイの絵がメルボルンから日本へと渡り、ぐるっと回って戻ってくる幸せのストーリー。
赤と青の色の対比、混ざり合うグラデーションの美しさ、白とのコントラストが鮮やかにストーリーに生かされています。
ああ、いい話だ。
赤と青とエスキース
2021/12/25 23:35
赤と青とが紡ぎ出す物語たち
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みつる - この投稿者のレビュー一覧を見る
青山美智子さんの作品では、おなじみの
読んでるうちに、また前の章に戻って、
そして、最後に、全てがつながる。という
まさに、やられた!というしかありません。
今回は、人の繋がりもありますが、
時間の経過が含まれていて、
1章から、エピローグまで、かなりの時間が経っています。
それでも、人の繋がりがちゃんとあり、
物語の鍵ともなる「エスキース」と言う絵と
赤と青の何かが、必ずでてきます。
個人的には、トマトジュースとバタフライピーですが
バタフライピーにレモンなどの酸性のものを加えると
赤色(見た目は紫やピンクに近いですが)になることから、このふたつはある意味で、似ているところがあるのでは?と思ってみたりしました。
"「よく、人生は一度しかないから思いっきり生きよう、って言うじゃない。私はあれ、なかなか怖いことだと思うのよね。一度しかないって考えたら、思いっきりなんてやれないわよ」"(197頁)
たしかに、一見ポジティブに聞こえますが
本当に思いっきり生きてしまったら、ずっと動き続けて、壊れてしまいそうですものね。
適度に休んで、でも、力を入れる時には入れる。
そう言う生き方ができたらな。と思いました。