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国民の底意地の悪さが、日本経済低迷の元凶
著者 加谷珪一
他の先進国が消費を拡大する中、なぜ日本だけが沈み続けるのか――原因は、緊縮財政でも消費増税でもなく「日本人の性格」だった。高度成長からバブル期は、人口増加、輸出主導で我が世の春を謳歌した。が、自己陶酔した「優しさ」「思いやり」「絆」の像とは裏腹に、じつは猜疑心が強く、他人の足を引っ張るという隠れた国民の本性が、「失われた30年」で明らかになった。後ろ向きな心持ちでの景気向上はあり得ない。本書は日本人の消費マインドが萎縮する現状を分析、数多のデータから景気浮揚できない理由を指摘し、解決策を提示する。
国民の底意地の悪さが、日本経済低迷の元凶
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国民の底意地の悪さが、日本経済低迷の元凶
2022/03/13 14:04
「ごもっとも」ただただ納得・同意する内容です
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本の経済がここ30年、低迷している理由。それは、日本人独特の考え方が大きい。という持論を著者がこれでもかと主張している1冊です。
勢いで言っている部分も見受けられますが、実際に読んでみると「ごもっとも」と思われる主張で、ただただ納得・同意する内容でした。
私は著者の主張は、ぜひ一度聞く価値が十分にあるものと思います。ぜひ多くの皆さん、日本人に読んでほしいと思います。
また、経済学の基礎も勉強し直せる1冊です。
国民の底意地の悪さが、日本経済低迷の元凶
2022/03/10 17:00
本の題名だけで決めつけないないで
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雑多な本読み - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書の「国民の底意地の悪さが、日本経済低迷の元凶」という表題で引いてしまう人がいると思う。しかし、せめて目次だけでも見ておく必要がある。
目次を見ると、
はじめに
第1章 日本人のマインドは特殊?
第2章 マインドが経済にもたらす致命的な影響
第3章 日本はなぜかつて高成長だったのか
第4章 経済学は消費を増やす方法を教えてくれない
第5章 明治から議論になってきた日本人の思考回路
第6章 本当の日本文化を取り戻せば消費は拡大できる
おわりに
というもの。底意地の悪さはマインドということになろう。
筆者が記者として活動していた時は、バブル崩壊後であり、金融機関、企業の多くは不良債権の処理を先延ばししていた頃であり、産業転換の時期にもかかわらず、すべてを先送りしていた状況を伝える。
新しい発想や提案を具体的に検討を行うことがなく、時代を読まず、空気(ムード?)を読むことに専念してきた企業、官庁の問題を理論的に解説する。最新技術の傍に前近代的な村社会がある。テニエンスのゲマインシャフト、ゲゼルシャフトを引用したり、マルクス主義を取り上げる。
たしかに、日本が高度経済成長を進めた経営者、官僚は資本論ぐらいは読むのが当たり前だったころに比べると、今の経営者、官僚は勉強不足と批判されていることを思い起こす。やはり、古典といわれる書籍を読み込んでおいて、はじめて著者の意図が理解できるのだろう。
この日本人のマインドを国民性や島国根性というわけのわからない結論に持っていくのでなく、歴史的な流れから見て、決してそうでないことも説く。
高度成長期は、たまたま国内消費だけでなく、為替や労働コストが低い時代に輸出することにより、多くの外貨を稼ぎ、莫大な対外資産を持つに至っていることで前向きになれた。
1945年の敗戦で疲弊した日本は、1950年の朝鮮戦争で供給地となり、日本企業は復活し、輸出拡大に繋がっていくことも触れている。
しかし、賃金も上昇し、ハイコスト構造に入ると低成長に向かうが、その時の切り替えができないことに触れ、2つの道を提示する。
ここでどんなマインドを持つかという提起である。あとは、一度お読みいただき、自ら考えることに価値があるだろう。