ザリガニの鳴くところ
ノースカロライナ州の湿地で男の死体が発見された。人々は「湿地の少女」に疑いの目を向ける。6歳で家族に見捨てられたときから、カイアはたったひとりで生きなければならなかった。読み書きを教えてくれた少年テイトに恋心を抱くが、彼は大学進学のため彼女を置いて去ってゆく。以来、村の人々に「湿地の少女」と呼ばれ蔑まれながらも、彼女は生き物が自然のままに生きる「ザリガニの鳴くところ」へと思いをはせて静かに暮らしていた。しかしあるとき、村の裕福な青年チェイスが彼女に近づく……みずみずしい自然に抱かれた少女の人生が不審死事件と交錯するとき、物語は予想を超える結末へ──。
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2021/07/03 22:24
圧倒的な自然描写
11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うみしま - この投稿者のレビュー一覧を見る
新聞の書評を見たときからずっと読みたいと思っていた本です。
自然の描写力に圧倒されました。まるでジョセフコンラッドの本に出てくるような
濃密な湿地を思い浮かべました。
そのうえで、挿入されている詩ストーリーの展開をになっていることも魅力的です。
著者は動物学者でもあり、長年アフリカで研究をしていたという方なので、
観察力は言うまでもないのですが、小説としてこれほど詳細に表現できる力もある、アメリカのSTEAM教育を目の当たりにした気がします。
訳者の後書きにもあるように、この本はサスペンスとしても上質ですが、少女の成長譚としても、また自然観察の描写としても上質な読み物となっており、とても重層的な味わいがありました。
それにしても、70歳にして初の小説がこれほどの完成度とは。年を重ねることへ少しパワーをもらった気がします。
2020/07/24 13:43
瑞々しい文体に感動!
13人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:本と床 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本屋の棚で見かけた時は、ザリガニは鳴くのか?と間抜けな思いをもってずっと気になっていた本書、やっと謎が解けたのと、久々の感動ものの瑞々しい文章。
生物や動物行動学の本もよく読むが、押し付けがましくならず上手く取り込まれ、それでいてミステリーであり、恋愛小説、社会問題、人間の孤独について、いろんな要素を詰め込みながらも力強く、繊細な表現はまさに感動です。
ザリガニの鳴くところ
2021/04/27 13:19
語彙を失うほど素晴らしい
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なっとう - この投稿者のレビュー一覧を見る
★自然、生物の知識も興味深い!
自然の描写はみずみずしく、美しいですし、まるで専門書を読んでいるような生物の知識も素晴らしい。
本当に知らないことばかりで驚きと、学びもありました。
★感情移入しすぎて号泣
物語途中から、カイアに感情移入しすぎたのか、涙が止まらなかったです。こんなに感情移入できたことはないかもしれません。
★衝撃の結末
私にとっては思わず「えっ」と声が出るような結末でした。
この読後感は今まで味わったことがないぐらい複雑です。