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ペアレントクラシー 「親格差時代」の衝撃
著者 志水 宏吉
日本は「ペアレントクラシー(家庭の文化資本で人生が決まること)」の社会になりつつある。親の経済力と子どもの学力の相関関係が年々高まっているのだ。生徒、保護者、学校、教育行政の現状と課題を照射し教育公正の実現に求められる策を提言する。
ペアレントクラシー 「親格差時代」の衝撃
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ペアレントクラシー 「親格差時代」の衝撃
2022/09/19 19:37
『ペアレントクラシー』
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ペアレントクラシー」とは「親の影響力がきわめて強い社会」のこと
アリストクラシー(身分社会)からメリトクラシー(業績社会)を経て、1990年を転換点としてペアレントクラシーに移行しつつある社会の様相を描き出す意欲作
歴史と現状、展望を記した第1章、第6章にはさまれた第2章〜第5章では、子ども、親、教師、教育行政、それぞれの視点から当事者の声を紹介しながらペアレントクラシーの諸相を読み解いていく
《家庭環境の違いが子どもの人生を大きく変える“親ガチャ”社会の現状とは》──帯のコピー
著者は大阪大学大学院教授
『学力格差を克服する』『教師の底力』『二極化する学校』など、専攻とする教育社会学・学校臨床学の立場から一般向けにも精力的に発信している
「好きな人と好きなことができる」幸せのために、2022年7月刊
ペアレントクラシー 「親格差時代」の衝撃
2022/07/31 22:55
現代の教育現場の問題点を見事に指摘しています。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
現代の教育現場で如実に見られるようになっている、親の経済力で子の学力が違うという、いわゆる「ペアレントクラシー」について、教育学者の著者が分析して新書にした1冊です。
確かに、思うところも多い内容でした。
なお、著者が現在、大阪で働いているからでしょう、大阪の教育現場についての文章が紙幅の大半を占めています。
2024/09/26 22:10
「卓越性の 多元化」ホントに 特効薬?
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:清高 - この投稿者のレビュー一覧を見る
1.内容
近代以前の教育はアリストクラシー(貴族主義)で、少数の貴族だけが教育の恩恵を被った。近代はメリトクラシー(能力主義)となり、誰でも努力すればそれなりの教育が受けられるようになった。ところが最近は、新自由主義の影響のもと、ペアレントクラシ―(親主義)という状況が出現した。すなわち、親に所得があり、いろいろな体験をさせることができる人の子が教育の恩恵を受ける一方、親に所得がないと教育へのアクセスが難しい状況にある。本書の著者である志水宏吉は、大阪大学の教授もあってか大阪の教育に詳しく、外国人等のしんどい人の存在を知っているので、本書で問題にしているペアレントクラシ―に批判的で、「脱ペアレントクラシ―への道」(p.205)を考察するものである。
2.評価
(1)志水の経験がいい方向に出ている。大阪という、大阪維新の会の新自由主義的な教育改革を目の当たりにし、学力の二極化が生じている(p.157.図表4-2)ことなども考慮して、「公正の第一原理化」(p.233.「まず公正の原理が尊重されなければならない」)を主張しているのはなるほどと思った。
(2)また、志水は、「卓越性の多元化」(p.233)も提言している。たしかに現在は「学業価値一辺倒の卓越性」(同)かもしれない。しかし、多元化しても、ペアレントクラシ―というのは解消されないのではないだろうか。部活動の維持が容易ではない現状ではそうなると予見できる。
(3)以上、志水の主張に概ね賛成する意味で5点、「卓越性の多元化」でもペアレントクラシ―が解消されないと思われる点で1点減点し、4点とする。