読割 50
電子書籍
クビライの挑戦 モンゴルによる世界史の大転回
著者 杉山正明
13世紀初頭に忽然と現れた遊牧国家モンゴルは、ユーラシアの東西をたちまち統合し、世界史に画期をもたらした。チンギス・カンの孫、クビライが構想した世界国家と経済のシステムと...
クビライの挑戦 モンゴルによる世界史の大転回
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
クビライの挑戦 モンゴルによる世界史の大転回 (講談社学術文庫)
商品説明
13世紀初頭に忽然と現れた遊牧国家モンゴルは、ユーラシアの東西をたちまち統合し、世界史に画期をもたらした。チンギス・カンの孫、クビライが構想した世界国家と経済のシステムとは。「元寇」や「タタルのくびき」など「野蛮な破壊者」というイメージを覆し、西欧中心・中華中心の歴史観を超える新たな世界史像を描く。サントリー学芸賞受賞作。(講談社学術文庫)
目次
- 第一部 あらたな世界史像をもとめて
- 1 モンゴルとその時代
- モンゴルの出現/目に見えるユーラシア世界/モンゴル時代のイメージ
- 2 モンゴルは中国文明の破壊者か
- 奇妙な読みかえ/杭州入城の実態/政治ぬきの繁栄
- 3 中央アジア・イランは破壊されたか
- チンギス・カンの西征と「破壊」/中央アジアでの「大虐殺」/中央アジアは駄目になっていない
- 4 ロシアの不幸は本当か
- 「タタルのくびき」/アレクサンドル・ネフスキーの評価/ロシア帝国への道
- 5 元代中国は悲惨だったか
関連キーワード
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
小分け商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この商品の他ラインナップ
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
モンゴルについての深い造詣。
2020/11/29 13:00
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:岩波文庫愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る
正直モンゴルについては殆ど知らず、しいて言うなら元寇くらいでした。また、イメージについても本書のあちこちで述べられている通り騎馬民族の獰猛振りにしか感じ得ていませんでした。それが、ボロボロと剥離していきました。
本書を通して一番良かったのは、著者の肩入れがなく、出来る限り文献と史実に照らして本書が著述されている点です。クビライの経済政策の素晴らしさは瞠目すべき最大点です。本書を読む迄この様な治世は知りませんでした。本書から学ぶ事が出来て良かったです。
3%の税のみで、後は基本的には自由通商という内容は当時として画期的だったでしょうし、血を流す侵略よりも無血での攻略を進めた点は意外であり、且つ凄さを感じました。侵略を主眼に置いたというよりは、大経済大国の設立を確立したクビライは先進的人物であり、高い評価を得て良いと思います。ただ時代がそれに追い付いていない感が致命傷でした。
多民族であっても良し、その地方の文化を奪略せずにそのままとし、交易を活発化し、人民を傷つけない、など凡そ縛り付けと逆のやり方で、世の発展に寄与した優れた手腕が現代に発揮されていれば・・、と考えてしまいます。
元寇についても少し触れられてありました。非常に興味深かったです。もっとこの部分を知りたい次第です。
紙の本
クビライの挑戦
2022/04/19 19:28
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
単なる中国の一王朝としてだけではなく、他のユーラシア地域との関わりも含めて論じている。元は中国において歴史を書き記している儒者たちによって否定的に扱われつつ、後に明に引き継がれた政策が多かったことも知れてよかった。
紙の本
モンゴル帝国のことがよく分かる良書です。
2017/09/06 09:07
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、13世紀初頭に突如築かれたンゴル大帝国について詳細に解説した歴史書です。チンギスハンの孫であるクビライハンの世界帝国の構想を探り出し、我が国で一般的に呼ばれている「元寇」や「タタルのくびき」などといったイメージを一掃する発想の大転換をもたらしてくれる良書となっています。
紙の本
通商を中心にした近代国家の成立
2015/10/25 10:04
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:okadata - この投稿者のレビュー一覧を見る
1説によると4000万人を殺したというチンギス・カンや元寇からモンゴル帝国・元は「文明の破壊者」という野蛮なイメージがある。最も悪者イメージを持つのは中国史においてだ。科挙の廃止なども文化の破壊として取り上げられている。しかし、どうやらこのイメージは多くが清の時代に作られた様なのである。満州族の清は漢人から夷狄と呼ばれるのを嫌がり少しの批判でも処刑した。その鬱憤が元の悪口に向かったと言うのだ。
1260年チンギスの孫の時代、第四代モンゴル帝国皇帝モンケの弟フレグがシリアに侵攻中にモンケの崩御の報せが届いた。兄クビライの即位を聞いたフレグはイランにフレグ・ウルス(国)を立ち上げた。アフガンあたりにはチャガタイ・ウルス、中央アジアからロシアにかけてのジョチ・ウルスそしてモンゴルから華北に広がり南宋を滅ぼすクビライの大元・ウルスと書くとモンゴル帝国が分裂した様に見えるが元々遊牧民族は緩やかな連合国家のようなものでクビライは大元・ウルスのカンでありモンゴル帝国のカアンとなったのだ。
クビライについては37才で表に出るまで目立った記録が残っていない。しかし帝国を代表する姻戚集団と譜代集団の長が義兄にあたりこの集団を代表する形で力を持ったらしい。クビライは科挙を廃止する代わりに実力主義でアラブ商人や江南の水軍、中華の官僚制度と何でもとりあげ世界貿易システムを作り上げた異才である。モンゴル騎馬軍団の武力、直轄する当時最も豊かな中華特に江南の経済力、そしてその富を循環させるムスリムの商業力がその力の源泉である。
大都(北京)を首都にしたのも明らかな理由がある。中央アジアと中華の接点だけであれば北京と言う場所はあまりにも辺境によりすぎている。しかし西安になく北京にあるものが水運だ。また当時世界最大の都市だった杭州を結ぶ京杭大運河を復活させたのもクビライだ。クビライの構想では海上の通商網が重視されているだから北京が首都になったのだ。同時に陸上交通網も整備され中央アジアの全ての道と駅伝網は夏の都、上都につながっている。
戦争の手段もなかなか独創的である。華北の地は北宋の時代に金と南宋の時代にすっかり荒れ果てており騎馬軍団が長期に軍をおける場所ではなくなっていた。さらには黄河、淮河、長江が横たわりこれを越えるのも大きな問題である。華北地域の荒廃が万里の長城以上の大きな壁になっていた。クビライは黄河沿いの開封を根拠地として漢水上流の襄陽を包囲、しかしまともに城攻めはせずやっているのは土塁を築いて少数を残し、籠城側が攻めて来たら飛び道具で追い払うという黒田勘兵衛の様な戦だ。
元寇自体が南宋攻略の一環であり、実際に主力となったのは江南の水軍である。当時人類史上最大の外洋大艦隊でありもし元寇が成功していたらと想像してみるとおそらく日本の自治は大元の統治の元で守られていただろう。役立たずと見られた制度は廃止されたかも知れないが博多が大元や世界との貿易港として栄えイスラム商人もやってきていたことだろう。
クビライの政策が受け継がれていればモンゴル帝国による大航海時代が生まれており、日本の姿も大きく変わっていたに違いない。モンゴルを追い出した明は紫禁城を造り北京を引き継いだが、鄭和の大艦隊は長続きせず北京を攻められた影響もあり万里の長城にエネルギーを注いだ。そしてモンゴルが活用したイスラムの海商ルートはルネサンスを経たヨーロッパが跡を継ぐことになった。
電子書籍
ヲーラーステインをもくさす
2021/12/14 01:01
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:719h - この投稿者のレビュー一覧を見る
中央ユーラシア史を専攻する著者が、
モンゴル視点で元の時代を描写した
本です。
クビライの事績が現代迄の中国史に
及ぼした影響がよく分かります。
ところで、著者の本を読むにあたっては、
釣り合いをとる為に、岡田英弘氏の本も
併読しておきたいところです。