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8件
この夏の星を見る
著者 辻村深月(著者)
亜紗は茨城県立砂浦第三高校の二年生。顧問の綿引先生のもと、天文部で活動している。コロナ禍で部活動が次々と制限され、楽しみにしていた合宿も中止になる中、望遠鏡で星を捉えるスピードを競う「スターキャッチコンテスト」も今年は開催できないだろうと悩んでいた。真宙(まひろ)は渋谷区立ひばり森中学の一年生。27人しかいない新入生のうち、唯一の男子であることにショックを受け、「長引け、コロナ」と日々念じている。円華(まどか)は長崎県五島列島の旅館の娘。高校三年生で、吹奏楽部。旅館に他県からのお客が泊っていることで親友から距離を置かれ、やりきれない思いを抱えている時に、クラスメイトに天文台に誘われる――。コロナ禍による休校や緊急事態宣言、これまで誰も経験したことのない事態の中で大人たち以上に複雑な思いを抱える中高生たち。しかしコロナ禍ならではの出会いもあった。リモート会議を駆使して、全国で繋がっていく天文部の生徒たち。スターキャッチコンテストの次に彼らが狙うのは――。哀しさ、優しさ、あたたかさ。人間の感情のすべてがここにある。
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2023/08/11 12:01
辻村先生ありがとう
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kochimi - この投稿者のレビュー一覧を見る
まずは辻村先生にありがとうと言いたい。
コロナ禍の学生たちは、
日々の生活も学校行事も制限されて、かわいそう、
の一言でくくられることに違和感を感じていた。
何年か後に教科書に載る記録では、
きっと喪失の部分に焦点があてられるのだろう。
でも、それだけじゃなかったんだよ、
とあの頃の彼らの姿を切り取ってくれたこの小説が教えてくれる。
コロナ禍でも立ち止まっていたわけじゃないこと、
マスク越しでも目の表情で伝え合ったこと、
つながり方の多様性で世界が広がったこと、
できないことを嘆くだけじゃなくて工夫を凝らして楽しんだこと、
奪われっぱなしの弱い存在じゃなかったことを伝えてくれる。
「違う場所にいても、空はひとつだから星は見られる」
2025/04/14 11:33
コロナの青春
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:はぐらうり - この投稿者のレビュー一覧を見る
感情が、昂る。
後ろのほう、ずっと泣いてた。コロナを真正面から捉えた青春小説。登場人物みんな素敵だったなあ。子どもには、こう育ってほしい、というような。親もなんだかんだ良かった。救われた。謝辞に母校が載っててなんだか嬉しかった。
2024/05/04 04:23
コロナに負けない子どもたち
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:future4227 - この投稿者のレビュー一覧を見る
今年の公立高校入試では、埼玉、群馬、東京の同日入試でこの本から出題された。コロナ禍における鬱々とした学校生活の中で、なんとか楽しみを見つけ出したり、新たな目標や目的を見出したりして、逞しく生きていく中高生たち。同調圧力やコロナ差別によって人間関係までがぎくしゃくしていく中で、天体観測を通して新たな友情や交流を作り出していく様が微笑ましい。彼らを陰で支える先生たちも素敵だ。それにしても北極星が数千年に一度のサイクルで別の星に替わるって驚き!