ラヴクラフト全集 みんなのレビュー
- H・P・ラヴクラフト, 大瀧啓裕, 宇野利泰 (訳), 大西尹明 (訳)
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
6 件中 1 件~ 6 件を表示 |
ラヴクラフト全集 1
2002/07/22 04:15
忌まわしきインスマウス
14人中、13人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トリフィド - この投稿者のレビュー一覧を見る
クトゥルー神話の始祖として知られる、20世紀の怪奇小説作家の大
御所H.P.ラヴクラフトの全集。これはその第1巻。ちなみに、第1巻
と第2巻は、当初『ラヴクラフト傑作選』として出されていたもの。
ゆえに粒揃いの作品が収められている。収録作品は以下の通り:
「インスマウスの影」
「壁の中の鼠」
「死体安置所にて」
「闇に囁くもの」
「インスマウスの影」—— 忌まわしき町インスマウスとそのおぞ
ましい住人たちを巡るこの物語は、クトゥルー神話体系の原点のひ
とつ。まぎれもない傑作であり、知っていないと仲間との会話にも
困る重要な作品である。
「闇に囁くもの」—— 洪水の際に発見された謎の生物の死体を巡
る論争から始まるこの物語は、枠組みだけを見ると完全にSFである。
しかしそれがラヴクラフトの手に掛かると、こんな恐怖譚になって
しまうのだ。曖昧に提示される間接的な情報や、登場人物たちの
もどかしい行動。それらは読者を苛立たせながら、いつのまにか読
者を完全に物語の中へと引きずりこむ。
ラヴクラフトに入門したいと思ったら、まずはこの全集に着手する
ことをおすすめしたい。そして、青心社の『クトゥルー』のシリー
ズに手を拡げるのだ。
ラヴクラフト全集 2
2002/07/22 04:17
クトゥルフの出現
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トリフィド - この投稿者のレビュー一覧を見る
クトゥルー神話の始祖として知られる、20世紀の怪奇小説作家の大
御所H.P.ラヴクラフトの全集の第2巻。収録作品は次の通り:
「クトゥルフの呼び声」
「エーリッヒ・ツァンの音楽」
「チャールズ・ウォードの奇怪な事件」
「クトゥルフの呼び声」—— この作品は、クトゥルー神話の最大
の原点といってよい大傑作。世界各地で起きた様々な奇怪な出来事
や数々の事実がひとつに結び付き、そして、恐るべきヴィジョンが
読者に提示される。良くできたストーリーであり、クトゥルー神話
大系の世界観が一挙に明らかにされる点で重要でもある。みごとな
作品だ。
「チャールズ・ウォードの奇怪な事件」—— 本書の大半を占める
長さで、これは事実上長篇である。自分の祖先である謎めいた魔術
師の探求から始まるこの物語は、精緻な構成の、読み応えのある作
品だ。歴史ロマンの雰囲気も色濃く、わたしが最も好きなラヴクラ
フト作品のひとつでもある。
「チャールズ・ウォードの奇怪な事件」は、しばらく前に『ヘルハ
ザード』というタイトルで映画化された。少々翻案されていたが、
なかなか良くできていたと思う。
ラヴクラフト全集 1
2019/04/26 15:18
話にはよく聞くけど
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:藤和 - この投稿者のレビュー一覧を見る
クトゥルフ神話というと、TRPGでご存じの方も多いと思う。
TRPG以外にも色々な作品に出てくるけれども、大本はこのあたり。
神話生物が直接的に出てくるという感じではないけれど、背後でちらちら見え隠れしているのが実に気味悪くてホラーらしい。
この本に収録されている3本目だけはクトゥルフ神話と関係ないのかな?という感じはするけど、どちらにせよぞわっとする話。
ホラーが好きな人は是非。
ラヴクラフト全集 3
2002/07/25 05:22
『アウトサイダー』その他の恐怖
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トリフィド - この投稿者のレビュー一覧を見る
クトゥルー神話の創始者であり、20世紀最後の怪奇小説作家である
H.P.ラヴクラフトの全集の第3巻。この巻から、編者/翻訳者は大瀧
啓裕氏に交替、より網羅的な構成になっている。この巻には、ラヴ
クラフトの創作の各時期を代表する作品を収録したとのこと。収録
作は以下の通りである:
「ダゴン」
「家の中の絵」
「無名都市」
「潜み棲む恐怖」
「アウトサイダー」
「戸口にあらわれたもの」
「闇をさまようもの」
「時間からの影」
「資料: 履歴書」
「アウトサイダー」——シュールなヴィジョンを見せる、不思議で
魅惑的なストーリーである。古めかしい文章もすばらしい。ポオの
影響も濃厚な異様な作品である。わたしは以前にもこの物語に接し
たことがあったらしく、作者もストーリーも忘れていたが、この物
語が見せる異様なヴィジョンだけは記憶していたという代物。なに
しろ夢に見てしまうのだ。まぎれもない傑作である。
「闇をさまようもの」——ロバート・ブロックと「殺し合い(^◇^;)」
をやったことで有名な作品。打ち捨てられた教会の探索、謎の宗教
団体「星の知慧派」、〈輝くトラペゾヘドロン〉など、幻惑的なシ
チュエーションや事物がすばらしく魅惑的。
「時間からの影」——クトゥルー神話大系の根幹をなす存在のひと
つである〈大いなる種族〉を巡る重要な作品。この地球の本当の姿
を概観する暗澹たる物語である。
ラヴクラフトが自らを語った「履歴書」と、大瀧氏による27ページ
に渡る巻末の作品解題もすばらしい。豊富な資料を収めた読み応え
のある内容の巻である。
ラヴクラフト全集 4
2017/11/22 21:24
今でもまったく陳腐さはない
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る
初見の作家さんです。
以前読んだ京極夏彦氏の「虚実妖怪百物語」でラヴクラフト氏のクトゥルフ神話が大きく取り上げられていて興味を持ちました。
私自身は俗に言う「怖がり」ですので映画や読み物でも怪奇とかホラーは苦手なのですがラヴクラフト氏とクトゥルフ神話に関しては好奇心が恐怖心に優ったということでしょうか。
この巻では
「宇宙からの色」
The Colour out of Space
「眠りの壁の彼方」
Beyond the Wall of Sleep
「故アーサー・ジャーミンとその家系に関する事実」
Facts Concerning the Late Arthur Jermyn and His Family
「冷気」
Cool Air
「彼方より」
From Beyond
「ピックマンのモデル」
Pickman's Model
「狂気の山脈にて」
At the Mountains of Madness
の7編の小説と
「怪奇小説の執筆」
Notes on Writing Weird Fiction
というエッセイから構成されています。
どの作品もとても魅力的で滅茶苦茶面白かったです。
特に「狂気の山脈にて」傑作ではないでしょうか。
短編・中編にも関わらずどの作品もびっしりと言葉が詰め込まれているような感じで、読み進めるごとになんとも言えない緊張感・不安感と同時に期待感が募り没頭してしまいました。
ほぼ100年前の作品ですが、陳腐さは微塵も感じられず魅了されます。
ジャンルとしては怪奇小説に分類されているようですが、私はある種のSFのようにも思いました。
こうなるとこの全集は別巻も含めると9巻にもなるのですが、必ずや全巻を揃えて読み通したくて仕方なくなりました。
ラヴクラフト全集 4
2002/07/25 05:24
南極の恐怖
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トリフィド - この投稿者のレビュー一覧を見る
クトゥルー神話の主にして20世紀最後の怪奇小説作家、H.P.ラヴク
ラフトの全集第4巻。この巻は、科学に比重の置かれた作品を中心
に構成したとのこと。以下の作品が収められている:
「宇宙からの色」
「眠りの壁の彼方」
「故アーサー・ジャーミンとその家系に関する事実」
「冷気」
「彼方より」
「ピックマンのモデル」
「狂気の山脈にて」
「資料: 怪奇小説の執筆について」
「宇宙からの色」——とある農場の庭に落下した隕石が引き起こす
怪異を描いた作品。完全なSFといっても良いほどツボにはまった作
品だ。
「狂気の山脈にて」——この巻の2/3を占める、短めの長篇といっ
て良い大作。南極大陸を訪れたミスカトニック大学調査隊は、その
奥地に巨大な山脈を発見する。さらにその麓の洞窟から、異様な形
態の生物の化石を発掘。そして恐怖が調査隊を襲う……
クトゥルー神話の重要な要素である超種族〈古のもの〉が登場する
重要な作品。「時間からの影」とならんで、地球の真の歴史を物語
る、神話大系の総括的な内容の物語である。緻密に構成されたストー
リー展開から、終盤にかけてのテンションの盛り上がりまで、読者
を物語に引きずり込まずにはおかない、まぎれもない傑作である。
わたしが最も好きなラヴクラフト作品である。ちなみに、これも完
全にSFと云って良い作品だ。
ラヴクラフトが自分の創作の手法を語った「怪奇小説の執筆につい
て」は、ラヴクラフトの創作への姿勢や怪奇小説に関する考えが窺
えて興味深い。豊富なデータを収めた巻末の作品解題も読み応えが
ある。特に「狂気の山脈にて」の執筆メモなど、たいへん興味深い
資料である。
6 件中 1 件~ 6 件を表示 |