日本経済学新論 ──渋沢栄一から下村治まで
著者 中野剛志
水戸学のプラグマティズムを、近現代日本を支えた経済思想へと発展させた人物こそ、渋沢栄一であった。『論語と算盤』で水戸学の朱子学批判を賤商思想批判へと読み換え、尊王攘夷思想...
日本経済学新論 ──渋沢栄一から下村治まで
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商品説明
水戸学のプラグマティズムを、近現代日本を支えた経済思想へと発展させた人物こそ、渋沢栄一であった。『論語と算盤』で水戸学の朱子学批判を賤商思想批判へと読み換え、尊王攘夷思想から継承した経済ナショナリズムで日本の近代資本主義を確立した渋沢。その精神を受け継ぎ経済政策の実践に活かした高橋是清、岸信介、下村治ら実務家たちの思想に「日本経済学」と呼ぶべき思考様式を見出し、そのプラグマティズムと経済ナショナリズムに危機に立ち向かう実践的姿勢を学ぶ。
目次
- はじめに――歴史に学ぶ/1 日本の経済学/2 論語とプラグマティズム/3 算盤とナショナリズム/4 資本主義の大転換/5 社会政策の起源/6 明治の通貨論争/7 経済ナショナリスト高橋是清/8 危機の経済思想/9 産業政策の誕生/10 岸信介の論理と倫理/11 下村治の予言
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渋沢栄一、高橋是清、岸信介、下村治の4名の実務家を「経済ナショナリスト」「プラグマティスト」として捉え、その思想や政策を論じている
2020/07/03 11:41
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
下村修も戦後占領期のインフレの原因は生産能力の徹底的な破壊にあると考えていて、インフレの抑制には供給能力増強で対応するべしと考えていた。だからインフレ抑制のために緊縮政策をする(ドッジ・ライン)のには否定的だった。日本には高橋是清的アプローチが必要な時だ、しかも、高橋是清の時代とは供給能力が段違いであるため、為替レートの変動を気にする必要はない(※高橋是清は金本位制を離脱したが、その後、円安水準でポンドペッグにしている)、というのが本書の主張。
日本にもまともな経済思想があったのですね
2021/06/27 03:32
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:akihiro - この投稿者のレビュー一覧を見る
明治から昭和にかけて現実を見据えた財政政策に尽力した人物の思想を読み解いています。各人の業績よりも、どのような思想で経済と向き合っていたのかに主眼を置いています。戦争や外圧など、当時の状況も踏まえて考察されています。
高橋是清については何となく知っていましたが、他にも日本の経済を支えた人たちがいたことを知れてよかったです。一方で、この精神が平成の財政に受け継がれなかったのが不思議であり、非常に残念に思います。
なお、本書で取り上げられている人物の著書や発言について文献から引用して紹介している箇所がありますが、戦前の人物に関しては「苟も能く人心の〜」という文体が多いです。読みづらい場合はとばしても差し支えないとは思います。