紙の本
鳥をテーマとしていろんな角度からアプローチ
2023/10/03 09:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
この短編集のすごいところは、それぞれ6話の話(プロローグ・モノローグ・エピローグとつながる短篇を含めると7話)が、まったく違った色合いの作品だということ、ハードボイルドな作品(ホィッパーウィル)、青春の蒼さを描いた作品(望郷)、ファンタジー(デゴイとブンタ)、おじさんと少年の友情を描いた作品(密猟志願)、崇高な海(自然)が描かれた作品(波の枕)、遠い時代、遠い国に思いを馳せることができる作品(パッセンジャー)、どの作品にも共通して登場するのが鳥、作者はあとがきで「私は鳥獣草木に関しての学識は全くない」と謙遜されているが、これだけ鳥をテーマとしていろんな角度からアプローチできる作者は他にいないだろうと驚嘆するしかないのである
紙の本
鳥と一緒に
2017/09/21 15:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
信頼のおける読友さんからのおすすめされ読みました。読書スランプの中、時間をかけ読みました。自然と鳥、そしてそこに登場してくるいろいろな人物の思いや人生、モヤモヤしたものはなく、どれも一本筋が通っており、読んでいて心地よかったです。特に密猟者と少年が交流する『密猟志願』源三爺の美しい回想『波の枕』贋作鴨と口の聞けない少年の冒険『デコイとブンタ』にとても惹かれました。どの章もラスト一文に余韻があり、美しさが散りばめられていると感じました。作者の言葉選び、言葉遣いは物語の語り手として完璧です。素晴らしい。感謝。
紙の本
気持ちの良い読後感
2014/06/09 11:55
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:papanpa - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み終えた後の気持ちの良さ、癒され感、良い本でした。こういう本をもっと読みたいものです。
紙の本
作者の代表作
2002/03/18 16:06
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:真 - この投稿者のレビュー一覧を見る
男の強さ、雄大な自然、人間の死、そういうものを幻想的にまとめた作品。よくあるタイプのハードボイルドだと勘違いして、読まないでおくのは損です。意表をついた派手な展開や、激しいアクションはないけど、静かで深い感動が胸に迫ってきます。作者がすでに亡くなっているのがなんとも惜しい。
紙の本
一度は読んでおきたい名作ハードボイルド
2001/03/31 23:21
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひで - この投稿者のレビュー一覧を見る
色々なところでずっと評判だけは耳にしてきたが、読むことなくここまで来てしまった作品。いや、もっと早く読んでおけば良かった。めちゃくちゃ格好いい。ハードボイルドは、一匹狼の過去を抱えた男が何かの組織を相手に戦うという、そんな典型的なものじゃなくてもいいんだなぁと改めて感じさせられた。
さて、内容としては、見知らぬ男を一晩自分の車内で休ませた青年が見る夢の話し。男は石に描いた鳥の絵をたくさん持っていて、それが連想させるのか、青年は鳥の夢ばかりを見る。そんな夢をつなげた短編集。
僕は特に第3話の「密漁志願」がお気に入り。様々な道具で鳥を捕らえようとし失敗し続ける男が、ある日自分なりの道具で簡単に鳥を捕まえていく少年と出会う。少年、ヒロに弟子入りした男は、徐々に鳥を捕まえることができるようになる。そしてヒロを通し徐々に心がいやされていく男。そんな彼らがたくらむ冒険の結果とは。
こんな話で、結構結末も単純なのだが、少年も男も非常に存在感のある描き方をされ、同時に脇役として登場する男の妻や老人施設の老婆なども、それほど登場しないにも関わらず強く印象に残る。そしてまた情景の描写、特に鳥を捕まえようとするシーンや少年との交流など、何だか想像が広がっていく。鮮やかな情景が目の前に浮かぶような気さえする。とにかく一度は読んでおきたい名作だろう。
投稿元:
レビューを見る
久しぶりにページの尽きることを惜しく感じた。短編全てに固有の色と趣があり、ストイックな気高さが通底している。レビューを試みて知名度の低さに愕然とした。偶然の出会いを幸いに思う。
投稿元:
レビューを見る
これ面白いよ!!短編集なんだけどドキドキ話がたくさん入ってたような気がする。中でもカメラマンのはなしが好きです。ファーストプライオリティは人それぞれ違うってはなし。違うか??ww
投稿元:
レビューを見る
冬の鳥達に会うこの時期、再読したくなる。
『デコイと文太』が記憶にないが、面白かったような…。
言うまでもなく、稲見作品は全て好きだ。
投稿元:
レビューを見る
鳥の狩猟をはじめたばかりの中年男が、東京近郊の山中で密猟の天才少年と出会う。
パチンコで見事にハトを射止める少年と狩猟に新たな生きがいを見出していく男が企てる一大犯罪計画をさわやかに描きあげる「密猟志願」など、シリアスで淡彩な青春小説から、ハードボイルドタッチのマンハント、童話のようなメルヘンまで、多彩な六つの物語で構成する異色の連作短篇集。
新しいハードボイルドの書き手が〈鳥〉をめぐる男たちの夢と冒険を描く注目作。
第4回山本周五郎賞
第10回日本冒険小説協会大賞最優秀短編賞
投稿元:
レビューを見る
9月10日読了。「このミステリーがすごい!」1992年度の第3位、国内総合でも第6位の作品。野鳥をテーマあるいはモチーフにした6編の「男」の物語を収録。最高の写真を撮るために仕事をなげうつ男あり、狩に少年のように胸ときめかせる男あり。命がけで脱獄囚を追い詰める中、敵味方に生まれる男の友情あり。文章も簡潔だが美しく、各短編のテイストも異なっており興奮を持ってガンガン読み進められる。巻末の解説や各種書評にあるとおり、これはまさに「男のためのメルヘン」だ!嫁さんには評判がよろしくないが・・・。
投稿元:
レビューを見る
6/23:青い話あり 洋物風のハードボイルドあり ヒューマンドラマありと六話の短編集 しかしそこに常に鳥がさり気なく登場している 発散することなくじっくりと暖かく読ませていただいた 鳥を通じて生を伝えており、生き物の強さはかなさが描かれている
どれも甲乙つけがたい秀作だけど、冒険小説的な「密猟志願」が特に良かったかな ヒロの躍動感が気持ち良かったかな 他の作品も読んでみたい
--------------------------------
6/17:G氏に借りました。
投稿元:
レビューを見る
読んでいて心地よかった。
何の予備知識もなく読み始め、最初はなかなか入り込めなかったが、
読んでいくうちに話に引き込まれていった。
ハードボイルドな文体でおとぎ話のような物語。
読んでいると不思議と心が落ち着く。
投稿元:
レビューを見る
第4回山本周五郎賞、第10回日本冒険小説協会大賞最優秀短編賞を受賞した作品です。
何でこの本を手に取ったか覚えていないのですが、全く先入観も期待も無く読めたのが逆に良かったです。後から作者のバックグラウンドを知りました。ガンが治らないことを知ってから小説を本格的に書き始め、10年の作家活動の後に亡くなったそうです。
書評を読むと、どれも、「美しい小説」と評してあります。「美しい小説」ってなんじゃらほい、と思いながら読んでみたところ、それが的確な表現であることが分かりました。
透き通った水がサラサラ流れる川のような文章です。凝った表現は無いのですが、心に文章が染み渡り、情景が目に浮かぶんです。一冊を通して、鳥がモチーフに出てきますが、それぞれの話の伝えたい内容は異なります。私は、乱獲により絶滅した鳩の物語や、少年とおじさんの交流の話、そして、カメが命を助けてくれた話がとても印象的で、素敵だと思いました。教科書に出てきそうな話です。出てきた鳥がどんなものか知りたくて、あとでインターネットで調べてみました。
地味ですが、いい本でした。
投稿元:
レビューを見る
「まれに見る美しさを持った小説」と絶賛された本作。石に鳥の絵をかく謎の男と出会った青年が見た、鳥と男たちについての「6つの夢」の形をとった短編集。文章も構成も熟考された緊張感がある。丁寧にじっくり淹れた珈琲をいただくような感じ。この作品、間口は狭いようで意外と広い。でも年を重ねるほどしみじみと味わえる様な気がする。
投稿元:
レビューを見る
前に『男は旗』を読んでとても面白かったので同じ作者の本を買ってみました。短編のような長編のような一冊でした。
狩りのためだけに動物を殺す描写は好きではありません。やはりその肉・皮・もしくは毛等を利用しつくすために動物の命をもらう、と言うのであれば納得がいくのですが。この本には鳥や動物を狩猟する描写が色々と出てきますが無駄に、殺すためだけに狩りをするのではない主人公のスタンスには納得できます。そうでない密猟者とかも描かれていますが。それよりも驚いたのは密猟者って日本にも存在するんですねえ。悲しいことです。
どの話も印象に残りますが第三話の密猟志願が一番好きですね。少年と主人公の距離感が良いなあ。こんな森の人になれたら良いのになあ。