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3件
ストーリーが世界を滅ぼす
著者 ジョナサン・ゴットシャル , 月谷真紀
なぜ私たちはあの人の論破にだまされるのか。
事実と物語は混ぜるな危険!
陰謀論とフェイクが溢れる世界で生き抜く「武器としての思考法」。
文明を築くのに一役を買ったストーリーテリング。その伝統あるストーリーテリングが近い将来文明を破壊するかもしれない。
ストーリーテリングアニマルである私たち人間の文明にとって、ストーリーは必要不可欠な道具であり、数え切れない書物がストーリーの長所を賛美する。
ところが本書の著者ジョナサン・ゴットシャルは、ストーリーテリングにはもはや無視できない悪しき側面があると主張する。
主人公と主人公に対立する存在、善と悪という対立を描きがちなストーリー。短絡な合理的思考を促しがちなストーリー。社会が成功するか失敗するかはそうしたストーリーの悪しき側面をどう扱うかにかかっている。
陰謀論、フェイクニュースなど、SNSのような新しいテクノロジーがストーリーを拡散させ、事実と作り話を区別することはほとんど不可能になった。人間にとって大切な財産であるストーリーが最大の脅威でもあるのはなぜなのか、著者は説得力をもって明らかにする。
「ストーリーで世界を変えるにはどうしたらいいか」という問いかけをやめ、「ストーリーから世界を救うにはどうしたらいいか」と問いかける書。
スティーブン・ピンカー、ダニエル・ピンク絶賛!
ストーリーが世界を滅ぼす
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ストーリーが世界を滅ぼす 物語があなたの脳を操作する
2022/10/07 14:35
物語が持つ恐ろしさ
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
物語の語り手が世界を支配する。語り手の意志に基づく「加工されたストーリー」。物語は私たちに感情を抱かせるものであり、そして感情は人間の意思決定の主要な要素である。あらゆるストーリーは、非常にステレオタイプ化された構造に従っており、普遍的な法則がある。この法則には少なくとも2つの主要な構成要素がある。第一に、世界のどこでも物語は困った問題を解決しようとする登場人物を扱っている。物語のテーマはトラブルだ。第二に、物語はその奥に道徳的要素を含んでいることが多い。人の心が物語の空白を忌み嫌うから仕方がない。
ストーリーが世界を滅ぼす 物語があなたの脳を操作する
2023/11/18 22:33
ストーリー 問題起こす 場合あり
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:清高 - この投稿者のレビュー一覧を見る
1.内容
「フィクションを大量に消費する人はニュースを大量に消費する人に比べ、自分が『悲惨な世界』ではなく『良い世界』に生きているという信頼感が強い」(p.150)だとか、「フィクションの消費の多さが共感力テストの高い得点と相関する」(p.174)だとか、フィクションにはいいところもある。しかし、それらには、分断を招くといった悪いところもある。先ほど「ニュース」に言及したが、フィクションであれニュースであれ、人間が進化した過程で出来上がったフォーマットのあるストーリーである。本書はストーリーの生成過程を詳細に検討し、その問題点を検討するものである。
2.評価
(1)ヒトが連綿と受け継いだストーリーの作り方がわかる。キリスト教やイスラム教などの世界宗教がなぜそうなったのかもわかる。そして「でかメガホン」ができるまでになった恐ろしさもわかる。つまり、ストーリーの特徴やその具体例、そして問題を示しているものである。
(2)(1)のような本なので5点としたいが、第6章の内容で1点減らして4点とする。ジョナサン・ゴッドシャルは「リベラルバイアス」(p.239)に言及する。これ自体は正当だと思うが(どんな人にもバイアスがあると思っているので)、「『真実がリベラル側に近いのなら仕方ないんじゃないの?』」(p.241)というのは、とりわけアメリカにおいて当たっていると筆者が判断するからである(ダーウィンの進化論に対するアンチテーゼの創造説が正しい理由がわからないから)。
ストーリーが世界を滅ぼす 物語があなたの脳を操作する
2022/11/08 12:07
本当に怖い話
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ストーリーテリング(物語化)が文明を滅ぼすかも知れないというこわいお話。確かにストーリーを合理的、単純化したほうがわかりやすい、主人公は善、主人公に対立する人を悪と、簡単に善悪で色分けしたり、自分の気に入らない情報を陰謀論、フェイクといってみたりすることの怖さは、あの大統領やあの国家主席の発言で私たちは経験済みだ