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電子書籍
病魔という悪の物語 ──チフスのメアリー
著者 金森修
20世紀初め、毒を撒き散らす悪女として恐れられた患者の実話。エイズ、鳥インフルエンザなど、伝染病の恐怖におびえる現代人にも、多くの問いを投げかけている。
病魔という悪の物語 ──チフスのメアリー
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病魔という悪の物語 チフスのメアリー (ちくまプリマー新書)
目次
- はじめに/ある料理人の運命/料理を介した死?/主人公の名前/個人と全体の利害対立/歴史のなかの「善と悪」?/悲しみという感動/基礎資料/第一章 物語の発端/事件以前のメアリー/チフス患者の発生/賄まかない婦ふの「履り歴れき」/最初の接触/衛生局への依頼/公衆衛生という権力/ソーパーとメアリー/ノース・ブラザー島/治療の試みと検査/命名/最初期の社会的反響/第二章 公衆衛生との関わりのなかで/腸チフス/チフスと戦争/チャールズ・シェイピン/腸チフスの感染原因/攻撃的公衆衛生/硫黄燻蒸と蒸気殺菌/「病気の汚物理論」の批判/周辺環境から個人へ/健康保菌者の危険性/健康保菌者という概念/這いまわるキャリアたち/小僧っ子ジンの死/衛生局のパニック/穢の街/文化的錯綜のなかの囚われ人/第三章 裁判と解放/法的な問題/「チフスのメアリー」の露わな登場/ある判例/オニールの問いかけ/メアリーの主張/孤軍奮闘のメアリー/判決が下る/やや唐突な解放/第四章 再発見と、その後/
- 自由になって/恋人の死/婦人科病院での発見/風向きが変わる/キャリア・リスト/有名なキャリアたち/メアリーの再検査/隔離の必要性は?/歴史の吹ふきだまりのなかで/仕事に就く/一日旅行/小さな宇宙/卒中の発作/葬式/第五章 象徴化かする「チフスのメアリー」/一般名詞化するメアリー/勝ち馬に乗る歴史/髑髏とフライパン/小説のなかのメアリー/象徴化する「チフスのメアリー」/おわりに/エマージング・ウイルス/エイズ/都市伝説/邪悪なゼロ号患者?/繰り返されうる構図/一人の人間がつむぐ歴史/主要参考文献
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紙の本
考えさせられました
2020/05/29 18:10
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
20世紀初頭、アメリカで蔓延した感染症、腸チフスにかかった家政婦、メアリーさんの数奇な人生を取り上げた本です。
メアリーさんは離島に長期間隔離され、自由を取り戻すことなく死去。死後も「チフスのメアリー」と揶揄されるなど、さながら悪魔扱いされてきた事が如実に記されています。著者は世の中がメアリーさんをここまで悪者扱いするのはいかがなものか?と読者に問いかけています。今、新型コロナウイルス感染症が話題ですが、メアリーさんの数奇な人生は「明日は我が身では?」と思うと背筋が凍りつきました。本当に考えさせられる内容でした。
紙幅が140ページと、新書としてはかなり薄いです。文章の行間隔も広くとってあり、気軽に読めるように仕上がっています。若い人たちにも読んでほしい1冊です。
紙の本
大衆迎合的なジャーナリズムによって産み出された「チフスのメアリー」という言葉が彼女自身から切り離されて独り歩きする恐ろしさ。私たちは自分の感覚的な物の見方だけで人を評価して良いのか。
2020/08/06 15:58
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は科学史・科学思想史の日本人研究者。「チフスのメアリー」と呼ばれていた女性、100年前のアメリカで、腸チフスのキャリア(腸チフスに感染していながら本人には自覚がない)として初めて特定され、37歳以降ほぼ生涯隔離されてしまった女性である。この本を読んで驚いた。当時、この「メアリー」以外にも数多くのチフスのキャリアが存在していたにもかかわらず、彼女だけが生涯にわたり公衆衛生局によって自由を奪われ、隔離されたのだ。それはなぜだったのか。著者は丁寧に、「メアリー」の背後にある社会的事象、感染症に対する人間の恐怖心がどんなふうに社会に生じるかについて紐解いていく。個人の自由と社会の多数を守るための犠牲について、「メアリー」の物語はたくさんのことに気づかせてくれる。
紙の本
レッテルを貼っておしまいか?
2020/05/08 21:28
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカ合衆国に実在した女性メアリー・マローンを紹介しながら、当時偏見の目で見られ勝ちな立場であったこと、ほかにもチフスのキャリアの男性がいたにもかかわらず、メアリーほど厳しく扱われなかったことが語られている。
十代向けとはいえ現在の状況からいって、大人も読んで一考すべきだ。
紙の本
繰り返される過ち
2020/07/08 09:25
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
19世紀末に失意のうちに亡くなったひとりの女性が、21世紀に甦ってきたかのようです。感染者への偏見や差別を、如何にして防ぐのか考えさせられます。
電子書籍
気の毒過ぎて
2021/08/31 22:45
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
腸チフスのキャリア、無症状の保菌者、という理由で、37歳からの人生がこれでは……。理不尽すぎます。しかし、現代とて、いろんな病気の偏見はあるわけで……。そう思うと……。