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黄色い部屋の謎【宮崎嶺雄訳】
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黄色い部屋の謎 新版 (創元推理文庫)
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紙の本
古典的密室殺人
2019/12/13 23:49
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
古典的な密室ミステリー事件。『オペラ座の怪人』で知られるガストン・ルルーによる。作中に、同時代のエドガー・アラン・ポーとコナン・ドイルに対する視線が感じられて面白い。ルールタビーユ青年が「黒衣婦人の香り」をかぐと幼少期を思い出す場面はなんとなく吉川英治の作品に似てる気がする。『黒衣婦人の香り』という続編があるようなので、読んでみたい。
紙の本
20世紀を冒険する
2013/05/26 01:58
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
有名な探偵小説であるが、その犯人の行動は世の中の真ん中を、堂々と裏をかいた大胆なものだ。それを暴こうとする主人公ルーレタビーユ青年が立ち向かっているのは、事件の犯人というよりは、むしろ犯人の属する社会体制そのものという趣きだ。
ルーレタビーユは、新聞記者の立場で、警察の中に入り込み、被害者との個人的な交友で秘密を聞き出し、ライバル探偵と推理競争をし、時には犯人との格闘さえ怖れない。20世紀初めのフランス社会自体が持つ、謎や壁に風穴を空けて突き進むことで、事件解決に挑む。
これは探偵小説でありながら、ヨーロッパ大陸から新大陸へと繋がった、新しい世界秩序の暗黒部分を探索する冒険小説のようでもある。そうして既成の体制に風穴を空けなくては解けない謎というものがあるのだ。
むしろそれは、物理的、科学的には新しくなった世界ではあるが、社会体制はその広さとスピードに付いていけないままであって、ただその間隙を突くことを編み出した悪党がいて、その追跡者にはが必要とされていたということかもしれない。
事件被害者の父であるのは高名な科学者であり、その父娘による研究は原子物理学を彷彿させる斬新なものになっているのだが、かたや探偵や警察は論理なるものの扱いにも手を焼き、そのギャップは読者には目眩ましの煙幕となって迷宮を形作る。
それは作者による人工的な迷宮かもしれないが、そういえばこのルルーによる怪人の彷徨うオペラ座を迷宮たらしめたのも、ナポレオン時代からパリコミューンに至る歴史の錯綜の所産だったらしい。通俗的な読み物であっても、それが愛されるのは、そういう得体の知れない時代の空気を切り裂いて、生活者の手に真っ当な理屈と真っ当な平穏を取り戻すという効果をもっているからではないだろうか。もっともそんな真っ当で当たり前ということすら、時代とともに移り変わっているのだから、取り戻したように見えて、実は立ち塞がる壁を分解してみせて、初めて自分たちが奪われていたものを発見するということかもしれない。
なにしろその真っ当なる時間と空間は、権力者によって、そしてこの時代にはジャーナリズムによってねじ曲げられ続けているのだ。密室のトリックなんて曲芸も、ねじ曲げられた論理と同じように、ただ平凡な生活空間を約束されるために倒さなければならない敵でしかないのだ。
紙の本
瀕死の美女 2回生還す
2009/01/14 17:41
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
約100年前の1907年に書かれた密室ミステリの古典。
フランス、サント・ジェヌヴィーエーヴの森のそば、
グランディエ城に科学者スタンガースン博士が住んでいます。
その一人娘のマチルドが、内側から閉じられた黄色い部屋で
何者かに襲われます。
そして犯人はマチルドを襲いながら、姿を忽然と消してしまう。
ここに乗り込んでくるのが、弁護士のサンクレールと
新聞「エポック」誌の記者ルールタビーユ。
サンクレールはワトソン役の語り手であり
ルールタビーユが探偵です。
ルールタビーユは若干18歳ですが、
「感じのいい顔」をしていて
ほがらかで誰にでも好かれます。
グランディエ城に先に乗り込んでいた
フランス警察の名探偵フレデリック・ラルサンにも好かれ
ともに城の中で、調査をすることになります。
このルールタビーユとラルサンという二人の探偵は
全く相反する方法で、この難事件を調査し
全く違う結論を導き出していきます。
これがこの本格ミステリの読みどころのひとつでしょう。
確かに100年前ですから、おかしなところはいくつかあるのですが
キャラクターのおもしろさ、トリックなどは読みごたえがあります。
ただし、すべてが解決するのではなく
続編の『黒衣婦人の香り』に続くそうです。知りませんでした……。
ユニークなのは、被害者の令嬢マチルド。
35歳で独身。
15年間、父親の研究を献身的に手伝い、
ようやく婚約したところです。
絶世の美女であり、凶悪な犯人によって2回にわたり
瀕死の重傷を負いながらも、生還する不死身の女性。
そしてさらに深い謎を秘めているのです。
現代的な香りのする女性です。
紙の本
物語は面白い
2020/01/10 00:28
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ねったいぎょ - この投稿者のレビュー一覧を見る
途中までは面白かったのだが、最後の謎解きの場面になり、がっくりきた。あまりにも非論理的であり、実はこうだったという事実がいきなり探偵の口から明かされるという、かなり無理がある展開。作者は書きながら解決を考えていたのだろうが、良いアイデアが思いつかなかったようだ。しかし、物語自体は面白かったので、そこは良かった。