電子書籍
【期間限定価格】真田騒動―恩田木工―
著者 池波正太郎
信州松代藩――五代目・真田信安のもと、政治の実権を握り放縦な生活に走った原八郎五郎を倒し、窮乏の極にある藩の財政改革に尽力した恩田木工を描く表題作。関ケ原の戦い以来、父昌...
【期間限定価格】真田騒動―恩田木工―
真田騒動―恩田木工―
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真田騒動 恩田木工 改版 (新潮文庫)
商品説明
信州松代藩――五代目・真田信安のもと、政治の実権を握り放縦な生活に走った原八郎五郎を倒し、窮乏の極にある藩の財政改革に尽力した恩田木工を描く表題作。関ケ原の戦い以来、父昌幸、弟幸村と敵対する宿命を担った真田信幸の生き方を探る『信濃大名記』。ほかに直木賞受賞作『錯乱』など、大河小説『真田太平記』の先駆を成し、著者の小説世界の本質を示す“真田もの”5編を収録。
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紙の本
良いですね
2024/04/30 14:21
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
信州松代藩五代目、真田信安のもと、政治の実権を握り放縦な生活に走った原八郎五郎を倒し、窮乏の極にある藩の財政改革に尽力した恩田木工を描く表題作です。爽やかですね。
紙の本
池波の真田ものといえば
2015/08/20 12:21
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しましま - この投稿者のレビュー一覧を見る
真田太平記なんだろうけど、忘れちゃいけない。真田ものの短編5作が収録されています。欲を言えば『獅子の眠り』も入れてほしかった。『錯乱』とセットで読みたいと思うのは私だけではないと思うんだが。
紙の本
真田信幸の苦労と忍耐、その後の松代藩を継いだ者たちの闘い
2010/01/31 18:58
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る
真田信幸時代3話『信濃大名記』『碁盤の首』『錯乱』、その後の松代藩2話『真田騒動』『この父その子』を描いた5編。
松代藩の礎を築いた真田信幸の苦労と忍耐、そして常に財政が厳しい状態を戦い抜く藩主と家臣たちの物語が生々しく描かれている。
『信濃大名記』
大阪夏の陣を前に、真田信幸はお通の助けで弟幸村と密会した。
大御所の首をとってみたいと純粋に言う幸村は、家康を追いつめるがるが、討ち死にした。
後日、お通から幸村の遺髪が届いた。
その密会を助けたお通に惹かれ、好意を寄せるようになった信幸とお通の話が中心となっている。
そしてそれだけではなく、密会を知りながら黙っていた家康、密かに幸村の遺髪を信幸に届けさせた家康の、信幸に対する信頼と情の深さも描かれており、兄弟が敵味方に別れて戦わなければいけない状況の中、全体的に心を温かくさせる内容となっている。
信幸に目をかけていた家康の死後、真田家が上田から松代へ国替えを申し渡される様子は、家康の思いとは対照的に描かれている。
『碁盤の首』
嫁入り前の百姓の娘を辱め、牢に入れられた真田家家臣馬場主水は、信幸の気持ちも知らず牢から脱走した。
幕府に訴え出た馬場主水だったが、信幸憎さからの想像だとして、幕府から追放される。
勝つことに対して異常な執念を燃やす馬場主水は、以前囲碁で負けていた囲碁仲間で、信幸の勘気に触れ蟄居中の小川治郎右衛門の所に現れた。
馬場主水が起こした騒動が中心となっているが、馬場主水を牢に入れた信幸の領主としての心構えと、囲碁仲間の小川治郎右衛門と馬場主水のラストシーンは見物。
この物語は少し形を変えて「真田太平記」に組み込まれている。
『錯乱』
堀平五郎は父同様、誰からも好かれ、藩主信幸の将棋の相手もし、勝っても負けても快い後味を残してくれるという好人物。
しかしそれは仮の姿で、平五郎は父から受け継いだ酒井雅楽頭の隠密という任務を負っていた。
やがて、松代藩藩主の信政が死ぬと、酒井雅楽頭は真田分家で婿の沼田藩主の信利になんとか松代藩を継がせようと動き出した。
この話は「獅子の眠り(黒幕に収録)」で描かれている、真田信幸と酒井雅楽頭の攻防の元になった密書を真田信幸が手に入れるまでを描いており、本書中一番楽しめた短編。
「獅子の眠り」同様、隠密を使った真田信幸と酒井雅楽頭との暗闘が見物であり、その暗闘の中心人物・堀平五郎や市兵衛などの隠密の働きが、物語に緊張を生みだしている。
結末がとても印象に残る作品。
『真田騒動 -恩田木工-』
幕府からの度重なる課役により、信幸時代に貯めた松代藩二十万両の財産は底を突き、四代信弘の代になると自らも厳しい倹約をせざるを得なくなった。
ところがその厳しい倹約生活に嫌気がさしていた五代信安は、やがて享楽に走り出し、信安が任じた者たちも次々と財政の専横を行い、自信の欲のために百姓に重税を課し、足軽たちの俸給は滞り、やがて百姓や足軽たちが反乱を起こした。
藩を継いだ幸弘は、専横を行った者の打倒に尽力した恩田木工を勝手掛に任じ、恩田は今度こそはという周囲の期待の中、財政改革に尽力する。
財政逼迫により狂ってしまった藩主や家臣と、それを立て直す期待を込められた恩田木工の奮闘の物語。
松代藩に生きる人々の苦しい思いが、生々しく描かれている。
『この父その子』
とにかく倹約に勤めている四代松代藩主信弘。明かりの油が切れても、習字の紙が切れても家来には言わず、とにかくいじらしい。
藩の財政顧問として陰ながら力を貸していた二代目三倉屋徳兵衛は、その頃藩の財政を取り仕切っていた田村半右衛門のせせこましい倹約を笑い、とても町人とは思えない堂々としたありさまで田村に意見し、殴り飛ばしすのだった。
藩の財政を助けた商人三倉屋徳兵衛父子の物語。
自身も倹約に努める信弘のいじらしさと、何とか殿を助けようとする留守居役駒井理右衛門と三倉屋徳兵衛の気持ちが心地よい。
紙の本
家臣の在り方を示す作品
2022/08/27 04:13
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る
池波さんの真田太平記が大好きで、昔、夢中になって読みましたが、その時から、次はこれを読もうと思いながら、手をつけられていなかったもの。信幸以後のいくつかの時代の真田家を取り上げた5つの短編集。冒頭の大坂夏の陣に臨む幸村と信幸の会合と別れのシーンは、真田好きには涙もの。そしてその信幸は、昌幸、幸村が世を去った中、家を一人守る孤独な様子が描かれていて、これも真田好きには感無量。そして標題作は、時は信幸から数えて、5代目藩主信安の時代、藩は貧困に喘ぎ、立て直しが急務な中、藩の執政たる者の身の処し方を示した作品。どれも好作品でした!
紙の本
泰平の時代における真田家と人々の生き様
2004/11/04 14:08
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:苦楽 - この投稿者のレビュー一覧を見る
真田、と聞いてまず思い出すのは、戦国時代の幕を下ろした大阪の陣で獅子奮迅の活躍をした幸村の名前ではないだろうか。歴史好きの人であれば、関ヶ原の合戦の際に秀忠軍三万を僅かな手勢で足止めした、その父親の昌幸や、信玄の下で二十四将の一人と謳われた祖父幸隆の名前が上がるかも知れない。
しかし、本書で描かれるのは、そのいずれもが亡くなった後、泰平の時代に入っての真田家であり、それを取り巻く人々の物語が五編の短編として綴られている。
幸村の兄、信之が父や弟と違う道を選んで徳川方に付いたため、真田家は幕末まで大名家として存続した。
しかし、泰平の世は決して極楽浄土などではなく、そこに生きる人々は戦国の世とはまた違った様々な苦悩や事件を乗り越え、あるいは何事かを諦め、耐えなければならなかったのである。
「信濃大名記」では、泰平の世になって強まる幕府からの締め付けと猜疑の目にともすれば滾る戦国武将としての血潮や一時の交流で心惹かれた女性への思いを抑えて、統治者としての大名へ生まれ変わろうとする信之の苦悩と決意が、「碁盤の首」では、太平の世の武士のあり方を理解できずに農家の娘を辱めて転落した馬場主水の姿が、「錯乱」では妻にすら告げられぬ、間者として真田家を見張るために人格者としての仮面を被って生きる堀平五郎の「切なくて、それは淋しい」生き様と真田家の家督相続に関わる問題が、そして、「真田騒動」と「その父この子」では、貨幣経済の発展の中で次第に暮らしが苦しくなる真田家とそこで起きた様々な事件が、それぞれ描かれている。
そこには、戦国時代の豪傑の胸がすくような活躍や苛烈な時代と裏腹の自由は存在しない。「碁盤の首」において戦功の多い馬場主水は己の過ち故に締まり所に幽閉され、「錯乱」では信之の長男である信政急死に伴う家督相続は老中筆頭の酒井忠世の陰謀の対象となり、「真田騒動」で描かれる堕落した執政の原八郎五郎を切ろうとする望月主米の決意は、義兄の恩田木工によって制止される。
しかし、同時に物語に描かれているのは守るべき生活や人々を支える人と人との繋がり、そして希望である。
信政急死に伴う相続問題ではそれまで隔意があった真田家中が一致団結して老いた信之を支えて最後の酒井との対決への決意を後押しし、「真田騒動」においては相次ぐ失政と浪費で味噌をつけ、財政が立ちゆかなくなった藩の改革を進めようとする恩田木工の理解者として、若い頃江戸での放蕩を共にした友人の駒井理右衛門、執政となった木工を時には窘め、時にはこっそりと寝酒を差し入れる妻のみつ、木工の趣味である耳掃除を受けて微笑む幾五郎と目に涙を溜めながら父親と同じ大根おろしのしぼり汁に醤油を垂らした辛いつけ汁の蕎麦を啜る亀次郎の二人の息子などが、木工の確かな支えとして、あるいは守るべき者の象徴として描かれている。
そして、失脚した原八郎五郎が自らの失敗を隠居生活の中で振り返る行から続くラストからは、人間として生きることに伴う失敗と、それに学ぶことができるという確かな希望を読み取ることが出来る。
本書に収められているのは名将の華々しい活躍を描いた物語ではないが、それ故にかえって生きることの悲しみと喜び──あるいは希望を読者に伝えてくれる作品である。