ツ、イ、ラ、ク
著者 著者:姫野カオルコ
地方。小さな街。閉鎖的なあの空気。渡り廊下。放課後。痛いほどリアルに甦るまっしぐらな日々--。給湯室。会議。パーテーション。異動。消し去れない痛みを胸に隠す大人たちへ贈る...
ツ、イ、ラ、ク
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商品説明
地方。小さな街。閉鎖的なあの空気。渡り廊下。放課後。痛いほどリアルに甦るまっしぐらな日々--。給湯室。会議。パーテーション。異動。消し去れない痛みを胸に隠す大人たちへ贈る、かつてなかったピュアロマン。恋とは、「墜ちる」もの。
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読み終えてみないと真価はわからない
2008/11/01 10:21
8人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
ツ、イ、ラ、ク 姫野カオルコ 角川文庫
読み始めました。しばらくして、やめておけばよかったと後悔しました。いじめのシーンから始まっています。こういう記述内容が、わたしは嫌いです。2週間かけて読み終えました。読み終えてみれば心に残るいい作品でした。中学校の教職員が女生徒に手を出すことがあるのだろうか。本当なら女性であることはとても悲しい。
感じたことを順番に記してみます。
冒頭に出てくる「賭ける」の定義がいい。準子(じゅんこ)の視線による記述から急に統子の視線に変化する記述は不思議です。自叙伝なのだろうか。説明がわずらわしい。小学校2年生の設定は苦しい。
いつまでこの退屈さが続くのだろうか。序盤を過ぎて文章がリズムにのってきました。やはり自叙伝? 登場する町名等の匿名化が単純です。作者は何歳のときにこの作品を書いたのだろうか。(45歳前のようです。)作者の観察眼がおもしろい。「アイコ16歳」のようでもある。「ライ麦畑でつかまえて」のようでもある。長文は作者の経験が過去から現在へと説明されているだけにすぎない。詩の挿入はわずらわしい。複雑でめんどうくさい記述は女性特有のものだろうか? 実父母を亡くした養女の心のゆがみ。そこから派生する恋愛関係の崩れは、作者の自己陶酔の世界です。悲しみと哀愁がただよう。人間達は、一瞬(ひととき)を造り続けている。章「放課後」は秀逸です。記述は幻想的です。人は排斥のための行為をするが、人の心はそれほど単純ではありません。文中に出てくる洋風話や数学の項目を理解することが難しい。中盤から後半にかけて、盛り上がって収まっていく終息感がとてもいい。上品で落ち着いている。後半はゆるやかでたおやかな日本映画の画像を見ているようでした。
「ツイラク」タイトルと中身が合わない。読み終えてしばらくしてようやく気づいた。「ツイラク」ではなく「ツ、イ、ラ、ク」というタイトルだった。読点の意味はなんだろう。
女子中学生という苦しかった設定が後半に報われる。女性の憎しみだろうか。
経過した年数の中途半端さがいい。ラストは泣けてくる。本は最後まで読み終えてみないとその真価がわからない。主人公のふたりはまた荒れた生活に向かっていくのだろう。
ぐっとくる
2017/03/14 12:38
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:プロビデンス - この投稿者のレビュー一覧を見る
登場人物が小学生から始まる物語であるが、実は大人向け、いや、中年以上向けの小説なのかもしれない。歳取ってしまったから幼かった時の出来事の意味がわかる、のか。
恋愛なるものの小説は凄い!
2014/09/28 09:28
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:wayway - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者曰く、「ツ、イ、ラ、ク」は「恋愛小説というより、恋愛なるものの小説」
と紹介するのがもっともすわりがいいと。
この長編を、最初は面白おかしく、そして途中からは結構、真剣に読み
ながら、何とも言えぬ懐かしさと、淡い感情、脂ぎった想い、狭い世界で
の息苦しさ、土の匂い、周囲の眼をとてつもなく大きく感じたこと等々を
思い出した。
ただ、著者が言うように、ただの恋愛小説ではない。
恋愛なるものの小説であるから、おそらくはそれぞれの個人的な
体験や思考に対して、かなりストレートに刺さってくる。
余りにも、強烈である直撃を受けてしまって、どこかにしまいこんだ
筈の感情が、戻ってくるのだ。
だから、せつないし、だから笑えてくる。
でも決してふざけたりしない。寧ろかなり真面目に感じているのである。
かなり、屈折した表現にも関心させられるが、このタイトルのつけかたでも
分かるように、著者は我が国でも希少なセンスを持った作家である。
何十年も昔の中学時代を思い出してしまった
2019/01/24 22:38
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
河村と隼子は中学教師と生徒の間柄であった時に肉体関係があった。そのことは、当時うわさにはなっていたが結局うやむやのまま何もなかったとして結論付けられたのだが、河村は学校を去り教師もやめた。それから20年後に二人は再会することになる。二人を好奇のめで見ていた中学生たちも今は30歳代半ばの大人、あのことが本当のことであったのか、ただのうわさであったのか、どうでもよくなっている。あのころ、隼子のことが好きだった三ツ矢も含めて。再会した二人がこれからどうなっていくのだろうか、私もどうでもいいと二人を突き放してみたいが、今度こそうまくいってほしいとも思っている。そういえば、今から思えば、大人びた近寄りがたい女の子っていたように思う。名前は思い出せないが
何もここまでオンナを否定しなくても。
2017/12/27 22:50
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
もともと気になっていた作家さんです。
「昭和の犬」を読んで、おかわりを探していたところ出会いました。
率直にいって自分の趣味に合わない部分がありましたが、
フラットに見れば衝撃のある作品であることは間違いないです。
さて。
表紙と裏表紙の紹介文は何とかならなかったのでしょうか。
読後の印象と焦点が合う場所がずれています。
濃厚恋愛系はどちらかというと苦手なのですが、読んでみたら
直球系の恋愛小説と感じました。自分の感性が、
実はずれているんじゃないかと冷や冷やしております。
ただし、この本は恋愛要素のほかにもっと目をみはる
側面があります。オンナというものに対するコンプレックスが
強烈すぎて圧倒されます。
実はそこが読み続けられる原動力となりました。
言葉の選び方ですが、わたしは男子・女子という言い方を
あまりしないようにしています。
それこそ中学生の頃まではなんとも思っていませんでしたが、
自分の年齢が上がるにつれ、子どもっぽさと、相手に対する
優越感みたいな心持ちが透ける気がするようになりました。
言葉そのものの問題ではなく、使う自分の年齢との
マッチングの問題です。
まして、オトコ・オンナみたいな訳知り顔の表現は
もっと抵抗があります。
論外ですが、会社のオンナノコなんていうオヤジどもは、
聞いているだけでおえーっとなります
(本当にいう人がいるんですよね、いまだに)。
でも、でも、この物語は「女子」「オンナ」と書くしかないような、
生々しい気分になりました。不本意ではありますが。
小学二年生の女子たちの集まりから物語が始まります。
グループ化、和を乱す者への仕打ち、呼び出し、軋轢、力関係。
読んでいて気分が悪いです。
女子に対する幻想を、力ずくで剥ぎとろうとするかのようです。
小学校高学年・中学校と話が進んでいきます。
女子は男子の幼稚さに辟易し、それをいなす術を身につけて
いくのが分かります。
そして自分があしらわれているバカ男子だったことを思い出して、
またしてもずずーんと気持ちが滅入ってきます。
そんな中でも救いのある登場人物がいて、読み進める
こちらも何とか泥沼を這いながらついてくのですが……
予想もつかない事件が起こります。
> 恋とは、「墜ちる」もの
どうにも受け入れられません。
というか、理解できません。
そんな心理状態になるにも関わらず、後半は一気読みでした。
謎です。
あの頃、自分はあの立ち位置だったよなと妙にリアルに
思い出させる小説です。
大恋愛した人には、夢が思い出せていいかもしれません。
黒歴史の人にはどうかな……