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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
生き抜くことのつらさ、切なさを感じさせ、そして死に臨む際に温かな思いに浸ることも可能であることを思わせる物語。生まれた者は必ず死ぬのだが、死を人生のゴールと考え、そこへ向かい一歩づつ確かな生きている日々を積み重ねる大切を示す地域医療医師の姿は、神々しい。しかしそんな彼にも、生きる上での重荷を引きづり、生きづらさを感じていたのは驚きだった。その生きづらさに負い目を感じて、医療過疎地域での医療に身を投じたのだが、医師の確保の難しさが生んだ現実だったのだろう。
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投稿者:ママさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
隠された秘密が繋がると言う要素もありますが、やはりなんといっても生き方、死に方の素敵さですね。
満天は満点なんですね。感動しました。
いろいろ考えさせられました
2024/02/13 15:37
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投稿者:再び本の虜に - この投稿者のレビュー一覧を見る
藤岡氏の2作目を読みまして。初めは何かイメージとは違ってヒロインの暮らし方というか考え方が専業主婦でずっと生きてきた私にはしんどい捉え方だなぁと思いました。でも読み進めるうちに医療小説っぽくなってきて、本筋はやはりこうこなくっちゃと勝手な思いが沸き上がってきたのでした。藤岡氏の作品は生命の終わりを扱っているのですが勿論悲しみもあるけれど、ただ悲しいだけではなくて何というか温かい心があるというか読後感が寂しくならないんです。それに加えて現在の地域医療やヤングケアラーや虐待など時事問題が盛り込まれていて社会を知ることが出来ました。ナンカとりとめのない感想になってしまいました。
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物語の舞台は、海が近くて星空も綺麗な医療過疎地域。
そこが故郷で逃げ帰ってきた奈緒と息子の涼介。そして地元の病院勤務の三上。3人が主な登場人物。
地域医療、訪問診療などが描かれてる中で、癌を患い人生の終わりが近づいている高齢の患者が登場する。
読みながら、けっして病院の多くない故郷を思い出し、また、癌で亡くなった父のことを思い出しました。
そして、これからの日本の医療の課題について語られているようにも感じました。
『満天のゴール』
ゴール=死ぬ日
自分の死ぬ日がゴールと言えるような人生がおくれたら、どんなに幸せだろうと思いました。
予定?では、まだまだ先のはずだから、それまで精一杯頑張ります。
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いつの間にか強く育っていた息子の涼介と共に、奈緒も踏ん切りをつけて、新しい生活に進んでいく。
奈緒の夫はいつかきっと痛い目に遭うだろう。
過去に大変な思いをした医師の三上、独居で頑張るトクさん、奈緒と三上の人生に深くかかわっていた早川さん。奈緒と涼介に関わる人達が、自分の辛さや痛みを優しさに変えていった人達だった。
死ぬことを『ゴール』という言葉に置き換えると、気持ちが楽になる。まさしくそうだなと思った。
頑張った日の数だけ星形のシールを貼り、その星がたくさんたまって、満天の星空ができたときにゴールする。病気で大変な思いをしているときに、そういう考え方ができたら、少しだけでも救われると思う。私も満天のゴールを目指して、頑張っていこう、と力をもらえた一冊だった。
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この本はスピリチュアルな感じはないのだけれど、心の繋がりは人が思う以上のものだと思わずにはいられない。
生きることは大変なことだけれど、救われることもたくさんあるし、救えることもあるのかもしれない。毎日、星のシールをもらえるように生きていこう、そして、満天の星空を見たい。
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生きる力がふつふつと湧いてくるような1冊だった。
シングルマザーになった奈緒は10歳の涼介を連れて故郷に戻り、資格を取ったきりになっていた看護師として働くことに。
医療過疎といわれる地域で年老いて病を抱えながらも自分の暮らしを続ける人々や、医師の三上との出会いから奈緒は様々なことを感じる。
人生の中には苦しいことや悲しいこともあるけれど、それでも精一杯生きるということ。
満天の星、満天のゴール。
私も誰かのために、自分のために胸を張って生きたいと思った。
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僻地医療、限界集落、かつて祖父母が生活していた離島を思い出しつつも、生活となりますと、都心で暮らす自分には想像もできない。
そういった世界で、主人公と息子、とあるお婆さん、一人の医師を中心とした、死生観を考える小説でした。
満点のゴール、素敵な考え方だと感じました。
途中で心に響いたのは、仕事を階段に喩えた一言。『上がるのをやめてしまったらそこからさきの景色は見えない』頑張ろう!
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ジイの第一人者に現役の看護師に、この時点で引き込まれる予感しかない。実際にそうなりました。出だしの弱い現実を受け入れられない社会に放り出された奈緒、浅はかな、どうしようもない人間の厚かましい旦那に愛人、愛人なのに立場が対等と抜かしやがる愛人ってあなたはただの愛人でしょうと一声かけてあげたい。まあ数年で同じ運命を辿るであろう、妻になったのが命とり、あーまた管を巻いたよう。三上先生の事ホント知らなかったんだ早川さん、でも最後にゴールが このゴールって石野先生が使っている言葉なのかな、死が怖くないと言わせる先生
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人はみんな一回しか死ねない。だから、後悔のない死に方を。そういう考え方で死を考えることで、今をよりよく生きることができると思った。
生と死を深く考えられるいいお話だった。
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初めて読んだ藤岡陽子さんの作品『手のひらの音符』にとても感銘を受け、他の作品も読もうと決めて手にしたのが本書『満天のゴール』です。
ブクログユーザーの皆さんの評価も高かったこともあり期待して読んだのですが、その期待値をラクラクと上回ってくれました。評価は当然☆5です。
また、(「小説」に限定したとして)私の死生観に大きな影響を与えてくれた作品として挙げられるのは、小川糸さんの『ライオンのおやつ』と本書ではないかと思います。
本書は、夫に裏切られた(不倫⇒不倫相手が妊娠⇒離婚を要求される)主人公「奈緒」が、十歳になる息子「涼介」を連れて、実家(京都の丹後地方)に帰る場面から始まります。
序盤、夫と不倫相手のあまりにも身勝手な言動に、読み進めるペースがダウンしそうになりました。加害者(夫と不倫相手)二人がかりで、被害者(奈緒)一人をとても納得できない理屈(どういう思考回路?)で責めているように感じたのが大きな要因でした。
とりわけ、7*ページ、不倫相手の電話での奈緒への言葉は、読むのが辛かったですね。そのような場面が何度かあって、ちょっとイライラし始めたところで、それまでの鬱憤を晴らしてくれる起死回生の一撃が、涼介(もう一人の被害者ですね)から放たれます。
奈緒の実家までやって来て離婚を迫る夫(父親)に、涼介が立ち向かいます!
「もう帰れよ!」
・・・
「あのさ、お父さんが家の外でなにやってんのか知んないけど、おれはお母さんのことが大好きなんだ。絶対に一生、それだけは変わらない。だから、お父さんがお母さんをいじめるのなら、そんな父親、おれはいらない」
・・・
「もう父親やめるんだろ?いいじゃんそれで。お母さんとおれ、ここで暮らすからさ」
・・・
「おれもう決めたから。じいちゃんの家でお母さんと一緒に暮らす。おれさ、もうお母さんの泣いてるとこ見たくないんだ」
・・・
「そういうことだから、バイバイ、お父さん」
妻には理不尽な言動をとっていた夫(父親)も、息子である涼介にここまで言われては引き下がるしかないですね。
尚、本書のタイトルである『満天のゴール』に込められたストーリーは、以上の経緯を経て奈緒と涼介が奈緒の実家で暮らすことになり、奈緒が地元の海生病院に看護師として勤務することから本格的に始まると言ってもいいでしょう。
奈緒・涼介母子と、
海生病院に勤める医師:三上(三十代前半・男性)
奈緒の実家近くに一人で暮らしている老婆:早川
三上の患者である老人:トクさん
を中心とした登場人物の過去から現在までの人間模様が、人生観と死生観を織り交ぜながら見事に描き出されており、とても感動しました。
また、藤岡さん自身が看護師である(現在も勤務されているのでしょうか?)ことから、医師・看護師・患者とその家族、病気・症状と処置に関する描写がとても詳細であることも、本書の評価に寄与しているのは間違いありません。
ところで、先に書いた本書のタイトル『満天のゴール』に込められれたストーリーとは?
については、やはり読んでい���だくしかありません。
『手のひらの音符』でもそうでしたが、読み進めながら作品のタイトルを改めて見ると、それだけで胸にこみ上げるものがありますね。
最後に、心に残った文章をいくつか抜粋します。
自分が一番自分らしく生きられる場所で生を終えるというのは、やはり幸せなことだろう。自分の死をゴールと捉えれば死ぬまでの時間、自分がなにをすべきかがわかるかもしれない。
「重くて辛くて、それでも手放せない過去を人は誰しも持っていますよ」
・・・
「でもその後悔が、生きる意味になることもありますよ」
「人は一生に一回しか死ねませんからね。たった一度の死だから、自分にとっても周りにとっても悔いのないものにしたい。誰もがそう考えるのは当たり前です。自分の死が周りを不幸にしてしまったら、浮かばれませんから」
*先月読了した、『最後に「ありがとう」と言えたなら』を思い出しました
人が人と関わり続ける限り、相手を想う気持ちが生まれる
「誰にも救ってもらえないのなら、あなたが救う人になればいい。救われないなら救いなさい。・・・」
自分の頑張りに星をくれる人がいる。それだけで人は生きられるのかもしれない。
*大好きな町田そのこさんの作品『波間に浮かぶイエロー:夜空に泳ぐチョコレートグ
ラミーに収録』のラストを思い出しました。
「知らないみたいだから教えてあげてるんです。たいていの母親はね、子供に救ってもらおうなんて、これっぽっちも思っていませんよ」
これからも、藤岡さんの作品を読み続けようと思います。
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藤岡陽子『満天のゴール』
2023年 小学館文庫
NHKで今週9/19と26にドラマ版が放送されるのを見て、映像を見る前にと、積読からこちらをセレクト。ドラマは3月にNHK 4Kドラマとして放送されたものの再編集版だそうです。
さて、本物語は僻地医療、医療過疎という現代社会の問題をベースにした様々な〝愛〟の物語。
生と死を誇張してドラマティックに演出するのではなく、身近なものとして見事に表現されてるため、素直に心に染み入ってきました。
「死は生きたことの証」
僕も満天のゴールを目指して日々を大切に歩んでいきたいと思いました。
感涙とともに何とも穏やかな読了感漂う、素晴らしい作品でした。
#藤岡陽子
#満天のゴール
#小学館文庫
#読了
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どん底の人生にどう生きるか迷い避けて実家に戻った奈緒
子供の頃の後悔に自らをせめ続けている三上医師
自分の人生を諦めてしまっている老人早川さん。
3人が出会い、お互いがお互いを少しづつ
温め合いながら、前に進んでいくその姿は
人生とは、生きるとは、後悔とはと
たくさん考えさせられました。
長い人生の中で出会いや別れを繰り返して
人は深い厚みのある人間になるのだろうと思います。
ですが、その道中は山あり谷ありで
苦しい事もたくさんあるのだと思います。
最後まで
人間味あふれるお話に感動と涙がとまらず
明日から私も頑張ろう。
毎日毎日を大切に過ごそうと思いました。
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藤岡陽子さんなら出羽の、死生観を描いた物語。死とは何か、ネガティブな要素だけではないんだなと感じた。満点のゴールという題名も、死に対する前向きな捉え方の一つである。ゴール、とても良い響きだなと感じた。
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シングルマザーの主人公とその4年生の息子涼介が過疎化する故郷に住む人達のゴールを見届けながら一歩一歩成長する物語ではあるものの、故郷を離れず満天のゴールを目指す人達の姿は穏やかながらも神聖ですらある。物語もグイグイと凄い力で引き込んでくる。
ここにも素晴らしい作家さんがいたんだと、とっておきのものを見つけた感がたまりません。