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山田風太郎忍法帖 みんなのレビュー

  • 山田風太郎 (著)
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みんなのレビュー8件

みんなの評価3.9

評価内訳

  • 星 5 (5件)
  • 星 4 (2件)
  • 星 3 (0件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
15 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本甲賀忍法帖

2009/04/01 23:46

風太郎ワールド未体験のあなたに

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:東の風 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 特異な技を持った伊賀組、甲賀組それぞれの十人衆が、トーナメント勝負のような死闘を展開していくストーリー。一読、あまりの面白さに呆然とさせられ、しばらくの間、山田風太郎の作品をあれこれと、むさぼるように読んでいきました。

 忍者それぞれの技が、実にユニークで奇奇怪怪、驚きに満ちていること。まるで妖怪変化の如き忍者たちの、尋常でない勝負の行方の意外性。「こいつはやるんじゃないか」と注目していた忍者が、ひとり、またひとりと消えていくスリリングな面白さ。
 傑作ぞろいの風太郎忍法帖のなかでも、キャラの無類の魅力と、ぎゅっと凝縮された話のスピーディーな展開にわくわくさせられたことでは、これが一番! 続いて、『柳生忍法帖』『柳生十兵衛死す』『魔界転生』あたり、首までずっぽり浸かって読みふけったものでした。これから読む方が、本当にうらやましい。

 本作品をマンガにして描いたせがわまさきの『バジリスク 甲賀忍法帖』(単行本・全5巻)もいいですよ。おすすめ☆

 ちなみに、山田風太郎作品のマイ・ベスト5は、『妖異金瓶梅』『甲賀忍法帖』『明治断頭台』『おんな牢秘抄』『夜よりほかに聴くものもなし』。風太郎ワールドの、問答無用の面白さ。読書の至福のひとときに、きっとわくわくさせられますよ。

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紙の本魔界転生 下

2012/10/08 01:03

奇々怪々

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yjisan - この投稿者のレビュー一覧を見る

小西行長の家臣だった森宗意軒は由比正雪、紀伊藩主徳川頼宣と手を結んで、江戸幕府転覆を企む。森宗意軒は、自らが編み出した忍法「魔界転生」によって、剣豪たちを黄泉返らせる。島原の乱の天草四郎時貞、鍵屋の辻の決闘の荒木又右衛門、居合の田宮坊太郎、宝蔵院流槍術の宝蔵院胤舜、尾張柳生流の柳生如雲斎、江戸柳生流の柳生宗矩、宮本武蔵ら名だたる剣豪たちが転生した。魔界から転生した彼等は強靱な肉体と引き替えに人の心を失い、闘うことのみに楽しみを見出す悪鬼と化した。そして彼等の野望を挫くべく、この時代と世代を越えた剣豪オールキャストに立ち向かうことを決意したのが、我らが柳生十兵衛であった・・・


山田風太郎の物語世界は奇想天外で奔放な想像力に充ち満ちている。あまりにも荒唐無稽で現実離れした舞台なのに、そこで演じられる活劇は妙に生々しく、不思議な迫力を備えている。それは緻密な「ゲームのルール」をはじめとする筋書きの巧さも勿論だが、人物がしっかり描かれているというのが最大の要因だろう。いかに突飛な設定であっても、漫画的な超人が次々と登場しようとも、常人の想像の域を超えた戦闘が展開されようとも、人間の欲と情が徹底的に描き込まれていれば、それは現実社会に取材した風俗小説よりも遙かに「リアル」なのである。これぞまさに虚実皮膜。

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紙の本甲賀忍法帖

2004/01/18 20:04

日本版X-MEN!

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:藝霧 - この投稿者のレビュー一覧を見る

毛を操れたり、ゴムみたいに身体が伸びたり、血を自在に出せたりと、様々な忍術をもつ甲賀と伊賀の忍者が戦うこの作品は、日本版X-MENという言葉が一番あっている。映画化したら、恐らくとてつもなく楽しい作品になるであろう。

少年誌的な戦いの描写や内容がとても面白く、エンターテイメント小説として何回でも楽しめる。事実、私は何年経とうと何回でも読み返している。面白すぎてあまり多くは語れないのだが、文学的な奥深さは皆無ということだけはハッキリしておきたい。

文学的な奥深さは確かに無いのだが、そんなことはどうでも良い、といわせるほどの圧倒的パワーを秘めている。
少年誌を読んでいる少年や、読んでいた元少年には是非読んで欲しい。


ちなみに山田風太郎忍法帖シリーズでは甲賀が一番だと思う。

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紙の本柳生忍法帖 下

2002/01/25 10:51

柳生十兵衛ファン必読

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Lady - この投稿者のレビュー一覧を見る

 二十年くらいむかし、何度も何度もくりかえして読みました。まさかこんな傑作が絶版になるとは思っていなかった、というよりも、山田風太郎作品が読めなくなる時代がくるとは考えてもみなかったので、角川文庫から山田風太郎の本がごっそり消えた時には、ショックでした。この作品は特にお気に入りだったので、昔から持っている本はもうぼろぼろです。表紙が天野画伯の美しい絵になったのをきっかけに、こちらのバージョンを買いなおして読み返したのですが、まったく古さを感じさせない、自由奔放なスーパー時代劇で、一気に読んでしまいました。何度読んでもあきることがありません。上下巻で長い作品ですが、長ければ長いほど嬉しい、というタイプの本です。ラスト一行の十兵衛のセリフが、永遠の余韻を残します。初めて読む人ばかりでなく、既読の人にもひさしぶりに読みなおすのにおすすめです。

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紙の本柳生忍法帖 上

2002/03/04 18:45

ご存知柳生十兵衛女人を助くの巻

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:がんりょ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 文句無く面白い。
 剣の達人柳生十兵衛が、夫や父を無常に殺された敵討ちの助太刀をするという話を聞くと良くある話である。敵の相手が例よって人間とは思えない技(髪の毛を自由に操れたり、動物と話ができたり)を持っているし、敵の殿様はサイコだし、とにかくハチャメチャなのである。あらすじを書くと荒唐無稽にしかならない話をグングン読む進めさせられてしまうのは、山風恐るべしというしかない。恐らく緩急の微妙な具合を心得ているからではないか、とんでもない技を使った活劇の次のページでは、歴史的な背景の記述で興奮をクールダウンさせてくれる。背景の話をしていると安心していると、いつのまにか次の活劇の世界に取り込まれているのだ。

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紙の本忍法八犬伝

2020/09/24 20:51

山風版八犬伝

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:honto好き - この投稿者のレビュー一覧を見る

「忠孝悌仁義礼智信」の八顆の珠が「淫戯乱盗狂惑悦弄」にすり替えられた。里見家取り潰しを防ぐため、服部半蔵率いる八人のくノ一に八犬士の子孫が挑む。が、そもそも八つの徳目にうんざりしていた八犬士たちは、忍法修行をしていた卍谷を抜け出し、江戸で自由気ままに過ごしていた。そんな彼らは里見家のためではなく、聖女のような村雨の御方のために命がけでくノ一たちに挑んでいく。ご先祖様と正反対の性格で、忍者としては半人前の八犬士たちが活躍する山風版八犬伝。

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紙の本魔界転生 上

2015/08/12 07:37

これぞ山風!

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ひろにゃご - この投稿者のレビュー一覧を見る

過去に数度劇場映画化されたこともある”山風”作品。
現在は、せがわまさき先生によるコミカライズも進行中である。
本作の主人公は時代劇好きなら知る人ぞ知る柳生十兵衛三厳。
謎の怪老人「森宗意軒」と彼が率いる魔人(当代の剣豪を忍法に
より転生せしめたもの)による国家転覆計画に、隻眼の剣豪
柳生十兵衛が立ち向かう。

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紙の本魔界転生 上

2001/11/17 17:49

ああ,山田風太郎よ永遠なれ。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Snake Hole - この投稿者のレビュー一覧を見る

 世の中には,まだそれを読んでいない,これからその本を読むというヤツがねたましくなるような本がある。山田風太郎「魔界転生」はそのひとつ。
 私が初めて読んだのはもう20年以上前であり,以降4,5年ごとに読み返す。そして読み返すごとに,この本の中身を何も知らないでこれから読むことができるヤツはなんと幸せであろう,と思うのである。
 酸鼻を極める島原の乱終結の時,魔道士森宗意軒の妖術にて転生する天草四郎,続くは荒木又右衛門,柳生但馬守,宝蔵院胤旬舜,そして剣鬼宮本武蔵……,彼等を操っての陰謀にひとり立ち向かうは柳生十兵衛!
 深作欣二の映画も浦田保則のアニメも白井政一のリメイクも石川賢の漫画も面白さにおいて,この原作の半分にも達していない。ああ,山田風太郎よ永遠なれ。

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紙の本魔界転生 上

2001/07/31 18:17

奇想の極み

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かぜ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 数多い忍法帖シリーズ中でも最高作の呼び声が高い。旧題は「おぼろ忍法帖」。宮本武蔵をはじめ、名高い剣士が復活し、幕府転覆を企む。柳生十兵衛の破天荒な魅力も素晴らしい。

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紙の本江戸忍法帖

2010/09/16 12:34

乙女の友情物語

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:BH惺 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 最近また新たに忍法帖シリーズが刊行されたと聞き、読みたくなった1冊。
 個人的には5本の指に入るくらい好きな作品ですが、作者の山田風太郎は「少年小説みたい」という理由であまりお好みではなかったようで。

 時代物にありがちな、世を忍ぶ将軍のご落胤である主人公と可憐な乙女二人が大活躍する話。
 敵は自らの保身と野望のために躍起になって悠太郎を抹殺しようとする柳沢吉保と雇われた7人の忍者達。
 対する味方は序盤で早くも殺され、唯一残るはお縫という少女。

 普段はおっとり型・草食系男子の悠太郎だけれど、お縫の弟、幼い丹吉が敵の忍者に殺されたと知るや、俄然復讐の鬼と化す。
 その悠太郎とお縫の復讐劇に吉保の養女鮎姫が絡み、切なく美しい三角関係が主軸となって話は展開。

 この小説の成功のカギは何と言っても鮎姫というキャラクターに尽きる。美しく傲慢で我儘で勝気な姫がひょんなことで悠太郎に拉致され、一目惚れ。
 悠太郎の正体を知り、養父がその彼を抹殺しようとしている陰謀を知って、愛に目覚めた姫は自分が何をすべきなのか次第に理解するようになる。

 悠太郎を巡って対立していたお縫と鮎姫。育った環境も性格も正反対の2人だけれど、お互いを知るにつれて憎しみは同情と変わり、最後には友情へと変わってゆく。そして互いの窮地に身体を張って救出に向かう姿が、潔くてカッコいい。
 読み方を少し変えて、女同士の友情を描いた作品として読むのもまた一興。

 読んでいていつも思うことだけれど、山田風太郎の忍者物は女性キャラの活かし方がもの凄く巧い。大抵の時代小説において女性は単なるお飾りや添え物にすぎないのだけれど、こと山田忍法帖に限っては違う。今作のように主人公を喰ってしまうことが多々あるし。

 物語終盤、お縫と鮎姫の純粋な友情に悠太郎は心打たれ、それが勇猛果敢に敵陣へ乗り込む原動力となる。そして悠太郎への愛を知り、お縫との友情を知った鮎姫の、養父の恐るべき悪事をも断罪しようとする決死の覚悟に感動せずにはいられない。

 この作品、個人的には鮎姫とお縫の友情物語だと思っている。ゆえに、主人公である悠太郎は少しばかり影薄いけれど。

 が、しかし、山田忍法帖としては珍しくハッピーエンドで爽やかな読後感。大トリには「控えおろう~」の、あの水戸黄門サマもご登場。笑いをとる場面か~コレは? と思いつつもきっちりと締めてくれるのでした。
 作者サマ、お見事。

  BIBLIO HOLICより

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紙の本魔界転生 上

2003/05/26 02:23

アニメ・マンガ・ゲームと風太郎

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:コウヘイ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ワイドショーで『魔界転生』が映画化されるのを知ったのであるが、そこでは窪塚の主演と深作の旧作にばかりスポットが当てられていて悲しかった。俄か風太郎ファンの私が言うのもなんだが、せめて浅田次郎程度には、風太郎についても紹介してほしいものである。
 不遇の作家・山田風太郎だが(こんな物差しを使うのもなんですけど、高校の国語便覧には載ってない。『戦中派不戦日記』、立川文庫の流れを汲む「忍法帳」、「くノ一」イメージ…どれも日本文学にとって重要でないのだろうか?)、『魔界転生』が日本の(広義の)物語空間に与えた影響ってのは小さくないと思う。ちょっと若い人に身近な所を掘り起こして見よう。
 言わずもがなのことかもしれないが、まず、ゲームの『魔人転生』って影響受けてるだろう(笑)。天草四郎が妖術使いの悪役でラスボスってのは、映画版が直接的な影響を持ってるんだろうが、まぁ風太郎の手柄。だからゲームの「侍スピリッツ」は、強豪剣士の対決という意味も併せて、かなり風太郎的であろう。
 アニメ脚本家会川昇は確か「風太郎ファンがアニメ業界に多い」云々のことを朝日新聞に書いていたのを私は見たことがある(記憶違いかもしれないが)。大体彼の参加したアニメ『ヒヲウ戦記』って、風太郎の臭いがする。坂本竜馬≒(原作版)柳生十兵衛=飄々とした朴念仁キャラ、という見立てはそれほど大外れでもあるまい。あと桜田門外の変で井伊直弼が「カラクリ」を使って暗殺された(笑)っていうのも又、風太郎忍法の奇想に通じる(石子賢リメイクの方が直接的影響力ありか?)。こういうキャラ、ハッタリの仕方ってアニメやマンガによく見られるものだ。
 とりあえず、重苦しく暗い文学とは違うので、若い人にこそ読んで欲しい。いい意味で「マンガ的≒大衆文化的」なので、風太郎が角川ファンタジー文庫読者層を奪ってくれたらいいなぁと思う。

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紙の本魔界転生 上

2003/01/05 15:41

忍法魔界転生!甦った7名の魔剣士&幕府転覆を狙う黒幕。対する柳生十兵衛&柳生十人衆。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:uwasano - この投稿者のレビュー一覧を見る

 島原の乱(1637年)の首謀者である妖軍師・森宗意軒は、西洋黒魔術と忍術を融合させ、忍法魔界転生をあみ出した。生に対する執着心の強烈な者が死ぬ時、女体を使って甦らせるというものだ。これにより蘇生したのが転生衆で、天草四郎・荒木又右衛門・田宮坊太郎・宮本武蔵・柳生但馬守宗矩・宝蔵院胤舜・柳生如雲斎の七名である。彼らは由比正雪と組み、紀伊大納言徳川頼宣を御輿としてかつぎ、幕府転覆を計る。陰謀に気付いた柳生但馬守宗矩の長男・柳生十兵衛三厳は、柳生十人衆とともに魔剣士達と戦う…
 白土三平や横山光輝の忍者漫画や、小池一夫原作の時代漫画では、「忍術には科学的根拠が必要」という思想に貫かれていた。柳田理科雄氏が著作でつっこむような、細かく見ると駄目なシーンは多々あるのだろうが、おおむね科学的根拠を土台とした忍術だった。ところが、この小説の「忍法魔界転生」はどうか? 黒魔術と融合することで、何でもありになっている。すべては、柳生十兵衛と魔剣士達との戦いを描くため、科学を無視したという感じだ。そしてそれは大成功だった。奇抜な魔界転生のシーンなど、ヌメヌメした感じが「エイリアン」等のSF映画の原点になっているのでは? と言えるほどよく出来ている。
 物語の主軸である黒幕による幕府転覆の野望もいい。現実の由比正雪の乱(慶安事件)も、紀州徳川家と偽って江戸城に潜入し奪取する計画があったらしいので、黒幕に紀伊大納言徳川頼宣がいても筋が通る。紀州家は、この後、八代将軍吉宗、一四代将軍家茂と、将軍を出しているわけだから、頼宣が将軍を目指しても全くおかしくない。上巻で十兵衛がその名前を出した老中・松平伊豆守信綱が、下巻で本当に頼宣の前に出張ってくる展開もすぐれている。幕閣を揺るがす大事件という展開が興奮する。私の好きな怪獣映画でよく出てくる「怪獣の存在に対応する日本政府首脳」に通じるものがある。
 講談社文庫下巻の日下三蔵氏による解説「忍法帖雑学講座6」でこの作品の漫画化・映画化作品の紹介がある。ここに掲載されていないもので、とみ新蔵氏による漫画『魔界転生』(リイド社)があり、これはかなり原作に忠実であった。 とみ新蔵作品には、柳生如雲斎の息子が活躍する漫画『柳生連也武芸帖』(リイド社)もある。
 また、1981年の深作欣二監督の映画はお馴染みだが、2003年、平山秀幸監督により再映画化される。深作映画を超えるのは難しいだろうが、楽しみではある。

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紙の本江戸忍法帖

2001/11/07 09:33

美女が4人も出て来るわりには……

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Snake Hole - この投稿者のレビュー一覧を見る

 風太郎忍法帖は20年ほど前に角川書店が (確か「魔界転生」の映画キャンペーンの一環だと思うが) 復刻した時にかなり買い込んで読んだつもりでいたのだが,考えてみれば当時ワタシは時給600円に満たない雀ボーイの酔っぱらいだったので,「かなり」のたかが知れていた。この「江戸忍法帖」は読んだ覚えがなかった。
 筋立てはこうだ,徳川四代将軍家綱は,世継ぎの男子を設けることなくこの世を去り,弟綱吉に将軍職を譲った。ところがこれは表向き,実は家綱の世嗣を身ごもりながらその権謀術数渦巻く大奥を逃れた女人一人あり,時を経てこの男子葵悠太郎が江戸に出現する。綱吉の寵愛めでたい大老柳沢吉保はそれを知り,甲賀七忍と呼ばれる必殺の暗殺団を差し向ける……。
 解説で日下三蔵氏が述べているところによれば,風太郎翁この作品を「なんだか少年小説みたいで,B級にも入れていない」と語ってたそうなのだが,話はなかなかどうして良くできている。
 女忍者一人を含め,美女が4人も出て来るわりには得意の閨房に関わる忍術が出て来ないどころかマトモなセックス・シーンの一つもないのが,おそらくは「少年小説」たるゆえんだろうが,天下の将軍の座にも無頓着な主人公が女色に限って貪欲ではヘンだろうし (実人生においてはママいるタイプだけどね) ,まぁその点はこんなもんではなかろうか。

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紙の本忍法関ケ原

2008/09/20 19:34

「・・・これだっ」

9人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:しろうるり - この投稿者のレビュー一覧を見る

山田風太郎の「忍法帖シリーズ」の一つである短編集。僕の見たところ、作中に登場する忍法、歴史に題材を取ったストーリーは確かに面白い。しかし、登場する忍法は性的であったり、グロテスクであったり、又は両者が合わさったようなものもあり、想像すると気分が悪くなるものもある。
ストーリーも、多くは悲劇的な結末となっている。以上の様な理由から、僕はこの作品を万人には薦めたくない。(特に「忍法聖千姫」の終盤を)食事中に読むこともお薦めしない。

僕が見たところ、この巻で特に面白い話の一つが「忍法小塚原」。江戸時代の処刑場の一つ「小塚原」を舞台に、ある術を施された人々の姿を通して、人生観、人間観が語られる。(施術に使われる薬、施術方法は例によって気味が悪い。)

又、特に面白い話として「忍法甲州路」が挙げられる。相手を眠らせる術を使う三人の護衛を倒すため、三人の刺客がそれぞれ新剣法を編み出す、という話。新剣法を閃く契機、閃いた新剣法の理論、最後の意外な結末など、この巻で一番笑えた話だった。

「忍法帖シリーズ」を初めて読む人には『甲賀忍法帖』を、悲劇的な結末を好まない人には『柳生忍法帖 上』『柳生忍法帖 下』をお薦めしたい。

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紙の本くノ一忍法帖

2001/08/25 00:17

エロティックくの一(女忍者)大活躍

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:山田岳 - この投稿者のレビュー一覧を見る

大阪城落城前夜、真田幸村がもちだした最後の秘策は、真田の女忍者「くの一」5人に豊臣秀頼のタネをはらませ、生まれてきた男の子を千姫の庇護のもとで育てるというもの。
徳川VS豊臣の戦いのなかで翻弄されてきた悲劇の女性、千姫は、それを承諾するほど、家康憎しでこりかたまっていた。
はたして、大阪城からたすけだされた千姫には5人の女房が。
この計画を察知した家康は、くの一抹殺のために5人の精鋭伊賀忍者をおくりこむ。
かくして真田くの一VS伊賀忍者の血で血をあらう戦いがはじまった。
しかし、この伊賀忍者、女には目がないというか、ただ殺してしまうのはもったいない、生きているうちにくの一のからだを味わってから片付けたいというスケベぞろい。

そこに真田くの一のつけいる隙があった。
伊賀忍者が、女の秘液をぬりたくることでその女になりすます、忍法「くの一化粧」でのりこむと、真田くの一は、忍法「天女貝」で伊賀忍者をくわえこみ、死んでもはなさない。
エロティックで荒唐無稽な忍法合戦。

相手の影にまきびしを投げつけると、影の持ち主が釘づけになってしまう伊賀忍法「百夜ぐるま」は、相手の武器の影がのびると自分が危ないというおまぬけぶりが笑える。
真田くの一たちの捨て身の忍法のまえには、さすがの精鋭伊賀忍者もなかなか手が出ない。
そこへ、燃えさかる大阪城から千姫を救いだし、彼女をわがものとしたい坂崎出羽守の横槍がはいり、大阪夏の陣の復讐に燃える長曾我部盛親の妻、丸橋が怪力と鎖鎌でからみ、徳川頼宣は父に反抗して千姫をたすけようとする。徳川家はもう大混乱。

一つひとつは短編でも、全体を通してひとつの長編小説になる手法は、当時の出版界の要請で山田風太郎があみだした、忍法「短編長編化の術」。
女をあらわす隠語「くの一」を、女忍者のイメージに固定してしまったのも、『くの一忍法帖』シリーズの功績でした。合掌。

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