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ダック・コール
著者 稲見 一良
石に鳥の絵を描く不思議な男に河原で出会った青年は、微睡むうち鳥と男たちについての六つの夢を見る―。絶滅する鳥たち、少年のパチンコ名人と中年男の密猟の冒険、脱獄囚を追っての...
ダック・コール
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ダック・コール (ハヤカワ文庫 JA)
商品説明
石に鳥の絵を描く不思議な男に河原で出会った青年は、微睡むうち鳥と男たちについての六つの夢を見る―。絶滅する鳥たち、少年のパチンコ名人と中年男の密猟の冒険、脱獄囚を追っての山中のマンハント、人と鳥と亀との漂流譚、デコイと少年の友情などを。ブラッドベリの『刺青の男』にヒントをえた、ハードボイルドと幻想が交差する異色作品集。“まれに見る美しさを持った小説”と絶賛された第四回山本周五郎賞受賞作。
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紙の本
鳥をテーマとしていろんな角度からアプローチ
2023/10/03 09:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
この短編集のすごいところは、それぞれ6話の話(プロローグ・モノローグ・エピローグとつながる短篇を含めると7話)が、まったく違った色合いの作品だということ、ハードボイルドな作品(ホィッパーウィル)、青春の蒼さを描いた作品(望郷)、ファンタジー(デゴイとブンタ)、おじさんと少年の友情を描いた作品(密猟志願)、崇高な海(自然)が描かれた作品(波の枕)、遠い時代、遠い国に思いを馳せることができる作品(パッセンジャー)、どの作品にも共通して登場するのが鳥、作者はあとがきで「私は鳥獣草木に関しての学識は全くない」と謙遜されているが、これだけ鳥をテーマとしていろんな角度からアプローチできる作者は他にいないだろうと驚嘆するしかないのである
紙の本
鳥と一緒に
2017/09/21 15:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
信頼のおける読友さんからのおすすめされ読みました。読書スランプの中、時間をかけ読みました。自然と鳥、そしてそこに登場してくるいろいろな人物の思いや人生、モヤモヤしたものはなく、どれも一本筋が通っており、読んでいて心地よかったです。特に密猟者と少年が交流する『密猟志願』源三爺の美しい回想『波の枕』贋作鴨と口の聞けない少年の冒険『デコイとブンタ』にとても惹かれました。どの章もラスト一文に余韻があり、美しさが散りばめられていると感じました。作者の言葉選び、言葉遣いは物語の語り手として完璧です。素晴らしい。感謝。
紙の本
気持ちの良い読後感
2014/06/09 11:55
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:papanpa - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み終えた後の気持ちの良さ、癒され感、良い本でした。こういう本をもっと読みたいものです。
紙の本
作者の代表作
2002/03/18 16:06
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:真 - この投稿者のレビュー一覧を見る
男の強さ、雄大な自然、人間の死、そういうものを幻想的にまとめた作品。よくあるタイプのハードボイルドだと勘違いして、読まないでおくのは損です。意表をついた派手な展開や、激しいアクションはないけど、静かで深い感動が胸に迫ってきます。作者がすでに亡くなっているのがなんとも惜しい。
紙の本
一度は読んでおきたい名作ハードボイルド
2001/03/31 23:21
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひで - この投稿者のレビュー一覧を見る
色々なところでずっと評判だけは耳にしてきたが、読むことなくここまで来てしまった作品。いや、もっと早く読んでおけば良かった。めちゃくちゃ格好いい。ハードボイルドは、一匹狼の過去を抱えた男が何かの組織を相手に戦うという、そんな典型的なものじゃなくてもいいんだなぁと改めて感じさせられた。
さて、内容としては、見知らぬ男を一晩自分の車内で休ませた青年が見る夢の話し。男は石に描いた鳥の絵をたくさん持っていて、それが連想させるのか、青年は鳥の夢ばかりを見る。そんな夢をつなげた短編集。
僕は特に第3話の「密漁志願」がお気に入り。様々な道具で鳥を捕らえようとし失敗し続ける男が、ある日自分なりの道具で簡単に鳥を捕まえていく少年と出会う。少年、ヒロに弟子入りした男は、徐々に鳥を捕まえることができるようになる。そしてヒロを通し徐々に心がいやされていく男。そんな彼らがたくらむ冒険の結果とは。
こんな話で、結構結末も単純なのだが、少年も男も非常に存在感のある描き方をされ、同時に脇役として登場する男の妻や老人施設の老婆なども、それほど登場しないにも関わらず強く印象に残る。そしてまた情景の描写、特に鳥を捕まえようとするシーンや少年との交流など、何だか想像が広がっていく。鮮やかな情景が目の前に浮かぶような気さえする。とにかく一度は読んでおきたい名作だろう。