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  • カテゴリ:一般
  • 販売開始日: 2020/01/31
  • 出版社: 心交社
  • レーベル: ショコラ文庫
  • ISBN:978-4-7781-2806-7

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いつかあなたに逢えたなら【イラストあり・電子限定ショートストーリーつき】

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疎遠だった父が死に、桐ヶ谷律は父が子供を売買する犯罪者だったことを知る。父の屋敷には、かつて「商品」だった美しい青年・蒼生が遺された。戸籍もない蒼生を追い出す訳にいかず、...

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いつかあなたに逢えたなら【イラストあり・電子限定ショートストーリーつき】

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疎遠だった父が死に、桐ヶ谷律は父が子供を売買する犯罪者だったことを知る。父の屋敷には、かつて「商品」だった美しい青年・蒼生が遺された。戸籍もない蒼生を追い出す訳にいかず、二人はともに暮らすことになるが、律は娼婦だった蒼生を嫌悪し冷たくあたった。しかし何故か蒼生は「お役に立ちたい」と懸命に尽くしてくる。一方通行の関係は、律が友人に裏切られ、怒りをぶつけるため蒼生を抱いた夜から変わりはじめるが……。電子限定ショートストーリー「それから少しあとのこと」、yoco先生の口絵・挿絵も収録。

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みんなのレビュー10件

みんなの評価3.6

評価内訳

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  • 星 3 (1件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)

紙の本

閉じられた庭の物語

2023/08/03 05:32

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:やじやじ - この投稿者のレビュー一覧を見る

ネタバレあり

現代の物語なのですが、現実感がない感じがします。
そう、舞台になっている屋敷の囲われた庭のような物語。
そんな現実から切り離されたような囲われた庭の中にいる存在である蒼生
蒼生がひっそりと抱えている思いが切なくて痛い。
なによりも蒼生がどうしてそうなったかの詳細はわからない酷い事情
からの律の父たちにされた酷い所業
たったひとつの宝物を抱えて、
それだけが彼の生きる支えだったかと思うとその切なさに涙する。

蒼生の生きてきた環境の切なさと痛々しさの反面
律の子供ぽさが目立つ
彼は彼の父のビジネスのおかげで(蒼生を含めて多くの子供たち)何不自由なく生きてこられたのに
父の遺した被害者であるべき蒼生に対して自分が被害者みたいに行動する。
まあある意味彼も被害者ではあるのは間違いないけれど、
彼の生活は蒼生らの人生を搾取されたもので成立していたことはわかって欲しかった。
もちろん、父の犯罪(死を含めて)や母の死について彼が責任を負うものでもないのだけれど。

ただ気になったのは
律が守秘義務があるであろう秘密を達海だけならともかく
彰にまで開示してしまっていたこと。
(それしたらみんな始末されるだろうに・・)
そして、彰は実は始末されたのではとひそかに思ったり。
戸籍はどうやって取ったのだろうか…とか
ちょっと気になりますね。

そして最大の気になるポイントは
母親のアクセサリーケースに入っていた鍵
最後にそこにしまったのが律としても、
その鍵は死んだ母のもとから父のもとへそして律に?ってことなの?
だって温室は庭の中だよね?
ちょっともやったけれど…まあミステリーではないのですが
物語の大事なキーポイントなので気になってもやっとしてしまいました。
それと、そんな色々な思いがある庭の鍵なのに
それのことを忘れている律ってば…とちょっとそこももやった。
まあ、そこを追及すると話の興が削がれるのですけれどね。

律のだめさ加減はいかがなものかとは思うのですが
蒼生の痛々しさや切なさは彼にしか救えないのだから
それはそれで仕方ないと思うのだ。
蒼生の人生が花々で満たされれば良いなぁと。

現代社会と妙に絡まってはいますが閉じられた庭の中の物語。

☆4.5
色々とツッコミどころはあるしブラッシュアップできるのではというところもあるのですが
蒼生の生き方(思い)にたびたび涙してしまったのでちょっと高めの評価をしておきます。

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電子書籍

被害者と加害者家族

2022/05/07 11:48

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:apple2 - この投稿者のレビュー一覧を見る

蒼生も気の毒過ぎる生い立ちではあるものの、私は律が気の毒でならなかった。
突然、血の繋がる父親が長年少年売買をしていた。
いくら縁を切っていても、自分にも同じ血が流れているという嫌悪感。
蒼生は純然たる被害者でも、律は被害者なのに加害者の息子であることから逃れられない。

達実が蒼生を庇い、律を攻める度に切なかった。
心を閉ざし、無にする事でしか逃れられない、彼もまた同じ年代の若者でしかないのに、律に寄り添う味方はいないのか。
いつか壊れてしまうよと。

その無条件な味方が蒼生であったこと、お互いが無二の救いになれたことがよかった。
律は繊細ながら実は優しく、予想以上に過酷なバックグラウンドがありました。
彼らを傷つけたオヤジよクタバレ(もうくたばったけどでも)と、思いながら読みました。

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電子書籍

静かな場所で読みたくなる

2022/02/14 19:30

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:こひしゅが - この投稿者のレビュー一覧を見る

不器用と健気の話。
 屋敷の中だけで織り成される、閉鎖的な舞台だが、展開にマンネリを感じない。
 二人が体を重ねるシーンは、二人の声と衣擦れの音だけが響いてるのが想像出来るくらい、静かな空気が伝わってくる。
 ただ、律が蒼生に優しく接するきっかけが、やんわりしてる気がしたけど、友人に裏切られて心身が疲労してたから、思い直したんだろうな。
 ずっと屋敷の中で暮らしていた蒼生が、ラストでは外の世界で律たちと一緒に社会に出る。
 はっきり恋人になる、って明言されてないのもまた良い。

 電子限定ショートストーリーも、じっくり読み味わえる。
 律の嫉妬も素直正直な蒼生を前にすると、一瞬で消えるのがかわいい。

 こんな時代にそんな事有り得るのか、って言ってる人が居ますが、この作品に限らず、商業BLの9.9割のBL小説漫画はフィクションなんですが。
 人身売買といっても内臓ではなくそのままの肉体を売っているだけだし。
 隠蔽だってできる。リークされなきゃバレない。死体だって簡単に見つからない。
 フィクションを楽しみましょう。

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電子書籍

ジャケ買いして大勝利した作品

2020/04/16 13:22

2人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:tiharu - この投稿者のレビュー一覧を見る

ジャケットに一目惚れして購入した。BLアワードで表紙デザイン賞を受賞したらしい。それも納得の美しさ。
作品は、いわゆる「(最初はソフトな)クズ攻め×健気受け」。よくあるパターンだし、受けの設定の不幸さも、BL世界なら王道と言えば王道。
しかし、しかし。
終盤のご都合主義を否定できないくらい、綺麗にととのえ作られた良作だったと思う。
設定は王道だが、誠実さが並外れている。
酷さをポルノに使わない。「持つと持たぬと」の間にある溝の深さを、柔らかな言葉でも逃げずに見据える。
受けの健気な献身は美しいが、よくよく考えればエゴである。そして受け自身も、自分のそれがエゴであるとわかっている。エゴという言葉や概念を知らなかったとしても。
それが、とても清々しい。
攻めのクズさも、少しずつ感化され氷解していく。受けは自己評価が低いまま攻めを翻弄させるし、攻めの与える愛情を受け取るのがあまり上手ではないから、攻めは湯水のように愛情を与え続けなければきっと、攻め自身が満足も安心もできない。慢心なんて絶対にむり。
クズにはいい呪いだと思う。いつまでも愛情いっぱいでいて欲しい。
そう、本書は綺麗なハッピーエンドなのだ。
ご都合主義、結構。
命を削る雨はやさしく静かに降るし、その滴は庭の花木を芽吹かせ生き返らせる。
残酷さを残酷なまま上質なシルクでくるんで、やわらかく提示されてしまった。読者の私たちは、極上の質感にうっとりとしながら呻くしかない。
繰り返すが、ハピエンである。だから大丈夫。

なお、構成も見事である。
視点が切り替わるが、整理されているので混乱しない。
映画のように、このささやかで美しい世界に引き込んでくれる冒頭のシーンは、中盤に形を変えて挿入され、視界が広がりクリアになる。
並行して走っていたライン、点在していたモチーフがひとつに収束してラストシーンへの明快な道筋になる。
構成まで美しい。見事だ。

そうして読み終えて表紙にかえってくると、気づくのだ。この表紙が、いかに秀逸なデザインであるかということに。
この表紙の1枚絵は、間違いなく、この物語を完璧に表現している。

この表紙に惹かれた人は、せっかくなので一読してみて欲しい。きっとこの物語を必要としている人もいるだろう。

私はこの作者さんが描くこの物語の続き、
甘く、残酷に支配されたしあわせな生き地獄を、ぜひ読んでみたい。

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紙の本

健気受けが幸せになる優しいお話

2019/12/17 19:51

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:tix - この投稿者のレビュー一覧を見る

売春をさせられていた不幸な過去を持つ健気受けが幸せになるという
BL王道展開ですが、二人の関係だけにスポットライトを当てず
攻めの友人関係や仕事の問題、家族、過去……と、
バランス良く交えたエピソードのお陰で話に厚みが出ているところが好みでした。

現代ものの割に、展開が多少ご都合なところもありましたが、
BLなら普段からこれ位は大目に見てるので許容。
前半の攻めの対応が酷いという感想も散見しましたが、
攻めもまだ若者だし、彼も辛い過去を受け止め中なのですから
受けのことを腹立ちまぎれに八つ当たりで言葉では詰っても
実際に暴力をふるうとか家から追い出すとかする訳でもないから
特に気になりませんでした。

健気な受けの見返りを求めない純粋で控えめな好意は、
いつしか攻めの苛立ちを癒し、攻めの心を受けに向けさせます。
健気受けが好みではない私ですが、本作の受けにはすっかり参ってしまい、
二人の距離が近づいた時には、本当にほっとしました。

不幸な過去から幸福な未来へと受けの境遇は変化しますが
ドラマティックに書き立てず、
敢えて抑えめに優しく紡がれる物語に心が和みました。

タイトルを含め、伏線がうまく回収される気持ちの良い作品です。

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