たくさんの小説が紹介されています。
2022/07/08 11:03
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投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
読書会とは何ぞや?と思って購読しました。
学校の図書館司書を務める著者が、実際に読書会に参加し、その内容と取り上げられた小説作品について書かれた1冊です。
これでもかと、たくさんの小説が紹介されています。ある意味、読書の手引書のような体裁です。文章も読みやすかったです。
読書会を楽しもう
2022/08/10 15:33
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
どんな本を読むかというのは、やはり自身のお気に入りワードがあって、
私の場合、そのひとつは「読書」ということになる。
そこから派生する「読書会」もそうで、ましてやこの新書のように
『読書会という幸福』と直球でズバッとこられると
つい手が出てしまう。
翻訳家で学校の司書でもある著者向井和美さんは、自身もまた30年近くある読書会に参加されている。
そういう経験から読書会がうまく運営されるための作法やさまざまな形式の読書会を紹介している。
向井さんが参加されている読書会は、全員が同じ本を読んできて意見を語り合う形式で、
課題本の多くはなかなか一人の読書では手が出ない古典が中心になっている。
新書巻末には、向井さんが参加されている読書会が30年以上の期間に取り上げてきた課題本一覧が載っていて、
圧倒される。
読書会の形式には、ほかにも「おすすめの本を紹介し合う」ものもある。
ちなみに私が参加している読書会はこの形式で、
自分だったら絶対手にしない本がメンバーから紹介されて読書欲が沸くということがよくある。
どの形式の読書会がよいかというのは、自分に合っていればそれでいいので、
無理をしないことが継続につながっていく。
気をつけないといけないのは、あまりに楽し過ぎて、つい喋りすぎてしまうことだ。
これは向井さんの読書会の作法でも、厳に注意されている。
この新書は「読書会」だけでなく、
向井さんがこれまで「読書会」を通じて読んできた作品の紹介もあって、
ブックガイド的にも読めるのがいい。
改めて、世界中の名作を何でも読める日本の翻訳文化の凄さ・豊饒さを、本書を通じて感得
2022/07/22 01:34
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投稿者:Haserumio - この投稿者のレビュー一覧を見る
単に「読書会」まわりのみならず、書物と人生のさまざまについて述べられており、興趣に富んだ一書。大変面白く読み終えました。ところどころで、著者の赤裸々な内面表白もあり(例えば、「やがて、相手に期待することをいっさいやめた。すると気持ちが楽になった。」(117頁)のくだりでは、思わずドキッとさせられましたね)、変化に富んだ一冊でもありました。個人的には、読書会といえば日本アスペン協会のそれ(泊りがけ!)に二回ほど参加したのみで、「一人(独り)読書会」(例えば、安部公房の六冊を読んでから、ヤマザキマリの『壁とともに生きる』を読むなど)を多用している評者ですが、今度いずこかの読書会に参加してみたくなりました。なお、85~91頁に登場する「Tさん」は、田中和泉氏(元TBS社長、2020年1月20日没)のことでしょう。また、100頁2行目の「木」は明らかな誤植で、「樹」が正当かと。それにしても、評価とは紐づけていませんが、全体的に「ネタバレ」が非常に多いのは正直ちょっといただけない感じもしています。
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読書会は、一人では手に取らないような本を読めてしまう、普段話しにくい人生の難しい問題を話し合える、本を介して人を知ることができる、などの魅力がある。そんな読書会について、参加者の視点、主催する学校司書の視点、翻訳家の視点から読書会について書かれる。学校司書からの視点が興味深かった。読書会の楽しさも伝えている。
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30年余り続く読書会の秘訣は課題本にふだんでは手に取らないであろう古典本を深く読みいろんな人の感想を聞く楽しみらしい。私が参加する読書会はおすすめ本を紹介することが多いですがオンライン開催になってからは全国たまに海外からもといろんな意見が聞け楽しいですよ。
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翻訳家の先生がずっと続けてきた読書会の記録。読書会いいっすね。ノウハウや運営むずかしいところの話はもうすこしあってもよかったかもしれない。
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約30年間、翻訳者中心の読書会に参加している著者の記録。主に読書会で取り上げた本の紹介とかいつまんだ内容紹介で、物足りなさもありました。
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「読書好き」のスノッブな空気が大嫌いな私なのだけれど(だから私自身なかなか「趣味は読書」と言えない)、この本は面白いと思った。読書の世界をも侵食している「泣かせ」や「感動」の安直な氾濫に抵抗しつつも、孤独に本と向き合う(が、同時に作者や自己自身との対話を重ねる行為の謂でもある)「読書」の大事さを説いている。そして、そうした「読書」を通して人とつながることの大事さをも説く。話題は著者が読んで語らった様々な面白い本についても飛び、一種のブックガイドとしても楽しめるのではないかと思う。読みやすくそう難解でもない
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雑誌『世界』に連載されていたエッセイをまとめたもの。
著者が30年以上参加しつづけている読書会を中心に、各地のさまざまな読書会の話題や、文学を読むことの楽しみや意義についても語られている。
著者が学校の司書さんなので、高校での実践例やオンラインで高校生が『世界』の記事について話しあう読書会の話題なども面白かったけれど、何よりもやはり『失われた時を求めて』その他自分ではなかなか読了できそうにない外国文学の読書会の話題が、とても豊かでため息が出る。
ため息が出るのは、たぶん自分では読まずに終わるだろうなと思うからなのだけど、そうは言っても自分が参加した数少ない読書会でも、やはり感想を話しあうことで自分のなかにもやもやと渦巻いていたものが整理され、新たな感想が引きだされる快感を味わったことはあるので、うんうんと納得できる部分も多かった。
そして翻訳家としての文学との関わりが記された部分はいろいろ胸に迫るものがあった。ときどき読みかえしたい。
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10年以上、読書会を続けられているのには、さまざまな工夫をされているのだなと思った。
文学には沼があると手をつけないでいたが、この本を読んで、外国文学に興味を持った。
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後半は少し飛ばし読みあり。
思っていたような内容以外も入っていて、そこは飛ばさせてもらった。
読書会の行いかたや長続きするポイント。著者本人は司書もしているので、中高生の本との出会いを画策するところや中高生の読書会、ビブリオバトルなど興味のある内容も多く紹介されていて参考になった。
読書会が江戸時代には存在したということや、読書会と称して政治について集まって語っていた時代などなど読書会について知れた。
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「わたしがこれまで人を殺さずにいられたのは、本があったから、そして読書会があったから」や「本を一冊読み終えるたびに、人生を10年ほど余計に生きたような気持になる」等々の著者の読書に対する思い入れにはじまり、「本を語ることは人生を語ること」を自ら実践するような内容で、著者の人生・生活を赤裸々に語る部分が面白い(さすがに、勤務先のデータベースを私的利用するという犯罪まがいの行為まで書く必要はないのではないかと思ったが)。
とはいえ、本題の読書会そのものについては期待したほど記述があるわけでもなく、どちらかと言うと読書会で取り扱った海外の古典文学についての紹介・感想が多い。ただし、異色パートはⅢの学校司書でもある著者が主催する中高生向け読書会に関する記述で、ここがイチバン興味深く、この内容だけで1冊書いて欲しいところ。
疑問点としては、読書会には男性も参加者もいるはずなのに、あとがきの最後の最後で「永遠の文学少女たち」と尊敬対象を性別限定しているのが気になったが、ここにはどのような意図があるのかが謎として残った。
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読書会の楽しさを語っている。参加者としての楽しさで、主催する側ではないが、参考になるポイントも有り。あー、読書会したい。
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内容についてはまるで知らず、ブックオフで見つけた本。いい本に出会えました。「読書の神様」がいらっしゃるのなら、感謝します。
本書をざっくり紹介するなら、読書で得られる幸福感を教えてくれる本、文学、特に難解な長編が読みたくなる本、そしてすぐにでも読書会に出席したくなる本です。
著者の向井和美さんは翻訳家兼某中高一貫校の図書館司書。そして「全員が同じ作品を読んできて語り合う会に、30年近く途切れることなく参加してきた」実績を持ちます。
本書の構成は①読書会の醍醐味、作法と効用②読書会潜入記③図書館司書として学校で主催する読書会③読書会で取り上げてきた本とその読みどころ④翻訳家が中心となって参加する読書会の特徴⑤読書会記録の効用。ひとことで言えば読書会の魅力が凝縮された1冊になっています。
読書会の醍醐味は①どんな難解で長い作品であっても「みんなが判走してくれる」ので、「つらいページ」も乗り切れられる②文学を通してなら普段口にしない話題であっても語り合える。例えば「8月の光」を通して「差別とは何か」について議論できる③本の感想や意見を人前で話せるようになれる。人の意見を聞くうちに感想を言語化できるようになるため④同じ本を読んできた参加者の意見から、「思いもよらなかった視点を与えてもらえる⑤参加者の人間性を垣間見られること。本書はそんな読書会の醍醐味を課題本の紹介を通して記述します。
「POP1280」(ジム・トンプソン)は「登場人物のだれひとり好きになれないけれど、作品としてはきわめておもしろい」。「蜘蛛女のキス」(マヌエル・ブイグ)は「女だと思っていた人物が実はオネエ言葉のゲイだとわかってびっくりした」。「ハックルベリー・フィンの冒けん」(マーク・トウェイン)は「死と距離の近さ、黒人奴隷や貧乏白人の立ち位置、そして差別の多重構造」。「チボー家の人々」(ロジェ・デュ・ガール)は「本を読むとは、まさにこういうことだ。ページを開いて文字を追っているときはもちろん、横断歩道を渡っているときも、風呂に入っているときも、登場人物たちの姿がつねに頭のなかにある」。「崩れゆく絆」(チアヌ・アチェべ)は「わたしは今回、価値観とはなにかということをすごく考えさせられました。『野蛮な伝統』を文明化すればそれでいいのか、と。これはとても普遍的なテーマだと思います」。こんな具合に著者や読書会の参加者の言葉で、読むにはある程度エネルギーが要る作品が紹介されてゆきます。
本書は読書会を成功させるテクニカルな面も紹介しています。その中で「課題本をリスペクトする」というアドバイスは良いと思いました。「課題本の選び方」も参考になります。
また、本書はエッセイとしても面白い本です。著者の翻訳の師匠は東江一紀さん(故人。『犬の力』など)。「目にも耳にも美しい文章を書くべし」「代名詞はなるべく使わず訳すべし」というアドバイスは翻訳だけでなく、文章を書く上で役に立ちそうです。「泣ける本」という言い方が嫌いな著者が、生徒から「泣ける本ありますか?」と尋ねられれば「どんなふうに泣きたいの?」と相手の要望を聞き、4、5冊泣ける本を挙げて「良い司書」ぶりを発��するというくだりは笑ってしまいました。
本書の帯には「わたしがこれまで人を殺さずにいられたのは、本があったから、そして読書会があったからだと言っても良いかもしれない」。バイアスがかけられてしまうような帯ですが、本書を読むと著者がリスペクトすべき読書家であり、司書であり、翻訳者であることが認識できます。「本について語りながら、実のところわたしたち自身の人生を語り合ってきたのではないかと思う」。本書を読み終えて、本当にそう思いました。
今、たまらなく読みたくなった本は「崩れゆく絆」「チボー家の人々」「レ・ミゼラブル」。明日、ブックオフに行こうかな。
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コロナ禍の中で友人とzoomで一つの本を一緒に読む、という体験から読書会に興味を持ち、晶文社「読書会の教室」を読んで、ますます、もっとやってみたいモードが高まっているタイミングでの岩波新書。題名も「読書会の幸福」ってホンワカムード。でも中身は超ハード。のっけから子供時代が両親の不仲で地獄だった話。文体も柔らかくて、しかも読書会の体験記や読書会の運営のノウハウや、読む前にこちらが期待していた構成もちゃんと盛り込まれているのですが、そういう気軽さを覆いつくす、本と人生の熱い物語。著者の人生。なにせ「もしかしたら、わたしがこれまで人を殺さずにいられたのは、本があったから、そして読書会があったからだと言ってよいかもしれない」ですから。読書会の数少ない男性メンバーのTさんのエピソードは、まるで短編小説のようだし、現在のパートナーとの関係もそこまで書く?ということをスルッと紛れ込ませてくるし…恩師や父親の最期の話もグッときます。まさに生きることは文学を読むこと、読んだ文学について人と語らうことは生き延びること、という文学の力を感じました。まさに章のタイトルになっている「文学に生かされて」の迫力。著者にとっての「読書会の幸福」は「読書会に生かされて」という意味なのだと合点しました。この著者、やさしい文体でも結構、凶暴です。カズオ・イシグロ「日の名残り」で丸谷才一の誤読にも噛みついているし…それにしても巻末についている1987年からの読書リストの豊饒さよ。文中に出てくる「ぼくはこのほとんどを読まずに死ぬのか…」このつぶやきは自分のつぶやきでもあります。