紙の本
短編小説を村上さんの独自の視点から紹介する本
2016/02/23 20:26
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:onew - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦後の活躍した6人の作家の短編小説を村上さんの独自の視点から紹介する本。まだ手に取ったことのない作家さんの紹介が多かったので、また読みたい作家さんが増えて嬉しい。一番気になる短編小説は小島信夫氏の「馬」、安岡章太郎氏や庄野潤三氏、長谷川四郎氏の作品も気になる。あと何より、村上氏の短編小説に置ける解釈の考え方が垣間見えて、有益な読書時間を過ごすことができました。
紙の本
ムラカミさんを通して読む戦後日本語短編のいくつか
2007/01/19 21:11
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:石曽根康一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
村上春樹さんが、主に、「第三の新人」と呼ばれる作家たちの短編小説を読み込んでいく作品。
紹介されている短編小説は、
吉行淳之介「水の畔り」
小島信夫「馬」
安岡章太郎「ガラスの靴」
庄野潤三「静物」
丸谷才一「樹影譚」
長谷川四郎「阿久正の話」
村上さんの読み方は、丁寧かつ深い。
小説というものをここまで深く読むことができるのかと驚嘆させられる。
村上さんの読み方を辿っていくうちに、自分の小説の読み方まで影響を受けそうな気もする。
この本は、単なる、「短編小説の紹介」ではない。
「紹介」の中に、村上春樹という作家の匂いが色濃くしみこんでいる。
本文だけではなく、「文庫本のための序文」や「まずはじめに」を読むと、村上春樹さんの作家としての考え方も分かり、興味深い。特に、小説を書いている人には、もっと興味深いだろう。
「付録 読書の手引き」も丁寧に作られている。
全体的に、丁寧に作られた本で、非常に好感が持てる。
お奨めできます。
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村上春樹による本の解説。数人の著者についてアメリカで講義した内容に基づき日本で座談会を行ったものを本に起こしたものらしい。
文学についての村上春樹の姿勢や、短編小説を書く上で各作品の著者がどう考えて書いたかがわかるような内容になっている。文章を書く人間にとってはよい教科書になるのではないかと思う。
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つい先ほど読み終えました。今後、戦後小説についての感想がやたら増えたら、それはきっとこの本のせいです。「自分の読書に対する姿勢が稚拙なんじゃないか」と少し心配になってしまう―「正しい読み方」なんて存在するはずがないのに―それ程感心してしまいました。『ノルウェイの森』がバカ売れした時期の状況を吐露している箇所も見受けられて、興味深いです。
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村上春樹による幾つかの短編小説のレビュー。この種の本にしては珍しく、さしたる興味もない読者にも原著に興味を持たせるだけの力はある。しかし、悲しいことに、実際に原著を読むと、この本よりも何倍も楽しめるのだろう。そのあたりがこの種の本のジレンマである。
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以下で言及しています。http://blog.livedoor.jp/subekaraku/archives/7853213.html
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吉行淳之介や丸谷才一をはじめとする7つの短編小説を、長編作家である春樹が講義風に解説している点がおもしろい。読んだことのある作品については新たな見方ができるし、読んだことのない作品についても、読んだ後に解説を読めば、自分の視点に春樹の視点を重ねて、その相違を楽しむことが出来る。
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実際に紹介されている小説を読まないとこの本のよさはわからないかも。個人的には読書案内系の本は好きではないかも。
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大学の講義内容だけあって、たいへん良く練り込まれています。
すごい深い読み方をするんですねー。
興味深かったです。
13.03.18
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10.3.15~挫折
「フィガロの読書案内202冊」より。推薦者…大竹明子 2/17 pick up!
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2010年3月9日読了。村上春樹がかつて大学で講義したという、短編小説に対する彼なりの楽しみ方のガイド。対象は戦後派、当時「第三の新人」と呼ばれた人々。吉行淳之介、安岡章太郎、丸谷才一といったあたり名前はもちろん知っているのだが私は読んだことのない人々ばかり・・・。短編小説にはもちろん持って生まれた文才や後天的に身につけた作家のスキル、個性、家族構成や戦中体験などのさまざまなものが現れるものだが、作家が完全にコントロールし切れない「あふれでてしまったもの」、ごつごつとして読み手に違和感を残すものにかえって魅力を感じる、という著者の主張にはうなづけるところもある。この人の読み方が全てではない(かつ、この人自身全ての小説をこうやって読んでいるわけではないようで)が、小説の読み方は深いものだなーと改めて思わされるしだい。世界は広い。
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村上春樹がこんな本を出してたなんて今までどうして気がつかなかったのか、もっと早く読んでりゃ良かったってくらい大変ためになりました。
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青木さんにもらった。
「会社に来るまでに読み終わって、もう二度と読まないであろうカテゴリ」に属するらしいが、、
これ結構面白いけどなぁ。たしかに読み返したりはしないかもしれないが。
まぁ、とりあえず青木さんの笑顔が可愛かったのでよしとしよう。
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村上春樹が講義をした内容だけど、先生というより、一読者目線に近いかも。しかも自身も小説を書いてる一読者。わたしたちに近い目線。
「樹影譚」という話が気になった。あと馬の話も。
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第三の新人の作品を題材に、村上春樹氏が米国の大学で講義をした時の話をまとめたもの。
特徴的なのは著者の立場に立ったらこう思っているはずだという観点からの、文章のプロとしての見方。当たっているかどうかというよりも、その文章への愛や本気さがその説得力を増している理由だ。特に、樹影譚については秀逸。3つのパートに分けた上で、変遷とその意味について深く考察がなされている。この文章を書いたのは、どんな作者の心理状況や理由があるのかに焦点が当たっており、てにをはをどうこうするのではなく、どこにテンションを持ってくるか。解説で敢えて強調しているところなんて、村上春樹の小説を読んでいるような気がするくらいだ。
文章を書くという行為を大切に、丁寧に練り込むこと。小説家は面白く、大変な仕事だなと改めて感じさせてくれる。読み手も、丁寧に読み込んでいかなくては、そんな気持ちにさせてくれる一冊。