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宗像教授異考録
著者 星野 之宣
東北地方に古くから存在する巫女・イタコ。縄文時代から続くとも言われるその伝承の秘密をテーマに講義を行う宗像のもとに、かつての教え子・津島が訪ねてきた。夫と死別し、用事が終われば故郷・青森へ帰るという津島と当地での再会を約束した宗像は、調査のためひとり青森の地に降り立ち、西津軽郡木造町に住むイタコ・赤倉ハルのもとを訪れる…。
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宗像教授異考録 15
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宗像教授異考録 第1集 (ビッグコミックススペシャル)
2005/09/06 13:30
新シリーズでも宗像教授の推理は冴えまくり!
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:カルバドス - この投稿者のレビュー一覧を見る
古代に思いを馳せるという行為は、気持ちを落ち着かせてくれる。様々な遺跡や出土品などから推測したり、それらを見ながら生活風景を想像していると、現代社会の煩わしさからほんの一時ではあるが解放されるのだ。だから、フィールドワークを繰り返しながら推理を展開する宗像教授に憧れてしまう。もちろん、食べていくための仕事となると苦労は多いだろうが、それでもやはり魅力的な仕事であることに違いはない。
宗像教授の新シリーズの最初を飾るのは、“いたこ”である。青森県は恐山にて行われる“口寄せ”という儀式が有名なので、彼女達の存在をご存知の方も多いだろう。物語では、この“いたこ”と遮光器土偶を絡めている。宇宙人や古代の支配者、あるいは単なる女性像とも言われる独特の形状をした土偶。共に神秘的な“いたこ”と土偶が交わる点は何なのか、キッパリとしていながらも宗像教授の推理は温かい。
同時収録作品には前シリーズからお馴染みのライバル(その妹も)も登場し、歴史の推理合戦も楽しめる。現在まで残された当時の数少ない証拠品から、どのように推し量ればよいのか、毎度のことながら、宗像教授の論はロマンを感じさせながら的を射ている。当時の様々な状況を考慮することがいかに重要かが分かるというものだ。
宗像教授が仏教団体のオブザーバーとして招かれ、インドを旅する話も収録されている。“袈裟”の名の由来や当時の思想等も分かりやすく解説されていて、旅行に参加している多くの生臭坊主達の会話を聞いていると、思わず彼らのことを笑ってしまいそうになる。「あんた達は、仏教のぶの字も分かっちゃいないよ」と。訪れた先の洞窟の中で、宗像教授は不思議な体験をする。人間とは何か、運命とは何か。そのスケールの大きさに、読後もしばらく余韻が消えなかった。
宗像教授異考録 第2集 (ビッグコミックススペシャル)
2006/07/02 12:09
七夕伝説もヨーロッパへ繋がっていくのか
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
舞台をビッグコミックに移してからの宗像教授は、それまでに比べると荒々しさを表に出さず、優しさで動いているように見えます。まあ、単純に時間の流れに沿って、教授も歳を取ったということだけなのかもしれませんが。
『異考録』第2巻は、昔話花咲爺、邪馬台国、七夕伝説を題材に歴史を読み解こうとしています。中身を書いてしまうとネタバレになってしまいそうなので想像してもらうしかないのですが、今も昔も日本は決して日本だけで成立していたわけではなく、アジアからヨーロッパに至るまで世界と大きなかかわりを持って成立していたのだということを、一つ一つの話から教えてくれます。
これが真実かどうかわかりませんが、もっとこんな大胆な話を織り交ぜてくれれば、学校の歴史も面白くなるだろうし、そうすればこうしたマンガももっと興味を持って読むことが出来るだろうに、と思ってしまうのは私がもともと歴史好きだからでしょうか。
宗像教授異考録 第11集 (BIG COMICS SPECIAL)
2009/08/16 11:38
ステッキにも謂れがあるとするなら、帽子もか?
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
復活から5年、『異考録』としては11集となります。
正史として語られてきただけでは知ることのできない民族の記憶、記録をどれだけ追って行っても語りつくすことはできないということなのでしょう。しかも語ることそのものにも時間の経過があるということを、この第11集は教えてくれました。
『異考録』第1集で登場していた僧・阿南に関わる話が「第3話 裂けた仮面」として出てきます。ここで取り上げられている仏像そのものも私にとっては衝撃的なものだったのですが、5年を経てまたこの『異考録』そのものも時間の流れとともにあるのだということを実感させられました。それにしてもこんな仏像があるものなのかと、何度も読み返してみたくなります。
この巻自体のメインは「第2話 無限回廊」でしょう。宗像教授の過去、しかも悲しい過去と伏見稲荷にまつわる朱と鏡と蛇の話が絡まりあい、謎解きへと進んでいくのですが、宗像のトレードマークでもあるステッキの謂れまで描かれているというものです。
このように第2話、第3話は読ませる話でしたが、「第1話 扶桑伝説」は話そのものはいつもの宗像調ではあるものの、随所に織り込まれている先人たちの情景にいろいろ想像させられてしまい落ち着きどころがよくわからない感じもしました。時々描かれる抒情的な話だったようにも思えます。
それにしても、まだまだ語りつくされることはないのでしょうし、新たな発見等により歴史はいくらも書き換えられる可能性があるわけですから、これからも宗像教授の推理、解釈は留まるところがないのでしょう。