読割 50
電子書籍
ビート―警視庁強行犯係・樋口顕―(新潮文庫)
著者 今野敏
警視庁捜査二課・島崎洋平は震えていた。自分と長男を脅していた銀行員の富岡を殺したのは、次男の英次ではないか、という疑惑を抱いたからだ。ダンスに熱中し、家族と折り合いの悪い...
ビート―警視庁強行犯係・樋口顕―(新潮文庫)
ビート (新潮文庫 警視庁強行犯係・樋口顕)
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商品説明
警視庁捜査二課・島崎洋平は震えていた。自分と長男を脅していた銀行員の富岡を殺したのは、次男の英次ではないか、という疑惑を抱いたからだ。ダンスに熱中し、家族と折り合いの悪い息子ではあったが、富岡と接触していたのは事実だ。捜査本部で共にこの事件を追っていた樋口顕は、やがて島崎の覗く深淵に気付く。捜査官と家庭人の狭間で苦悩する男たちを描いた、本格警察小説。
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紙の本
長さを感じずに読み終えました
2018/05/20 08:37
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たあまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
今野敏『ビート』を読みました。
6月23日に始まって、七夕過ぎて終わる、ちょうど読んだ時期にぴったりの小説でした。
500ページ以上の分厚い本を、長さを感じずに読み終えました。
おじさん世代の嘆きや、体育会的文化への批判や、いろんなものが描き込まれて面白い。
実は、まちがえてシリーズ4作目を読んでしまった後の3作目でしたが、問題なく読めました。
ただ、やっぱり順番通り読んだ方が、4作目の面白さがちがっただろうなあと、うかつな自分を責めました。
紙の本
刑事の苦悩と崖っぷちに追い込まれた心情描写が秀逸
2008/06/29 21:32
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
今野敏のシリーズ物である。主人公は警視庁刑事部強行犯係に属する樋口警部である。私はすでに、『リオ』、『朱夏』を読んでいるので馴染みがあった。
強行犯係には似合わない性格の樋口警部であるが、そこが小説になり得る点でもある。
今回も殺人事件がストーリーのメインではあるが、その解決に重点を置いているわけではない。といえば、残るは捜査側の内情である。最近、警察小説というジャンルが出来上がってきたような趣があるが、警察小説はイコール推理小説ではない。とくにわが国では私立探偵の活躍する歴史や土壌がないので、捜査側といえば警察に決まってしまう。検察モノなども加わっているようだが、やはり捜査現場は警察の独壇場である。
捜査側が警察ならば、主役は刑事である。今回はシリーズの主役である樋口警部がストーリーの主役になっていない。今回は殺人事件に金融機関がらみの事件が加わっているので、強行犯の捜査一課だけではなく、経済事犯を担当する捜査二課も加わっている。
主役は捜査二課の刑事である。その刑事が追っている容疑者と刑事の身内である次男との関係がストーリーの根幹を成している。刑事は身内の犯罪に強い確信を持っており、独自の捜査を行うが、意外な結末を迎える。
刑事の苦悩がうまく描かれているが、刑事という職業柄、身辺がきれいでなくてはならない。身辺とは身内、家族を含むのである。こういう職業は目に見えない社会的な制約を課せられていることがよく分かる。
このストーリーは刑事の次男がのめりこんでいるダンスにも焦点が当てられている。親である刑事、樋口警部や抜け目なく登場する荻窪署の氏家刑事などもダンスに対する考え方が変わってくる。一般に考えられているダンスというものの概念を変えさせてくれる。この辺りの常識が変化する様子も社会風俗の一つとして興味深い。EXILEの人気や渋谷の通りなどを歩いてみると、実感として感じられるのである。
事件解決の有り様が中心ではないことは分かるのだが、あっさりし過ぎていて物足りなさが残る。推理小説ではないことも分かるが、もう少し推理小説派にもサービスして欲しいというのは欲張りすぎであろうか。