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投稿者:さるけろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
名文を読み、理解するのに、最高の指南書だと思う。説明が読みやすいし、理解しやすい。入試の対応の基礎と思う。
現代文読解の王道
2024/07/03 21:52
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投稿者:キェルケゴ - この投稿者のレビュー一覧を見る
教科書に載るような有名な作品を、接続詞などの単語レベルから、段落ごとの内容把握まで、丁寧に読みとく。
今の受験参考書と違い、出題者側の大学教授が、問題の読み解き方を解説してくれるのは、信頼がおけてとても役にたちます。
各作品の作者のプロフィールが詳しく説明されているのも良い。
読むこと。わからない部分を省略したり、置き換える、AI翻訳のようにして、母国語を理解してる人は少なくない。
2022/02/11 13:19
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投稿者:L療法 - この投稿者のレビュー一覧を見る
小学校の国語は、勉強せずとも成績が良かったので、漢字の書き取りのほか何も学んだ記憶がないのですが、(その漢字を書くこともあらかた忘れた)ひとまず、国語についてきちんと確認しておこうと思い、読書猿さん推薦のこの本を読み始める。読んでいる、学ぶではない。
文章の捉え方の基礎について、あまりにも当然なことが書いてあるのですが、ふと、こうして身につけたものは、果たして読解力だろうかという疑問がわいてくる。
成績優秀でもパズルの解き方を覚えただけで、理解してない可能性があるのではないか。
なんとなく教師の必要性、対面の必要性が了解されるとともに、教育の重大な欠陥を感じてしまう。
子どもの頃から感想文を評価されることに違和感を感じていたのですが、今読んで見てみても、その点を感じる。
教科書の定番『走れメロス』ここに正解としてして示される読解は、筋は通っているのですが、太宰にしては明るい、しかも熱血な、この翻案ものには、笑いの要素が紛れていないだろうか。
もちろんそれは主題ではないとするのは、わかるのですが、わざわざ全裸での笑いを結末に据えたことは、(感動の名場面はフルチンであった とたねあかしすることは)意図的なものであることは間違いなく、結末とは、結論に似たものだ。
教科書的な健全な読みに対して、太宰は、感動すること、偽善の欺瞞を、戦時体制のお題目のようなものを感じていたのではないか。
もちろんこの感想が、正解ではない。
私の「個人的」な感想以上のものではない。
しかし、読解のあり方として教科書が示すことには、限界があり、それも極めて低い位置にあるのではないだろうか。
杓子定規な教師が担当であった場合、正解があり得るのかすら怪しい、感想や読解にたいして、特にペーパーテストでは、一つの限定したものの見方のみを評価してしまうことにつながらないか。
感想という単語にこだわってしまうのだが、感想に正解を設定することは、思考の範囲を狭めてしまう危惧がある。
感想よりも長めの要約を書かせる方が、ペーパーテストの採点には無難であると思う。
文章の脈絡や、文字が読めているかは、それでわかると思う。
読み進めると、要約することについての文章がある。
たぶんこの教科書はとても正しいし、おそらくこの教科書を足場にして、この教科書自体を批判することも容易。
教育ってなんでしょうね。ひとつには手口を教えるもので、職業訓練、社会性の涵養、その他諸々、おまんまを稼ぐことなんでしょうが、それだけではないって部分は、教科書で伝え切れるのだろうか。
芸術や宗教と教育の関係、文学にできることなどを、国語教科書から(都合の悪い?)文学を取り除こうとする、保守派の策動などと合わせて、考えてしまう。
パズルを解くことと、想像力の領域は一部重なっている。
想像力は学べるものなのだろうか。
元々古い書籍なので価値観的に古い部分があります。
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復刻版なのか、ビジネス関連で話題となっていたので購入してみた。
懐かしいという感じもあるし、直接ではないものの役立つことも一部見つけることができた。
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読むことにコンプレックスがある。おもしろいと書評にあっても自分がどうも中身が理解できないものが多々ある。読書法も読んでいるつもりだが、それでもわからない。そしてこの本である。この本は試験の参考書である。今も読んでいるところにすぐ役にたっている。
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読書猿さんが解説を手掛けられているということで興味を持ち読みました。
幼い頃から読んできた日本語の文章の数々も、こうして細かく多面的に分解され、解釈の手引きを与えられると、「これまで自分が『読んだ』と思っていたものは、本当に読めていたのか?」「そもそも『読める』とはどういうことか?」という根本から揺さぶられました。
ほとんどのページで例題文と解説文が上下に書かれていたりするので、文庫本サイズでありながら読み通すにはかなりボリュームのある一冊です。
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「半世紀にわたって読み継がれた至高の現代文教本がここによみがえる!」に惹かれて読んでみた。なんと1963年に初版が刊行されたものだそうだが、古さは全くない。これが「読むということ」だ。「読むことの」王道だ、と思った。
自分が受験生だったのは、かなり前のことだが、現代文の問題を解くといつも、問題文の他の部分が読みたくなった。その年代が興味を持ちそうな文章で出題されているのだろう、ぐらいに思っていたが、本書で例題文を読み、設問の答えを考えていてふと思った。設問の答えを考えることで、その文章のよさや意味に近づくことができたから、おもしろさを感じたのではないか。現代文の設問は、その文章の理解するべき点を示してくれているのではないか。
受験が間近で少しでも点数を上げようとしているときには合わないので、ここに書かれているように、「高等学校の初学年」か、じっくり文章に向き合おうとする人向きかと思った。
推理小説は犯人が知りたくてどんどんとばし読みしたりする、せっかちな自分の読みを反省。本当に「読んだ」とは言えないのに感想を書いたりしているのかも。でもそれが今の時点での自分の読みということで、この「解釈の基本」を少しずつでも自分のものにしていこう、と思った。
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文学的な文章の部分しか読んでませんが、凄く分かりやすかったです。
娯楽としての小説というより、教材としての小説の読み方に近いように感じました。文豪の小説を読む時に活用できると思います。
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遠藤嘉基・渡辺実 共書による、「着眼と考え方現代文解釈」シリーズ
現代文解釈の基礎は、高校1年生を対象とした現代文教本
現代文解釈の方法は、大学受験生を対象とした現代文受験本 としている
どうやったら勉強していいかわからない「現代文」について「なんとなくできた」から「いつもできる」へ導くのが本書2冊である
問題解決のプロセスを言語化できるスキルは、現代文の理解を超えてあらゆる学習と知識の実践にとって、欠くことができない重要な技術である
単に、学習、受験を越えて、広く日本語の「読み書き」、文章の内容と表現を把握するための「方法論」なのである
気になった点は以下です
■構成は、解釈の基本 解釈上のポイント 例題 練習問題 という章立てになっています
■「文学的な文章」と、「論理的な文章」の2つにわかれています
■「文学的な文章」は、小説が対象になっています
・主人公 主人公の内面をどうとらえるか、主人公をめぐる人間関係をどうとらえるのか、事件の展開、伏線の発見
・登場人物 人物の性格、心理の起伏を、抽象化・具体化して、繰り返しアプローチする、その行動や発言から、どういう考えをもっているのか
・作品の理解 作者は最終的になにがいいたいのか 部分から総合して全体を考察する 登場人物の発言にどういう意図があるのか、
・作者の理解 作者の発想、創造力の働き、作者の感覚をつかむ
■「論理的な文章」は、随筆や評論が中心となっています 文章の構成、文章の接続、論の展開方法、論
・文章構造 単語⇒文⇒段落(パラグラフ)⇒全体
・論 接続詞 例 照応(繰り返し、対比)
・論 段落の設定、帰納法、演繹法
・論者 論者のもつ価値観、評価、構成、思想の理解、物の見方
目次
文学的な文章
Ⅰ 解釈の基本
1 主人公の輪郭 主人公はどのような人物であるか
2 主人公をめぐる人間関係 お互いに相手をどのように意識しているか
3 構成を調べる 事件の中で最も大きく変化したものは何か
4 全体の主題 全体から訴えてくるもの
Ⅱ 登場人物について
1 人物の性格 登場人物の発言や行動から性格を読む
2 人物の心理 登場人物の心理の起伏を追求する
3 人物の思想 登場人物の思想を知る
Ⅲ 構成・表現について
1 主題をつかむ 「どんなことが」書かれているか
2 意図を解釈する 「どのようなものとして」書かれているか
3 文体を解釈する 「どのように」表現されているか
Ⅳ 作者について
1 発想 作者が書くときにとった根本的な態度
2 創造力 作者の想像力のはたらき
3 感覚 作者の感覚のはたらき
<付> 近代・現代の詩について
論理的な文章
Ⅰ 解釈の基本
1 一語一語の内容 難解な語を理解する
2 一文一文の内容 一文一文の内容をおさえていく
3 段落の要旨 段落の要旨を一つ一つおさえていく
4 全体の論旨 全体としてどういうことが論じられているか
Ⅱ 論の重点について
1 指示詞の実質内容 コソアドの指し示すものの内容を正しくつかむ
2 具体的事例と抽象的見解 引き合いにだされた実例
3 語句の照応 繰り返されているもの・対比されているもの
Ⅲ 論の構成について
1 段落の設定 接続詞をつかまえるだけでは不十分
2 判断の論拠(1)帰納を中心に わかりきったこととして書かれていない判断に注意
3 判断の論拠(2)演繹を中心に 前提から結論が導き出されるときの法則を知る
Ⅳ 論者について
1 価値の置き方 論者がどういうものに価値を置こうとしているか
2 考え方 論者の根本的考え方を理解する
3 物の見方 論者の世界観・人生観を探る
索引
連取問題<考え方>解答
解説(読書猿)
ISBN:9784480510730
出版社:筑摩書房
判型:文庫
ページ数:480ページ
定価:1500円(本体)
発行年月日:2021年10月15日第2刷
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1963 年に刊行された現代文参考書の復刻版。
文学的な文章を扱うパートと、論理的な文章を扱うパートの2部構成で、それぞれ解説と、主に昭和初期から中期の文章を題材にした例題や問題演習から構成されています。
復刻版だから当たり前とはいえ、はじめは「これが現代文と言われても、ちょっと古すぎるなあ」ととまどいつつ読み始めたのですが……。
思いのほか、解説文が平易かつ明快で、古さを感じず、文章の読み方についても深く掘り下げられており、とても良かった。
そして解説文と合わせて読むうちに、題材文の視点の面白さや主張の魅力にもひきこまれました。
「意図」「文体」「価値づけ」「世界観」などなど、漠然とわかったようなつもりでいるけれど、いざ説明しようとすると言葉が出てこない抽象的な概念について、簡潔に、でも言葉を尽くして丁寧に、説明されています。
「……論理的な文章を読む場合、書か
れた文章の内容を構成に即して理解するだけでなく、その内容構成を論者の立てた構想として把握し、論の奥にある論者の根本的な思想まで理解する必要があろうかと思います。
右のような論者の根本的な考え方を理解するのに便利な方法、などと言うものはおそらくないでしょう。もし必要な注意があるとすれば、それは、論者によって考えられたことの内容を理解することがすべてだとは考えない心構え、論の内容は論者のものであること
を忘れない心構え、だと言ってもよいでしょう。」
文章を読む、それは平面の文字の羅列を目で追うことだけれども、同時に、著者の世界観のもとで構成が練られ、書かれるべき内容が吟味された過程にさかのぼって想像力を働かせていくことで、その行為が、他者への共感や思いやりにつながるのかなと思います。
それにしても、私、その昔の受験戦争の名残なのか、仕事で制限時間から逆算して文章を読むことを長年続けてきたせいか、問題を解くときに、焦って早とちりしたり、自分の思い込みで解釈を間違えていることが多いな……反省(苦笑)。
もっと冷静に、落ち着いて、文章と向き合おう。
題材の1つだった三木清さんの文章がとても良かったのと、長田弘さんの文章に登場するオトフリート・プロイスラーの『クラバート』が面白そうだったので、また手にとってみようと思います。
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本書は、学習参考書である。高校初年生向け、つまり中学を出たばかりの人のために作られたものとして、昭和38年(1963年)に刊行された。その後、改訂がなされたのだと思うが、私が読んだこの本自体は、「新訂版」として、2021年10月に、ちくま学芸文庫の中の1冊として発行されたものである。
高校時代に「現代国語」という科目があった。当時から本を読むのは好きだったので、この「現代国語」という科目は嫌いではなかった。「国語」は、この現代国語・古文・漢文とセットで、大学入試の受験科目の1つであった。入試のために「国語」の勉強をしたかというと、古文の文法を勉強したり、漢文を読み解く練習をした記憶はあるけれども、「現代国語」をわざわざ入試用に勉強した記憶はない。ということは、私は、この本で、初めて「現代国語」を学習参考書を使って勉強したことになる。
本書は、「文学的な文章」の読み方のパートと、「論理的な文章」の読み方のパートに分かれている。それぞれのパートの中に、細かいテーマを設定し(例えば、「文学的な文章」のパートであれば、大きくは「解釈の基本」「登場人物について」「構成・表現について」「作者について」と別れ、それぞれが更に、細かいテーマに分かれている)、そのテーマごとに、①解説をほどこし②「例題」を用いて具体的に読み解き③「練習問題」によって実際に自分で試してみる、という構成になっている。
このように、「精密に」文章を考え、実際に読んだことはなかった。もちろん、文学的な文章にせよ、論理的な文章にせよ、意味が分からない、筆者の意図が分からない時には、丁寧に何度も読んでみるということはあったが、この本は、その仕方を解説してくれている。
本書を一度読めば、そういったことが身につくわけでもないが、少なくとも、しばらくは、精密な読み方を意識するようになるだろう。
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国語の授業を聞いているような感じになってくる一冊。
例題として取り上げられている物語作品は有名なものが多く、こんな解釈や捉え方があるのかという発見があった。
上半分に問題の文章、下半分に解説という構成になっていて、見た目よりも中身ギッシリです。
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【星:3.0】
「よみがえる至高現代文教本」という文句に誘われて呼んでみたが、私には少々荷が重い1冊であった。
昔ながらの現代文教本ということもあり、今流行りの現代文参考書のようなとっつき易さはまるでなかった。
ただ、どの問題文についても、どの解説や読みの深さ自体は今風の現代文参考書をはるかに凌駕していることは間違いない。
しかし、本書のレベルは大学受験の現代文をかなりのレベルでマスターした次の段階にあると感じる。したがって、現代文があまり得意ではないという人が手を出すべき本ではないと思う。
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初版は1963年、日本の国語政策にも関与したトップレベルの日本語研究者の二人が著者。2021年に復刊され、巻末の解説は有名な読書家?の読書猿さん。
現役の中高生の頃は、国語を学んで何になる、特に主人公の考えを読み取ってどうする、などと考えていた。論理的な文章を読む力が仕事や生活に不可欠だということは、大学を卒業してから気づかされた。そして、十数年前から読書が楽しくなった頃からは、登場人物の考えなどを読み取れれば、もっと小説を楽しめるだろうと感じたり。今回、この本で解説を受けながら演習することで、少しは何かの足しになったかもしれない。中には、やっぱり難しい例題もあったが。
さらに、随筆の面白さ、興味深さを感じることもできた。著者が、どうやって論理を組み立てて展開し、自分の考えを的確に読者に伝えるか、登場する文章は、どれもレベルが高いもののよう。(難解という意味のレベルが高いではない)
文章の内容から興味深かったこと。
日本人には、現実をある枠の中に切り取って、そこに単純化された現実を見て安心する性癖がある。旅行先で写真を撮りたがること、歌に詠むことが一例。
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図書館で借りた。
ちくま学芸文庫から出ている現代文を学べる本。元々は受験参考書の名著だったのが一般書化・文庫化したもののようだ。小説の読み解き方、評論文の読み解き方を体系的に学ぶことができる。
私は高校時代にちゃんとした現代文の参考書を読んだ記憶が無かったこともあり、非常に学びがあった。
小説に関しては、明記されていることはともかく、どうしても明記されていない登場人物の気持ちや作者の考えなど、「はっきり書いてないことは作者に聞いてでもしないと分からないじゃないか」と正直今でも思う。そこは私の想像力なのか、国語力なのか何かが足りないのかもしれない。「国語の試験で点数を取るためのテクニック」と理解すればいいのだと言い聞かせても、私は納得しきれない面が残る。
それに対して、評論文に関しては私は明るくなった。文字通り理解すれば、壁にはぶつからなかった。
そこでよく分かったのが、文学作品はやはり人文科学で、評論文の読解は論理学すなわち形式科学寄りなのだということ。私の性格や能力的な要因が大きいのだろうが、ある種自信にもなったと感じた。