二ノ橋 柳亭
著者 神吉拓郎
雑誌で取り上げられた小料理屋〔二ノ橋 柳亭〕の場所は誰も知ることができない。なぜなら、食味評論家が書いた架空の店だからだ。ところが、「柳亭を探し当てた」という読者からの手...
二ノ橋 柳亭
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商品説明
雑誌で取り上げられた小料理屋〔二ノ橋 柳亭〕の場所は誰も知ることができない。なぜなら、食味評論家が書いた架空の店だからだ。ところが、「柳亭を探し当てた」という読者からの手紙が編集部に届き……。(表題作) 代表作「ブラックバス」など全7篇を収録。繊細と洒脱が織りなす物語の妙に酔う、直木賞作家の粋が詰まった極上の短篇集。(『ブラックバス』改題)
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だしの味の利いた、さらいとした大人の短篇集
2017/11/16 17:37
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:燕石 - この投稿者のレビュー一覧を見る
表題作の「二ノ橋柳亭」、「「ブラックバス」、「目の体操」など、いずれも極めて短い短篇で、さらりと掛かれているが、強い余韻が残る。作者は遅筆だったそうだが、このさらりとした味を出すために苦吟をしたのだろう―だし味を堪能させるスープのような味わい。表題作は、食通で知られた人物が架空の店の紹介記事を書き、誰もがその店を探して騙されるのだが、やがて記事そのままの店を出す人間が現れ、そこに記事を書いた当人が出向くという話。本当の食通は、現実の料理屋では飽き足らず、常に理想の料理屋を追い求めるものだが、その理想が現実になったとき....というパラドックスとも読める。「ブラックバス」は終戦の日にブラックバスを釣っている青年の話。バス釣りを教えてくれた叔父は学徒動員で戦地に行ったまま音信がない。青年も薬指と中指が動員されたプレス工場で潰されて根元からない。敗戦の日の日常が静かに描かれる。「目の体操」は、誰もが海軍将校を目標にしていた時代に視力が落ちて夢を果たせなかった少年が、戦後も目の体操の癖だけは抜けずにいるという話。いずれも、静かさを湛えた大人の短篇。
珠玉の短編
2017/10/11 12:35
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BHUTAN - この投稿者のレビュー一覧を見る
いいなぁ 神吉さん
表題の柳亭もいいけど、「ブラックバス」もいい。
ちょっと昔の東京の人という感じだ。
それにしても、二ノ橋って先週歩いたところじゃん。柳亭を探せばよかったかな。
私も父が昔銀座で行通ってた「武蔵野」を探したい。
静寂な余韻
2020/05/31 16:52
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しんごろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネットやスマホの普及してない時代、忙しさやストレスを感じることなく穏やかで、時間がゆったり流れてるんだろうと思う。読んでて、ゆったりと時が流れて、どこか懐かしい感覚に陥るね。そんなゆったりした時の流れの中で、釣り(したことないけど)、デート、寄席に行く、酒を飲みながら想像話、身内ネタ、下ネタなどの話で盛り上がるなんてことしたいね。表題作も粋な感じで良かったけど、『昔噺 じゃがの』が落語の一席のようで良かった。どれもじわりじわりと静寂な余韻が残る味のある短編ばかりでした。