戦争と平和 (三)
妻の死後, 田舎に隠棲する傷心のアンドレイを甦らせたのはナターシャだった. だが若さゆえの過ちから少女は誘惑者の手に. 苦境を救おうと奔走するピエールが冬空に見たのは, ...
戦争と平和 (三)
商品説明
妻の死後, 田舎に隠棲する傷心のアンドレイを甦らせたのはナターシャだった. だが若さゆえの過ちから少女は誘惑者の手に. 苦境を救おうと奔走するピエールが冬空に見たのは, ナポレオンとの再対決を予感させる, 巨大な1812年の彗星だった…… 新訳(全6冊)
目次
- 目 次
- 第 二 部(続き)
- 第 三 篇
- コラム15 行政改革
- 第 四 篇
- コラム16 借金生活
- コラム17 狩 猟
- 第 五 篇
- コラム18 モスクワとペテルブルグ
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巻末年表を使って何度も読み返す
2006/06/14 11:43
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ナポレオン戦争を描いたトルストイの不朽の大作の新訳、第三巻は第二部の後半3,4,5篇を収める。フランスとの講和条約が結ばれ、表向きは友好関係が結ばれている時期である。物語としても平和な部分であろうか、登場人物たちの恋、結婚の話が展開する一巻である。
若者たちはパーティなどで自由に好みの相手に近づくことはできるものの、いざ結婚となるとそれほど自由ではない。この巻のコラムにもなっているが、このころのロシア貴族たちは経済的に苦しく、多くの持参金をあてにできる相手との結婚を親がのぞむことも多かったからであろう。そういった制約もある中、「恋に恋する」ようなナターシャの若い心に影響し、影響される男たち。華やかな舞踏会や劇場の情景、田舎での狩や、クリスマスのお祭り騒ぎなどの情景が鮮やかに描かれる中に、登場人物たちの心の動きもきめ細やかに書き込まれている。
この第三巻まで、巻末にはその巻までの年表がつけられている。登場人物の節目的な出来事と、関連するヨーロッパでの歴史的出来事の年表である。どのできごとあたりまでが第一部なのか、さらには親切に文庫の各巻がどこからはじまるのかが記されているので、これまでを振り返るのにも便利である。寛政の改革、歌麿死去などの日本の出来事もちょこっと入っていて、「そのころ日本は・・」と想像をつないでくれるのもちょっとしたおまけとして面白い。
最終巻まで進めば、この年表だけであらすじを読んだ気になる・・・かもしれないが、現在進行形で進む心の変化、描写の味わいは、本文を読まないと伝わらない。何度も何度も読み返して味わうために、年表でその場所を探し出して再訪して読み返したい。