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4件
暴力と不平等の人類史
著者 ウォルター・シャイデル , 鬼澤忍
平等は破壊の後にやってくる
[戦争]第二次大戦後の日本 250万人戦死 トップ1%の富が9割下落
[革命]毛沢東「大躍進」 4000万人以上死亡 ジニ係数の劇的改善
[崩壊]西ローマ帝国の崩壊 あらゆる支配層の消滅 搾取の終焉・生活向上
[疫病]欧州のペスト 2000万人死亡 実質賃金が2倍以上に
・・・・・・他多数
核戦争なき平等化はありえるか?
平等化に有効だった戦争と革命は、20世紀の現象だった。
21世紀の私たちはいかにして平等化を実現するのか?
スタンフォード大学古代史教授が
石器時代から現代まで、壮大なスケールで
世界各国の不平等の歴史を描き出す。
現代世界の不穏な空気を読み解く衝撃の書
世界11カ国で続々刊行!
FT & マッキンゼー ビジネス・ブック・オブ・ザ・イヤー話題作
【推薦の言葉】
「所得の不平等の歴史に関する最高の書物」
――タイラー・コーエン(ジョージ・メイソン大学教授、『大格差』著者)
「新石器革命から現代までの強力な長期分析。その点で本書を超える本はない。際立って斬新だ」
――フィリップ・T・ホフマン(カリフォルニア工科大学教授)
「挑発的な分析。理性、証拠、緻密なスタイルによって書かれている」
――スティーブン・ピンカー(ハーバード大学教授、『暴力の人類史』著者)
暴力と不平等の人類史
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暴力と不平等の人類史 戦争・革命・崩壊・疫病
2020/07/11 13:38
不平等から平等へ
3人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦争や災厄によってもたらされる、富の流動について鋭く考察しています。世界情勢が不安定な今の時代で、いかにして格差是正を実現するのか考えさせられました。
2024/08/08 18:10
悲観的絶望的な記述
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
長大な著書であり 膨大な実例を挙げて不平等.格差の変化の実情 原因について論じている。かなりの箇所で同じエピソードの繰り返しがあり「冗長」との印象を抱いた。
しかし、印象に残る箇所 感銘を受けた箇所も数多くあった。例えば下記のような文章である。
歴史的に見れば、格差の是正 平等化には黙示録の四騎士黙示録の四騎士(戦争 革命 崩壊 疫病)による大惨事が必要であった。黙示録の四騎士のうち平等化に一番貢献したのは一番多くの割合の人を殺した「疫病」である。労働者が減ると労賃が上昇し、格差が解消してゆく。
現在の日本の労働者減も、移民による労働力補充などをしないと労働力不足による賃金向上が実現でき、格差が解消する。
急進的な暴力的な格差是正(中国共産党の例)少しでも余分に働き少しでも所得が多いと、ブルジョアだと目をつけられる。みんな「貧乏こそ最高だ」と考え最低限しか働かなくなる。
格差の解消≒みんな貧乏なレベルへ収斂するということ。特に上流階層の貧困化。
(例)ニカラグア社会主義革命政権が暴力的な強制に頼らずに、民主的多元共存を目指したことが、有効な平等化を果たせなかったことの決定的な要因。→平等化に暴力は必須。
共産主義革命.冷戦の恐怖によって、西側諸国の福祉政策 格差是正がある程度進められた。
平等化≒非文明化≒貧困化
原因は生産能力≒農地面積:人口増加 か
義務と権利は対になるものである。
男性の参政権=徴兵義務
女性の参政権=軍需産業労働 女性の権利向上
そして、今後の不平等の解消 格差是正への道筋を述べているはずの最終章でも
「多くの暴力を伴うほど平等化は効果的」「民主化が進めば不平等は解消する という状況は、実績としては証明されていない。」「暴力がない長期的本格的な平等化の証拠はまったくない。」
という悲観的絶望的な記述となっている。
暴力と不平等の人類史 戦争・革命・崩壊・疫病
2020/03/27 13:33
歴史の一つの見方
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:怪人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者はアメリカ。スタンフォード大教授であり、歴史学、人類生物学等を専門分野している。
所得の富と分配の格差としての不平等、経済的な不平等は歴史的に見れば増加していくものであるが、いくつかの要因により不平等が減少することもある。その減少する理由を解き明かそうとするのが本書のテーマである。
大きな要因として戦争・革命・(国家の)崩壊・疫病を挙げ、世界の歴史を縦横断に考察している。その中で、戦争や革命などによる暴力的衝撃が不平等減少に影響する重要因子となっていると指摘する。20世紀の2回の世界大戦は顕著で唯一といってよいほどの事例である。しかし、この事例でもその後の経済発展、人口回復などの進展によって、平和な時代が維持されると、再び不平等は拡大、増加することになってしまう。それが現在の姿だ。
21世紀の今日、20世紀の大戦のような暴力的衝撃は期待できないだろう。すると、どのようにこの不平等問題を解決するのか。不平等が深刻化することの問題は多数の貧困問題であり、世代間の経済的、社会的流動性の低下であり、この影響は人間社会の社会経済発展に影響を及ぼし、有害なものになる。
およそ600頁に及ぶ大著であり、読み通すにも疲れる場面もあった。大凡読み終えたが、読後の印象は複雑だ。人類の歴史を不平等という観点から通覧し、考察することは歴史の一つの見方として興味深い。だが、先史時代から今日まで人類は確実に豊かになっている。故に、これほどまでに人口が増えた。人間の叡智をまず評価することも必要であろう。