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経済政策で人は死ぬか?:公衆衛生学から見た不況対策
著者 著者:デヴィッド・スタックラー , 著者:サンジェイ・バス
緊縮財政は国の死者数を増加させる!
世界恐慌からソ連崩壊後の不況、サブプライム危機後の大不況まで、世界各国の統計を公衆衛生学者が比較分析した最新研究。
不況下において財政刺激策をとるか緊縮財政をとるかは、人々の健康、生死に大きな影響を与える。
世界恐慌から最近の「大不況」までの各国の統計から、公衆衛生学の専門家が検証した最新研究。
長年の論争に、イデオロギーではなく、「国民の生死」という厳然たる事実から答えを導く一冊。
緊縮財政が著しく国民の健康を害して死者数を増加させるうえ、景気回復も遅らせ、結局は高くつくことを論証する。
経済政策で人は死ぬか?:公衆衛生学から見た不況対策
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経済政策で人は死ぬか? 公衆衛生学から見た不況対策
2018/07/01 20:01
経済政策で人を救え、ということ
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:miyajima - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者二人は疫学者。疫学は病気の本態や原因、影響を調べるのが仕事だが、経済にも応用し、政府の予算編成や経済政策の選択がその国民の生死、病気への抵抗力、死亡リスクをどう左右するかを調べた結果が本書の内容。
ちなみに原著書名である「The Body Economic」とは「ある経済政策の下に組織された集団。その政策に影響を受ける集合体としての国民」のこと。著者は疫学をボディエコノミックに応用した
で、財政緊縮か財政刺激策かという選択はどのような影響を健康に及ぼすのか。それらは大恐慌、ソ連崩壊、東アジア通貨危機などのように世界規模で自然実験が行われてきた。その結果はどうか?緊縮政策をとった国は大きな代償を払うことになったことが明らかになった。経済政策の結果は経済成長率だけでなく平均寿命の伸縮や死亡率の増減にあらわれた。
社会保護政策は命を救う。そしてそれを正しく運営すれば財政を破綻させることにならず、むしろ景気を押し上げる。緊縮政策の提唱者たちは、すでにデータで明らかになっている健康上、経済上の影響をひたすら無視して否定してきたのだ。
先日読んだ「そろそろ左派は〈経済〉を語ろう」とあわせると、もう緊縮一辺倒はやめた方がいいと思うのだがどうか。
た、だ、し、気を付けるべきは単なる積極財政が推奨されるのではなく、求められるのは社会的セーフティネットへの十分な投資である点。特にALMPと呼ばれる積極的な社会保護政策は自殺リスクを下げる最も有効な手段だと断言されている。
経済政策で人は死ぬか? 公衆衛生学から見た不況対策
2018/07/02 11:57
医療統計を経済学の視点から分析した画期的な書です!
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、これまで類書のない稀有な書です。というのも、医療統計を経済学の視点をもって分析したもので、緊縮財政が死者数を高めていたという驚くべき結果が導き出されています。著者は公衆衛生学者で、本書の視点はとても興味深いものとなっています。経済学と医療統計とを合わせた視点は、とても新鮮で私は、読んだとたんに本書の内容に引き付けられてしまいました。
2024/12/04 07:01
実験ができない社会科学
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
社会科学は実験ができない残念な学問であり「科学」の名に値しない、という主張を聞いたことがあるが、本書はその意見に対する手厳しい反論である。膨大なデータの収集、整理、分析 という作業があったはずで、その労苦に対し敬意を表したい。本題である経済政策の話にも大変感銘を受けた。現在の日本でも、財政均衡派と緩和派とで論争が続いているが、国民の健康 そして生死の問題をどこまで認識しているのか疑問である。本書に基づき 論争に一石を投じたいものだ、