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投稿者:やっほー丸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
心の中が見える女の子と自分にしか見えない心の中に猫を飼っている女の子の話。重いテーマをすんなりと飲み込めるような形で描かれています。
明來ちゃんがめっちゃええ子やなぁと思いました。彼女は多分、心が読める読めないに関わらず他人のことを大切にできる優しい子なんだろうなぁと。だからこそ小夜子ちゃんも心を開けたのだろう。
個人的には、ラストがとても良かった。非常にスッキリして終わったので、大満足です。
『あの子の秘密』
2019/12/18 19:48
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投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
夏休み明け、両親の離婚で母の実家から新しい小学校に通うことになった6年生の明來(あくる)
転入したクラスの小夜子(さよこ)はまわりと関わろうとせず、教室で一人で過ごしている
明來はそんな小夜子と友だちになろうと近づくが、拒絶されてしまう
二人はそれぞれ人に言えない秘密を持っていた
その秘密とは……明來は触れたものの心がみえること、小夜子にはだれにもみえない「黒猫」の友だちがいること
おたがいの秘密に気づいた二人
「小夜子。おまえ、明來と友だちになれ」と言い残して姿を消した黒猫
少女たちはほんとうの友だちを求めて歩き始める
《28歳の児童文学新人作家デビュー!》
第2回フレーベル館ものがたり新人賞大賞受賞作
十九のころから児童文学を書きはじめた著者渾身の応募作「ハロー・マイ・フレンド」を改稿・改題して書籍化
カシワイの装画、城所潤+大谷浩介の装丁が少女たちの心の奥深くをうつくしく描き出す、手元に置いておきたいハードカバーの一冊
《夢。友だち。秘密。そして心……。
二人と一匹が出す答えを、楽しみにしていただければと思います。》
──『こどもの本』2020年1月号「私の新刊」
舞台回し役の天然少女優歌がいい味を出し、暗く重くなりがちなテーマにユーモアを添えている
“アマゾンジャングルという大きな遊具・甘縄小学校”という知る人ぞ知る設定に、鎌倉で生まれ育った著者ならではのあそび心が垣間見えてうれしい
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投稿者:とりまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
表紙の絵は、あくるが小夜の心に入った時のものなんですね。
心を閉ざし、イマジナリーフレンドである黒猫だけが友達の女の子と、触れたら心が読める女の子の話。
安易な超能力系はあんまり好きじゃありませんが、これはわりと良かった。
予想していたようには進まなかったので。
詳しく言うと面白さが半減するので控えますが、傷は無理に癒さなくても、残したままでもいいじゃない、ということなのかな。
始めの方の小夜が、あそこまで極端に頑なになるのはちょっと分からなかったけど。
最後の方は、小夜がコミュニケーション上手になりすぎてるような気もしましたが、
大人びてるけど、それでも小学生だからかな。変化に強く、どんどん変われる年頃。
あとがきを読むと、作中の咲人さんに雰囲気が似てる作者さんですね。
今後も期待したい作者さんです。
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
一匹の黒ネコと、小6のあくると小夜子の不思議な関係が印象的です。夏休みが終わって、両親の離婚という全く自分にはどうしょうもないことで母の実家から新しい小学校に通うことになったあくるは、 転入したクラスの小夜子が気になる所からです。
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正直、最初のうちは、うーん?という感じだった。ありきたりな感じもしたし、主人公の女の子の口調がどちらも苦手だった…。でも、読み進めていくと面白い。文体が独特というか、翻訳本のような文体で進んでいくのが気になるところでもあり、魅力のひとつでもある。主人公たちが年齢のわりに大人びすぎでは?という気もする。高校生くらいでよかったような。
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友だちの心に踏み込むのは、怖い。
その子のためにと思いながら、尊重しなきゃならない領域に踏み込むのは、していいことなのかどうか、いい年になった今もわからない。その子のためにと思いながら、それが本当にその子のためなのか、自分の自己満足にすぎないんじゃないか、自分自身にも判断がつけられないから。共感していると思っているこの気持ちが、本当に共感なのか、それとも自身の鏡像のようにその友だちを見てしまっているのか。
幾つもの痛い思いを経て、その不安を手放すことは、もう私にはできない。だからこの物語の登場人物たちが、私には眩しい。
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六年生の明來は、両親の離婚をきっかけに、母の実家に引っ越ししてきた。新しい学校になじめるかドキドキしながら登校している途中、大きな三つ編みを胸の方にたらした女の子を見かける。
直感で同学年だと思い、話しかけ握手をしようとした明來だったが、その子は背を向けて歩き出ししまう。
そんな態度にもめげず話しかける明來に、その子はこう告げる。
「私は倉木小夜子。あなたと友だちになる気はないわ」
明來視点、小夜子視点からと交互に話は進んでいくため、こう言い放った小夜子の気持ちも読むことができる。
小夜子は明來に告げたように、学校には友だちがいない。みんなと関わらないように、高い壁を作っている。
しかし、小夜子視点を読むときは、小夜子がものすごくおしゃべりなことが分かる、心の中で。
明來は、小夜子に拒否され続けるのだが、小夜子に興味を持ち、めげずに声をかけていく。
帰りの会がおわり、明來は「いっしょに帰ろう」と小夜子を呼び止めようとする。
小夜子はいらいらし、明來が伸ばしてきた手を思いっきりふりはらい、「あっちに行って。私にかまわないで」と、にらみつける。
その瞬間、明來は知ってしまう。小夜子の秘密を。
とても面白かった。
ファンタジーなんだろう。けれども、果たしてこれが架空のものと言えるのかどうかさえ分からなくなるほど、現実味があった。これが子どもの世界というような。
パート5の“エメラルドのグリーンの涙“がとても素敵だった。
さあ。今こそあなたに会いに行こう…からの流れは、本当にドキドキしながら読んでいった。
いつかいつか小夜子や明來ぐらいの年の子たちに紹介したい。
二人のもつ秘密はつげないで。難しいなぁ。
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誰もが、何かに、誰かに支えてもらって生きている。読んでいて心が震えた。まだ感動して、感想をうまく言えない。登場人物が、言い回しが、ファンタジーなのに、現実の自分に刺さる。宝物になるそんな本。
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小夜子の、黒猫抜きで人生を楽しむことに対する罪悪感がある、という気持ち、とてもよくわかる。
それはひとによっては、孤独でいるからこそイマジナリーフレンドのように心に寄り添ってくれる音楽や映画、小説であったり、同じ苦しみを抱えていることで繋がりあう存在だったりする。
小夜子は自分が黒猫がいなくてもうまくやっていける自分がいることに気づいてしまった。
それを知りながらもその事実に目を背けようとするのは、父や母の無理解に対する抵抗なのかもしれないし、昔なくしてしまったぬいぐるみをひとりぼっちにさせたくないという想いの表れなのかもしれない。
そうした小夜子の意思とはまた別のところで、黒猫は自ら去る決意をする。
それは明來という存在がいればもう自分がいなくても大丈夫だと思ったから。
そしてふたたび小夜子の元に戻ってくることができたのも明來がいたから。
小夜子と黒猫を救った明來の痛みに今度は小夜子が手を差し伸べてあげてほしい、そんな風に思った。
心や孤独というものの捉え方、他者との関わり、救うこと、救われること、記憶、出てくるモチーフやちりばめられたフレーズから、とあるバンドの詞の世界を思い出していた。
著者のプロフィールを拝見するとお気に入りのアーティストに挙げていたのでやっぱり、と納得。
児童書、しかも少女を中心とした物語で彼らの世界観の匂いを感じたのは初めてでそれがなんだか新鮮だった。
少女の頃に読めば初めて出会う感性に溢れているはずだし、大人が読めば今だからこそわかる感覚もある。
編み込みビーズの転校生、二粒のエメラルド。
ひっそりと心の中にしまっておきたくなるような、そんな宝物のような作品だった。
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第2回フレーベル館ものがたり新人賞対象の受賞作。
はあ、児童書はいいなあ。
ヤングアダルトのくくりになるのだろうか。
これは小学生にも中学生にもおすすめしたい1冊。
テーマは「イマジナリーフレンド」。
心のなかの黒猫を支えに生きる少女と
人の心を読める少女が出会う。
ふたりと1匹が「こころ」を巡って旅をします。
心って、どこにあるんだろうね?
人の心を読めてしまうがゆえに、道化を演じることが出来る少女と、
黒猫がいれば1人で生きていける、と思っている少女。
この2人と1匹がメインだけど、
ほかのまわりのお友達もとてもいい味を出しています。
ド天然の少女に、
いわゆるクラスの「リーダー格」の少女に。
この話でよかったのは悪者が1人もいなかったところ。
それぞれ素敵な役割があって、心が暖かくなります。
イマジナリーフレンドが題材の本で
こんなに踏み込んだ作品を読んだのははじめて。
ありきたりなクライマックス、ではありません。
2人と1匹がどんな結論を出したのか、ぜひ読んで欲しいです。
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イマジナリーフレンド、不思議な存在ですね。人の意識が作り出したものなのに、その人とは別の人格を持っているなんて。
黒猫が 小夜子から離れようとしたことは、理解できます。友達が 二人の世界に閉じ籠って 外に出ようとしなかったら、私でもそうすると思う。二人だけの世界は 小夜子を守るものであったのだろうけど、ずっとそのままではいられないから。
小夜子の心を、黒猫が内側から あくるが外側から 開こうとしている感じかな。
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イマジナリーフレンドの黒猫が見える少女と、人の心が見える少女。突然消えた黒猫を探すため、二人の協力が始まった。脇役を固める女の子たちもすばらしく、黒猫がどこに行ったかも含めて目が離せず、一気に読みました。
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「黒猫」とは一体なんだったのか?
この本を読み終わって、ぼんやり考えてみると、私はそれなりに勉強をしてきた大人なので、「あれは小夜子の中の親の偶像だ」とか、「小夜子の無意識だ」とか、そんなふうに色々理由づけが思い浮かんできます。でも、それってやっぱり、『デタラメでくるんでる』のかも。黒猫が何者かは、黒猫に聞かないと分かりませんから。
私は心理学を学んでいるので、心について考えたり見聞きする機会は多いのですが、やはり他人の心をありのまま理解すると言うのは現実的に不可能です。心はその人だけのものだと言うことを度々感じます。心理学を学ぶほど、人と関わるほど、「人の心なんてわからない」と言うことがわかるような気がします。でも、分からないからこそ、話をしたいと思うし、一緒に並んで同じものを見てみたいとも思うのかもしれません。この本を読んで、そんなことを感じました。
と、これは大人として読んだ感想ですが、自分がもし子どもの時にこの本を読んでいたら、不思議な友だちや、心を見ることのできる力、と言った部分に夢中になって読んだことでしょう。特に心の中の場の描写は美しく、脳裏に光景が浮かんできました。
あと、しゃべる黒猫と、星空の下の湖畔というイメージはなんだかジブリっぽいなと思ったり。
子どもの読書感想文なんかにも良い本だと思います。対象年齢は小学校高学年〜中学生くらいでしょうか。中学年でも読める文体ですが、内容が少し難しいかもしれません。
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フレーベル館ものがたり新人賞第二回大賞受賞作。前半はオリジナリティあるストーリーで圧倒的に面白い。中盤には大人でも思わずはっとするフレーズの数々が存在感を放つ。そのフレーズを際立たせる展開があってこその重み。登場人物全員の振る舞いが大人顔負け。残念ながら後半が微妙。それでもこれがデビュー作、作家の力量を感じさせるには十分だった。あとがきを読むと、編集部と改稿を重ねタイトルも変わっている。当初の原稿も読んでみたかった。それにしても最近の児童書は親の離婚、シングルマザー、引きこもり、不登校などの設定が多い。
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第2回フレーベル館ものがたり新人賞大賞受賞作で、原題は「ハロー・マイ・フレンド」。
序盤の、「小夜子」(小学六年生)の、他人を全く寄せつけない拒絶感は凄いものがあるが、そのピリピリした雰囲気を、「カシワイ」さんのニュートラルな絵が(各章の扉絵だけと、数こそ少ないが印象に残る)、そっと包み込んでいる、おそらくこの組み合わせが、本書の魅力をより高めているのだと感じました。
内容はファンタジー色が強く、「明來(あくる)」の抱えた悲しみの動機が薄かったりと、気になる点もありましたが、それ以上に、グイグイ読み進めたくなる、ストーリーテリングの面白さが勝り、小夜子と明來以外にも、「優歌」や「巴」、「美咲」といった、個性的なキャラクターの描き方も魅力的でした。
それから、小夜子の抱えた深い悲しみについて、おそらく想像力や感受性が豊かな彼女のことを、分かってあげることができなかったことが発端となり、以来、不信感でいっぱいになった彼女でしたが、その閉ざされた心を再び開かせようとしたのは、『友だちって何?』ということでした。
『友だちって、なろうと思ってなるもんじゃないよう。困っているのを助けるから、友だちになってなんて、そんなのよくないよう』
上記の言葉は、小夜子に向けたそれではないのだが、実は小夜子自身、大切なものへの想いが強すぎたことと、自分一人で抱えすぎたことが、無意識に答えを狭めており、がんじがらめとなっていたところに、ただ好きという理由だけで訪れた、その友だちは、まさに小夜子の心の扉を開く、大きな鍵だったのです。
そして、その扉の先に待っていた大切なものの真意とは、なんだったのか。そこに待っていたのは、私の想像を上回った、その複雑な思いと、心の存在の不確かさでした。
『心っていうのは、いまだに人知のおよばないものなんだ。大きくて、深くて豊かにいろんなものを秘めている』
「心というものは確かに存在するのか」という問いに対して、実は誰も証明することができないらしい。
しかし、それは逆に、どんなものにも心というものが、存在しているのかもしれない、ということにもなる。
おそらく、私はどこかで、そんなことはないと、高をくくっていたのかもしれないし、その浅はかさの裏には、友だちのことも、そんなふうに考えたことがあるのではないかと、自らを戒める思いを抱かせてくれて、原題の通り、友だちの素晴らしさを、様々な角度から教えてくれました。
それから本書での、○○ジ○○○フ○ン○の表現法や描き方には、とてもしっくりくるものがあり、感慨深いものがありました。
興味のある方は、是非。