紙の本
死に方一つとっても。
2020/01/10 16:09
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投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
死に方でその人の生き方が見えてしまう。法医学者が仕事を通して語る死生観。
孤独と貧困の中で亡くなった人の遺体は、脂肪が薄く消化器の中は空に近く綺麗なくらい。逆に富裕層の遺体は皮膚が清潔でも、臓器には至るところ脂肪が厚く付着している。
老老介護の末の死、認知症の老人が出歩いていての死。徘徊ではない、思いでの場所に向かって、目的あって出掛けたんだの、遺族の言葉が沁みる。
今後増えるであろう孤独死、介護中の死。死因は事件か事故か、避けられないものだったのか、見極める重要性が増してくる。
電子書籍
人の死から見える社会
2019/05/01 08:15
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投稿者:amisha - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は、私の住むまちの医療機関に勤務する医師。兵庫医科大学病院は地域医療を担う重要な施設だと常日頃感じている。司法解剖という接点は一般人には遠いものと、この本を読むまで思い込んでいた。
ヒトの身体が伝えてくれることが、こんなにも多いとは驚きである。超高齢化の先にあるものは、団塊の世代の大量死でもある。現実を真摯に受け止め、どのように生きていくべきかを今一度考えさせられる。今後、看取りや葬儀の形も変化すると思うが、独居の友人・知人とどう関わっていくかも、私たちの課題だろう。
紙の本
考えさせられた
2019/01/25 03:07
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投稿者:JUN - この投稿者のレビュー一覧を見る
乳幼児が亡くなったとき
(亡くなって解剖室に届いたとき)
肺を水道水が入ったビーカーに浮かべるらしい
生きて産まれた子は浮かび
死産だった子は沈むんだそうだ
(呼吸をしてれば肺に空気が入るため)
わけがあって育てられないこともあると思う
でも、母親の立場から考えると
一番にやるせなさを感じた部分だった
格差をテーマに と言われて、
言われてみれば自分の解剖してきた人が
そういった立場の人だったかも と
気づいた著者。
20年も携わっているのに
平等に向き合えるその姿勢に
なんて温かい人なんだろうと思った
紙の本
法医学教室の現場から
2017/11/19 20:58
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投稿者:melon - この投稿者のレビュー一覧を見る
法医学で行う解剖には司法解剖(刑事訴訟法に基づく犯罪捜査を目的とした強制力がある解剖)、調査法解剖(犯罪の見逃し防止等を目的として基本的には遺族の承諾を必要としない解剖)、監察医解剖(東京都23区・大阪市・神戸市での犯罪に関係ない遺体の死因究明を目的とする基本的に遺族の承諾を必要としない解剖)、承諾解剖(死体解剖保存法に基づく犯罪に関係ない遺体の死因究明を目的とする解剖)がある。司法解剖と承諾解剖では掛けられるコストが違うようで、犯罪捜査を目的としている分、司法解剖の方がお金を掛けて解剖できるようだ。
アルコールに関連した死が多いようである。適度に飲む分には構わないのだろうが、急激に飲んだり、普段から飲みすぎていて身体が蝕まれていたりと、アルコールは害になるものだと改めて感じた。
現場では結核感染を防止するのに気をつける必要があるようだ。結核は過去の病などではなく、特に日本では今でも猛威を振るっている。解剖によって感染する場合もあるようで、その危険性は常に念頭に置く必要があるのだろう。
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投稿者:ぽぽ - この投稿者のレビュー一覧を見る
死んでからも格差があるんだなと思ったら、なんだか悲しい気持ちになりますね。考えさせられる内容になっていました。
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2017.4.24読了.
条件が整えば街中であっても人はミイラ化する。ミイラになった人の腹部を開くと、鰹節虫がうじゃうじゃ出てくる....
人は死後、盲腸部分から緑になっていく....
腐敗してドロドロになった脳から血腫を見つける.....など。
法医学教室で実施される剖検の現場を数多くの症例を提示して書いた本。現役の法医学者だからこその問題提起があって、興味深く読んだ。解剖件数の地域格差の原因を知ると、他人事ではないと感じる。
死後マウスの解剖でも臭いがキツイのに、腐敗の進んだ人の御遺体を剖検する法医学の先生は凄いなと思う。想像しただけでも凄まじい景色だ。
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ヤフーの記事で見つけ、「死の格差」というより、「死に方の格差」と思われた内容に興味を惹かれて購入。
帯に「死は平等ではない」とあったけれど、「死に方」だよなと思ったのは読み終えてもそうだった。
「死」そのものは誰にでも来るんだけれど、そこに至るまでの方法が、人さまざまなのは当たり前で、ただ、貧困や老いが絡まってくると、どうしてそういう死に方をしなければならなかったのか、死に方は生き方と直結してくる、でも、自分ではどうしようもないものだってあるのだ。
現代人は、見たくない現実から過剰に目を反らす、という一文があって、私一個人としては、兎にも角にも世知辛く、忙しく、見たくないというより面倒くさい、というのが正直なところ。
ただ、ふと思ったのは、「死ぬのなんて簡単だ」などと若い頃は思っていたのだけれど、これを読んで、さほど簡単なことでもないし、一人だけで終わることはないのだと、しみじみと思い直したのだった。
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よくネットで特殊清掃員の人の記事を読んだりするので
これももしかしてその先がわかるというか
格差ってこんなとこにもあるのかしら、という
興味本位で読んでみたけど思いの外
かなり、重い。
書いてる人は解剖して死因を追求する先生なんだけど
孤独死って一言では語りつくせぬその人それぞれのドラマがあって
お金がなくて病院に行けないとか、明日食べるのも大変だとか
外的ストレスで自ら命を絶ったり
余りにも悲しい現実がたくさんある。
もちろん寿命が来てピンコロ亡くなるのが1番いいけど
今の世の中そうはいかないのかもな
お通夜とかお葬式で見る遺体と
こうゆうお一人でひっそりと格差問題で
(独り身で誰もいないとか、金銭問題とか)亡くなる方は
すぐ虫が湧いたり匂いがきつくて
何日も何ヶ月も経って緑色になって亡くなるってのが
もう人間じゃないみたいで、悲しい。
こーゆーことも知っとかないとなって思う
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『ヒポクラテスの憂鬱』のような法医学をテーマにした小説を読み、現実を知りたくなった。
小説は現実と乖離しているわけではないが、現実は小説をはるかに凌ぐようだ。
第一章「貧困の死体」
自宅で投資した男性の話から始まる。
昔ならいざ知らず、路上や山中ならともかく、なぜ暖かいはずの自宅で?
それには無職、独居といった要因が関わってくる。
他人と関わらなければ、苦しみや困りごとを訴えられず、金がなければ食事も衣服も十分とは言えず、ライフライン(電気ガス水道)も絶たれてしまう。
そうなってしまえば死は確実に迫り来る。
また近年ではセルフネグレクトという単語も耳にする。
不審死の中にはそれも少なくないだろう。
その根元に格差、貧困があるとしたら私たちはまず何をすべきだろう。
孤独死する人々は決して特別な人ではない。
明日は我が身、なのだ。
191頁に気になる文章がある。
「そうした”見たくない現実”に対して現代人は過剰に距離を取ろうとしているように思えてならない。
ある種の潔癖さが、社会的に役に立たないと判断した人、関われば自分に何か損がありそうな人を排除するような状況を生み出しているのではないか。
そうして弱い立場の人たちが、ますます社会から孤立してしまっている気がしてならない。」
この言葉は日本の問題を鋭く突いている。
誰もが弱者になりうる。
それを恐れて他人を追い落とすのではまるきり『蜘蛛の糸』ではないか。
手を差し伸べられる社会を一人一人が目指せば、私たちが恐れているものが枯れ尾花に過ぎなかったと気づけるはずだ。
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異常死、という言葉を初めて聞いた。
隣にあるかもしれない、自分に起こるかもしれない、そんな不安が襲ってきた。
知らないことがたくさん。
そしてこんな大変な仕事をしている人がいることに、頭が下がる思いです。
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■人間の体温は28℃程度にまで下がると心臓に不整脈が出て死亡するとされる。
■凍死した遺体は服を脱いだ状態で見つかることがしばしばある。
・法医学では「奇異性脱衣」と呼ぶが投資する直前,人は「暑さ」を感じるようになる。
・体温のコントロールという生命維持装置の誤作動から生じるtこの現象は「矛盾脱衣」とも呼ばれる。
■法医学で行う解剖には4種類ある。
①司法解剖
犯罪死体やその疑いがある死体について犯罪捜査を目的として行うもの。刑事訴訟法に基づく。解剖には強制力があり解剖実施するのに遺族の承諾を必要としない。
②調査法解剖
身元不明の遺体や犯罪に関係のない遺体の犯罪の見逃し防止を目的に行う。死因・身元調査法に基づく。基本的に配属の承諾を必要としない。
③監察医解剖
監察医制度施行区域(東京都23区,大阪市,神戸市という日本のごく限られた地域)での,犯罪に関係ない遺体の死因究明を目的とする。死体解剖保存法に基づく。基本的には遺族の承諾を必要としない。
④承諾解剖
監察医制度施行区域外での犯罪に関係ない遺族の死因究明を目的に遺族の承諾をもとに行う。全国の大学法医学教室が担当。死体解剖保存法に基づく。
■被害者が精神疾患患者であった他殺事件の場合,加害者の8割以上が親族。精神疾患患者本人だけでなく,その家族のおかれた環境が社会の中でいかに孤立しているかが数字から見えてくる。
■大学で行う解剖の種類
①系統解剖
学生の解剖学の学習のための解剖。解剖学教室が担当。
②病理解剖
病院で亡くなった方の診断の確認,治療の効果を調べる解剖。病理学教室が担当。
③法医解剖
犯罪捜査と死因究明を目的とする解剖。法医学教室が担当。
■最も多い殺害方法は「頸部の圧迫」。頸部圧迫の分類。
①縊頚
自らの体重を利用して固定したロープなどで首を吊る方法。
②絞頚
ロープなどひも状のもの(策状物)を使用して首を絞めて殺害する方法
③扼頚
手指で首を圧迫して殺害する方法
■警察庁が発表した法医学解剖の実施率は都道府県ごとに大きく異なる。
・2015年は神奈川県が39.2%で最も高く,次に兵庫県の33.4%,沖縄県の30.8%,東京都の18.2%,大阪府の15.0%と続く。
・解剖率が低かったのは,3.8%の群馬県,3.1%の大分県,2.7%の岐阜県,最下位の広島県は1.5%にとどまる。
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犯罪が疑われる司法解剖とは違う、死因がはっきりしない遺体を解剖する調査法解剖を行なっている、大学の教授が書いた本。
解剖の仕方も書かれているが、主になぜ死因がはっきりしない遺体なのかということが書かれている。
貧困が多く、貧困のために孤独死だったり、精神疾患があったり、こんな街中でこんな死に方しないだろうという死因で亡くなる遺体が多い。
貧困が調査法解剖を増やしていると言っても過言ではないだろう。
題名の死体格差はまさに一言で内容が想像できる。
筆者は「格差」をテーマにすることに抵抗があったようだ。
解剖する遺体に格差を感じたことはないからだという。
しかし、読者側から見ると、解剖をしなければならない遺体が増えることと、精神疾患、アルコール、自殺などの直接の原因が貧困とつながっているということが見えてくると、やはりと思う部分もあるし、びっくりする部分もある。
死因から、貧困の問題がより見えてきて、今後の対処方法につながっていくのではないだろうか。
まだ統計は取れてないと書かれていたが、しっかり統計もとって、将来のために活かして欲しい。
将来的に間違いなく高齢化社会で孤独死も増えるのだし、貧困が原因で命を落とす人のために、そうならないために何をしていけばいいのかがわかっていくはず。
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法医学教室での遺体解剖事例から、死者が置かれた社会状況を考察。貧困、孤独、老い、事件。格差の観点からは、都道府県ごと、解剖率、薬物検査などに大きな差がある。地域の住民サービスの一環に、法医学解剖も含まれると考える。
格差をメインテーマにテレビで紹介されていましたが、著者によると、格差のお題は編集者から与えられたもののようでした。死はすべて平等と思っていたところの視点転換になったそうです。
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法医解剖医が「格差」をテーマに死体解剖を語る。テレビドラマの法医解剖医とは違い、事件にはかかわらず死の原因のみを解明する。
通常は知ることがない職業なので、興味深かった。
死体とかかわり、その原因を探るからこそ見えてくる生がある。
男の孤独死(長尾和宏著)の最後に対談として登場し、紹介されていたので読んでみた。
以下は読書メモ:
貧困の死体
心臓の左側の血液が右側より赤い。ヘモグロビンは温度が低いほど酸素と結合する度合いが高く赤くなる。
栄誉がとれないと熱産生が十分に行われず体温が徐々に低下する。貧困による凍死。
法医学で行う解剖は4種類
司法解剖 事件性が疑われるとき
調査法解剖 事件性がなく身元不明
監察医解剖
承諾解剖 事件性がなく遺族の承諾
孤独の死体
夜間の熱中症
独り暮らし→脳出血→動けなくなる→凍死
アルコール依存症の人で急性アルコール中毒で死亡した人は少ない。ケトン体上昇、酔って池に落ちて溺死、道路で寝て轢かれる、駅のホームから転落など。独りでなければ防げたかも。
老いの死体
認知症の死因で多いのは溺死、凍死、転倒転落死、交通事故死
死後の格差
死斑、死後硬直、体温低下 早期死体現象
腐敗、ミイラ化、白骨化 後期死体現象
頸部(首)圧迫は日本で最もポピュラーな殺人方法 特徴は顔面のうっ血、結膜の溢血点、頸部の皮下組織の出血
縊頸(いけい)自らの体重で首を吊る
絞頸(こうけい) ひも状のもので首を絞めて殺害する
扼頸(やくけい) 手指で首を圧迫して殺害する
解剖台の前から
怖いのは結核。空気感染するから。日本は先進国の中では罹患率が高い。
事件の死体
時津風部屋の時太山の事件
カスパーの法則 遺体の腐敗速度は水中では1/2,土中では1/8まで遅くなる
他殺の場合は死因が明確でも必ず司法解剖となる。
幸せな死体
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この本を手に取る人は多分死というものにある程度興味があるんだと思う。
人が死ぬ原因から死体検案書を発行するまでの格差、人の格差、組織の格差など。
あちらこちらで格差が出ていて、死でさえ平等ではないのかと愕然としてしまう