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回想のブライズヘッド 上
第2次大戦中,物語の語り手ライダーはブライズヘッドという広大な邸宅の敷地に駐屯する.「ここは前に来たことがある」.この侯爵邸の次男でライダーの大学時代の友セバスチアンをめ...
回想のブライズヘッド 上
回想のブライズヘッド 上 (岩波文庫)
商品説明
第2次大戦中,物語の語り手ライダーはブライズヘッドという広大な邸宅の敷地に駐屯する.「ここは前に来たことがある」.この侯爵邸の次男でライダーの大学時代の友セバスチアンをめぐる,華麗で,しかし精神的苦悩に満ちた青春の回想のドラマが始まる.20世紀イギリスの作家ウォー(1903-66)の代表作.(全2冊)
目次
- 作者序文
- 序章 ブライズヘッドふたたび
- 第一部 われもまたアルカディアにありき
- 第一章
- セバスチアン・フライトおよびアントニー・ブランシュとの出会い はじめてブライズヘッドを訪れる
- 第二章
- 従兄ジャスパーの大諫言 魅力にたいする警告 オクスフォードの日曜の朝
- 第三章
- わが家の父 ジューリア・フライト
- 第四章
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紙の本
この本に出合えた幸せ
2021/11/22 23:33
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
私は惜しくも廃刊となってしまった新潮社の雑誌「考える人」で特集されて海外の長篇小説ベスト100を制覇するという果てしない野望を密かに持っている。あの雑誌がその特集をしてくれていなければ、生涯、「回想のブライズヘッド」とイーヴリン・ウォーに出会うことはなかったかもしれない(雑誌には、70位「ブレイヅヘッドふたたび」と紹介されている)
紙の本
イギリス人作家ウォーによる青春時代の回想物語です!
2020/05/03 09:14
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、イギリスの小説家、アーサー・イーヴリン・セントジョン・ウォーの作品です。彼は、カトリック作家として知られ、辛辣な風刺とブラックユーモアに富んだ作品を多く発表しています。岩波文庫からは上下2巻シリーズで刊行されており、同書はその上巻です。同書では、主人公のライダーが、第二次大戦中に連隊として駐屯したブライズヘッドという広大な邸宅の敷地を懐かしむところから話は始まります。「ここは前に来たことがある」と言う主人公ですが、この侯爵邸の次男で大学時代の友人でもあったセバスチアンとの青春時代を懐かしみます。しかし、大戦後、市民階級が台頭し、貴族達が財産を切り売りしなければならなくなり、セバスチャンも落ちぶれ、酒に入り浸る日々を過ごしていました。この二人はどうなるのでしょうか。ぜひ、多くの方々に読んでいただきたい作品です。
紙の本
こういう傍観者が主人公、っていう話は嫌いです。読んでいて少しも楽しくありません。しかも、主人公の態度たるや、明らかに一家の滅亡を焚きつけているとしか思えない。いやだいやだ腐った男・・・
2009/07/02 17:45
7人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
あいかわらず上巻に、下巻の内容を含んだ解説をつけるという暴力的な構成をして恥じることのない岩波書店ですが、ここまでくると文化の担い手っていう看板、下ろせっていいたくなります。頁数からの判断でしょうが、結局、値段のことしか頭にないのか、岩波、って思います。
意味ないです、こういう構成。やるなら上巻の注だけにとどめるのが筋でしょう。下巻を読み終わって、さあ、ゆっくり解説を読もうと思っても、そこには奥付しかない。なんていうか、階段の最後を踏み外したような感じ、というか中途半端さ。読者の都合ではなくて出版社のそれが優先しているとしか思えません。ぷんぷん・・・
で、正直、上巻は面白くありません。全く面白くない。それが下巻になって急転します。キーワードは結婚。それによって様々な問題が浮き彫りにされます。本当に愛していた人にあとになって気づいたり、資産目当ての結婚らしきものがあったり、離婚があったりとまさに恋愛小説です。
それに宗教、そして死を前にした洗礼などがあり、芸術があり、戦争があり、没落があります。世襲的なものに反発しか覚えない私は、マーチメイン侯爵家が没落するのも致し方なし、としか思えないし、一応主人公らしいチャールズ・ライダーのクールというよりは無責任としか思えない行動を見ていると、この男は何も考えていないのだから、もっと落ちろ!なんて思いもします。
いや、ある意味、マーチメイン家の人々の動きは理解しやすいものといっていいでしょう。母親が宗教に走った理由はよくわかりませんが、実家のせいと考えるのが妥当でしょう。それに鬱陶しさを感じて外に女を作り宗教を軽視するマーチメイン卿というのも肯けます。お堅い長男と酒びたりの次男、美しい長女に美しくない次女というのも、その性格の設定もある意味自然です。
それに対して、語り手であるライダーはある意味『華麗なるギャツビィ』のオールド・スポートであり、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』のホールデン・コールフィールドです。他人のことなど全く考えない自分人間。正直、マーチメイン家滅亡を狙っているんじゃないか、なんて思いたくなる無責任な行動をとり続けます。
私はこういう人間が主人公になってしまうと全く感情移入ができなくなるのですが、ここでは救いがあります。一人はマーチメイン卿です。いかにも人間臭いこの老人の自由な行動を見ていると、おなじように見えながらライダーの無思慮のそれとは全くことなるもっと深いものを感じます。
それと卿の二人の娘ジューリアとコーデリア。容姿も考えも行動も対照的な二人は、苦悩の中にあっても互いを思い合いいつも一家のことを思っている、それが伝わって来ます。それは旧家の人間によく見られる過剰な一族意識というよりは、現代の幸福な家庭に存在するものレベルなので共感できるのです。
私にとって唯一の異物は、やはりどのような場でも責任をとろうとせず傍観者的に振る舞うライダーです。サリンジャーやスコフィッツジェラルド、ウォーが創出したわけでもない昔からよくいるタイプの男で、以前であれば物語りの脇役を務めるのがせいいっぱいだったでしょうが、現代小説では主役に踊り出た感じです。
そこに現代を見る人は、青春のドラマとして喜び、快哉の声をあげるのでしょう。私のような人間は彼のような存在に我慢がなりませんが、ライダーはあくまで語り手、目に過ぎない、この話は彼を通してみたマーチメイン一族の姿にある、と思えば十二分に楽しめる、そういっていいでしょう。上下巻について文庫カバーから文章を写せば
回想のブライズヘッド(上)
第二次大戦中、物語の語り手ライダーの連隊
はブライズヘッドという広大な邸宅の敷地に
駐屯する。「ここは前に来たことがある」。こ
の侯爵邸の次男で大学時代の友セバスチアン
をめぐる、華麗で、しかし精神的苦悩に満ち
た青春の回想のドラマが始まる。(全二冊)
カバー=中野達彦
カバー画=二六歳のイーヴリン・ウォー(ヘンリー・ラム画)
下
「古昔は人のみちみちたりしこの都巴いまは
悽しき様にて坐し」。ひさしぶりに再会した
セバスチアンは、別人のように面変わりして
いた。崩壊してゆくブライズヘッド邸とその
一族―華麗な文化への甘美なノスタルジア。
英国の作家ウォーの代表作。(全二冊完結)
カバー=中野達彦
カバー写真=ワデスドン・マナー NTPL/Andy Williams
となります。ちなみに、下巻のカバー写真は俗悪な絵葉書レベルのもの。カバーを担当する中野達彦なんでこんなヘタな作品を選んだのでしょうか? この俗悪さこそがこの小説に相応しいとでも思ったのでしょうか。一応、全体の雰囲気が分かるように目次も書いておきましょう。
作者序文
序章 ブライズヘッドふたたび
第一部 われもまたアルカディアにありき
第一章 セバスチアン・フライトおよびアントニー・ブランシュとの出会い――はじめてブライズヘッドを訪れる
第二章 従兄弟ジャスパーの大諌言――魅力に対する警告――オクスフォードの日曜の朝
第三章 わが家の父――ジューリア・フライト
第四章 英国のセバスチアン――国外のマーチメイン卿
第五章 オクスフォードの秋――レックス・モットラムとの食事、マルカスターとの夕食――サムグラス氏――英国のマーチメイン夫人――世界に背を向けたセバスチアン
〈解説〉イーヴリン・ウォーと『回想のブライズヘッド』 小野寺健
第二部 ブライズヘッドを去る
第一章 サムグラスの失脚――わたしはブライズヘッドを去る――レックスの正体
第二章 ジューリアとレックス
第三章 マルカスターとわたしは祖国を守る――国外のセバスチアン――わたしはマーチメイン・ハウスを去る
第三部 一本の糸
第一章 嵐の孤児
第二章 個展――ブライズヘッドのレックス・モットラム
第三章 噴水
第四章 世界に背を向けたセバスチアン
第五章 マーチメイン侯爵帰国――中国風応接間での死――ジューリアの道
エピローグ ブライズヘッドふたたび
以上です。