盗っ人と恋の花道

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投稿者：やじやじ　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

ネタバレあり

タイトルで明るい楽しい話かと思っていたら、
シリアスなしっかりした話でした。
タイトルだけではじいていたのを反省しました。
（でもタイトルって大事かと）
さらに表紙を見ててっきり盗人の親分と草（仕込み）のお話かと思っていたのですが
押し入り先の主人と草の話という。
豪胆磊落な商人の深川と草の環
火付盗賊改の荒垣尚安も絡んでのお話
（池波正太郎先生大好きなもので火付盗賊改という言葉だけで萌える。）

二人の心情的な流れは細やかには描かれないが、しっかり伝わってくる。
やはりそれは構成と文章の上手さでしょう。
ほぼ瞬時に環が深川に落ちているのがちょっと気になるところですが
一途な気持ちがひしひしと伝わってくるので、受け入れられてしまう。
雪のシーンではもう涙。
「鯉になって、いっそ新様に食べられたい」って言葉には
もう涙しかないところでした。
環の真を感じました。
ああ、たとえ押し込みの道具にするにしろ、
大事に育てられてきて良かったよー。
その心根のまま、深川に出会えて良かったと心の底から思った。
（しかもよくよく考えてみたら、環は深川しか知らない！）
でなければ、するする嘘つく大悪党になっていたよ、きっと。

さて、深川と荒垣の関係は微妙。
深川の尚安に対する気持ちは魂のかけたものを求める気持ちから出ているのは
なんとなく理解できるのですが、
尚安が深川に対する気持ちが微妙な感じ。
（同じだと思えばよいか・・・とも思うのですが微妙感がぬぐえない）
うん、同じ顔出しなー（ナルシストか！）みたいな。
まあ、でも環に嫉妬しちゃうあたりまあ大事に育てられて来たのだねって
感じではあるのですけどね。
今後は妻子を大事に生きていってほしいです。

環は金魚というくらい深川に丁寧に愛された。
金魚は江戸の“粋”だし、
江戸の旦那衆が競って金魚を飼って（自慢し合う）いましたしね。
江戸の粋を支える金魚屋になって、
深川と一緒に江戸を泳いでいますよね。
生まれ変わっても鯉になって二匹で泳いでいるよね
そんな風に思わせてくれる読み終わりでした。

剛しいらさんの作品の中でも好きな作品のひとつになりました。

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投稿者：A　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

受けの環は盗賊の親方に育てられ、次の標的となる深川屋に草の者として送り込まれます。
けれど盗賊の仲間といっても悪行には携わらず育てられたので純粋で、深川屋の旦那・新さんにも可愛がられ、お互いに想い合うように。
新さんは新さんで、実は複雑な生い立ちであり…という。環が素直で健気でかわいいと思ったけど、後半は段々と強気なところが見えてきたりもして。
設定がしっかり作り込まれて丁寧に描かれてるな、と思いました。

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投稿者：沢田　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

受以外の相手※実兄弟 と攻の間に、禁断の切ない情がある設定でした。
それに双子の事より、攻と受が命を懸けるほど想いを深めて行く過程の方を、きっちり書いてほしかったですね。
二人の初夜以降の心情の変化や盛り上がり等も省かれて、すぐ二年飛んでしまったのが残念でした。