白狐魔記 みんなのレビュー
- 作:斉藤洋, 絵:高畠純
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
15 件中 1 件~ 15 件を表示 |
洛中の火
2007/04/03 19:43
日本人にとって武士道こそ文化、っていう刷り込みがあります。要するに江戸、明治と引き継がれた殺人の歴史を正当化する権力者の発想。で、白狐はそれをあっさり否定します
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
大好きなシリーズ第三弾です。出版が2000年で、手元にあるのが2006年で5刷。子どもが順調に育っているのを見ているようで嬉しいですね。装釘・挿絵は、今まで同様に高畠純。前巻で、章の数は扱う時間の長さと対応するか、なんて書きましたが、それはこの巻には当て嵌まらない全24章。
カバー折り返しの内容紹介は
「白駒山の仙人の弟子となり、修行ののち、
人間に化けることができるようになった狐、
白狐魔丸の人間探求の物語。
元の襲来時に、天の「気」をうごかし
嵐をおこした白狐魔丸。
こんどの活躍は、五十一年後、
時は室町時代初期。
楠木正成という武将と出会う。」
巻末には、前巻同様この巻を含めた年表がついていて、話の流れだけでなく、日本史の一部がとてもよく分るのが有難いです。ちなみに、白狐魔丸が今回、目覚めたのは、後醍醐天皇が隠岐の島に流された1332年で、お話はそれから、楠正成が亡くなる1336年の4年間を扱います。
主な登場人物は、前巻でも登場した吉野の雅姫と、彼女(狐ですが)が愛した北條時輔に似た心根の持ち主・越後守、六波羅北探題の北條仲時、楠正成と彼を慕うしのび大和十蔵が大きいです。そして欲に取り憑かれた後醍醐帝と、人の尻馬に乗ってあわよくば権力を握ろうとする大塔宮などがいます。
三巻を続けて読んで思ったんですが、これはいわゆるビルドゥングス・ロマンではないようです。何故かといえば、白狐魔丸は最初からかなり完成した存在なんですね。無論、人語を聞き分られるだけだった狐は、自らも人語を話し、姿も動物から人間までとあらゆるものに変わることができるようになる。
物を消すことも、再び現すこともできるし、人の心を操るだけではなく、その人格を乗っ取ることすら可能になります。そういう意味で、技術者としては成長をしています。でも、彼の心のうちは殆ど変わりません。人が殺しあうことへの嫌悪、疑問は一貫していますし、自分が知らないうちに大きな力を発揮してしまっては後悔するところも同じでしょう。
大嫌いな武士のなかに、とても魅力的なところを見つけはしますが、彼らが部下たちの犠牲によって生き延びることを許すことはありません。忠義のために死んでいく親しくなった武士たちに涙をすることはあっても、彼らが尊い命を捧げたものにそれだけの価値があるとは決して思いません。それは最初から一貫しています。
ただし、奇麗事だけではすみません。怒りに駆られ思わず自らの手を血で汚してしまう。もし、成長ということを当て嵌めるのならば、この部分。でも、狐が本当にこころを休めるのは白駒山に戻って、彼と同じ心根の持ち主である仙人のもとで弟子として修行しているときなのです。
今までよくあった「武士は偉い」「皇室は敬うべきもの」といった根拠のないことがらに拠るのではなく、白紙の状態から人間とは何か、命の尊さ、日々の暮らしの大切さを語ることで平和の尊さを教える稀有の物語といっていいでしょう。日本にある桃源郷、それが白駒山以外にないとしたら、それは寂しいことではあるんですが・・・
源平の風
2007/03/24 17:54
知りませんでした、こんなに面白いシリーズがあったとは。これだから児童書というのは馬鹿にできません。ついでに日本史のおさらい・・・
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
1996年に初版が出版されたもので、私の手元にある本には2006年9月9刷とあります。で、この本ですが、デザイン的には古いっていう感を拭えません。ま、偕成社の社風みたいなところもあるんでしょう、外見はある意味、野暮といってもいいくらいです。なんていうか戦前からあるんじゃないか、って言いたくなるようなありふれたものなんです。しかもそこに描かれる武将の姿。で、タイトルが『源平の風』ですよ、源平。
前にも書いたと思うんですが、義経が嫌いです。ついでに書いちゃえば、聖徳太子が嫌いで、勿論、秀吉も嫌い、明治天皇や帝国軍人は反吐が出るくらい厭。でも『白狐魔記』っていうのが、何だか気になるし・・・とまあ、半信半疑で読み始めたんです。
ちなみに、装釘・挿絵は高畠 純だそうです。装釘です、装幀でも装丁でもない「釘」の一字の威力。ちなみに本の後に、このシリーズ全体の案内が出ていますので、写しておきましょう。
「人間の生きざまに興味を示した一匹のキツネが、仙人のもとで修行、数かずの術と共に不老不死と人間に化ける術も習得。白狐魔丸という仙人ギツネとして生まれかわる。このキツネが、日本史上の大きな事件や英雄たちと遭遇し、人間がなぜ人間同士殺しあうのかという疑問の答えを探し、時を旅する大河タイムファンタジー。」
だそうです。白狐魔丸は「しろこままる」と読み、作品中に出てくる白駒山(しろこまさん)に因んだもので、小説のなかでは12章の「名」というところに経緯が書かれています。
時代は、源平時代、義経のひよどり越え、あるいは都落ちが出てきますので1184〜1189年でしょうか。で、タイトルからガチガチに源平の話、特に義経のことが書かれているのかと思っていたのですが、これが全く違います。むしろ、主人公とすれ違う、そういった形でしか触れられることがありません。予想以上に少ないその場面が実に効果的です。
前後しますが、内容に入りましょう。
主人公のキツネは、歳は不明ですがまだ若く、親からひとりだちしたばかり、同じときに生まれた一匹の兄弟のことを思いながら、あての無い旅をしています。人間のことばも、話すことこそできませんが、聞けばその大体の意味は理解できるようになっています。そして、或る時、僧侶が子どもたちと、人間を化かすことのできるきつねについて話しているのを聞いてしまいます。
「白駒山に住む仙人のもとで、きつねは修行するのじゃ。それはそれはつらい修行じゃ。死ぬぎりぎりまで物を食べなかったり、冬に滝にうたれたり、気をうしなうまで、木からさかさづりになったりして、長いあいだ修行をつみ、やっと神通力がつくのじゃ」
化けることができるキツネとはどういうものか、白駒山とはどういったところなのか、仙人とはどのような人間なのか、興味を抱いた主人公は、自分の名前の由来となる白駒山に向かうのです。そう、これはまさに正統的ビルドゥングス・ロマンです。しかも、歴史を前面に出さず、飄々とした仙人との会話を通じて、生きていること、その対極にある死というものについて、それを生み出す人間関係というものを問い掛ける素晴らしい話です。
正直、舌を巻いた、といっていいでしょう。嫌いだった義経が、なんとも好ましい人間に見えてくるのです。この天邪鬼である私が、コロッと参ってしまう。日本のファンタジー史上ベストの一冊ではないか、私はそう思い、ファンタジー好きの高一次女に「斉藤洋って知ってる?『ルドルフとイッパイアッテナ』っていう作品を書いている人らしいんだけど」と聞いてみました。
「えーっ、私、大好きだったんだ、イッパイアッテナっていうのはね」と話はいつまでも続きます。知らなかったのは私だけ。でも、こういった驚きは嬉しいです。私が知らない傑作がまだまだ沢山ある、そう思うだけで人生が明るくなってきます。
戦国の雲
2007/04/21 18:13
先が見えましたね。次は明治維新か日清日露戦争、そして締めくくりは日本が未だに悔い改めようとしない第二次大戦でしょう。完結まであと五年かな・・・
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
私のお気に入りのシリーズですが、日本史上もっとも好きな男がiいよいよ登場します。そう、織田信長。彼の手で朝廷が消える姿を見たかった、というのは私だけでしょうか。そうすれば、日本は自分の罪を認めようとしない卑劣な国として、アジアの国々から非難されつづけることもなかったかも・・・
装釘・挿絵は、今まで通り高畠純で、デザインのレトロな感じも相変わらず。ま、十年後でも古びないということは間違いありません。カバー折り返しの案内文は
「白駒山の仙人の弟子となり、修行ののち、
人間に化けることができるようにになった狐、
白狐魔丸の人間探求の物語。
南北朝の動乱から、時はくだって戦国時代。
十五代つづいた足利幕府をついに滅ぼし、
天下統一に名のりをあげたのは、
少しまえまで白狐魔丸が名もしらなかった、
織田信長という男だった。」
構成は全30章。1〜3まで出ていた白狐魔記『源平の風』『蒙古の波』『洛中の火』に続く第4巻で、1巻と2巻のあいだに85年、2巻と3巻のあいだに51年の時代を経ていますが、今回はそれから230年以上が経っています。具体的に言えば、1336年に眠りについた白狐が目覚めたのが1573年ですから237年の長い睡眠をとったことになります。
ま、その間、眠りつづけていたかというと偶に眼を覚ましては、天竺に行くといって消えてしまった仙人が帰ってきていないか確かめたり、世の中の様子を見に都に上がるなどしてはいますが、基本的には眠っている。だから世の中の動きについて殆ど知りません。
ただ、時々起きては仙人の言っていた「白駒山が見える範囲での殺生はならぬ」という教えを守るため、人間たちが山の周囲での狩などをすることを邪魔だけはしてきました。今では、この山の近辺で白狐のことを知らないものはない、そういってもいい。ところが、その地で平気でウサギを殺そうと銃を構えるものがいました。
それが不動丸という15歳の少年です。彼はこのシリーズにかつて登場した佐藤忠信、市谷小平太、大和十蔵に似た役割を果たします。そして源義経、北条時輔、楠正成にあたるのが、織田信長になります。ということは、吉野の狐・雅姫も信長の側にいることになります。
ただし、今まで登場した忠信、小平太、十蔵は、己の主人である義経、時輔、正成に最後まで忠誠を誓いますが、不動丸にとっての信長は、師の仇として登場します。彼は、遺体としてしか登場しない師に報いようとします。生きている人間に自分を捧げてきた今までの好漢とは、そこが違いますが、印象的には不動丸と信長は佐藤忠信と源義経を思わせます。
この巻が始る1573年は信長が将軍義昭を追放し室町幕府が滅びた年で、幕を閉じるのは、勿論、本能寺の変の年1582年ですから、9年間で不動丸は24歳になります。視点はいままでと変わりません。そういう意味で、白狐の成長は亀の歩みの如く遅い。でも、一種の諦念はあるものの、少しづつ変わっていきます。多分、この次は第二次大戦を描くことになるんでしょうが、そこで戦争礼賛、自主憲法なんて豹変しないことを祈るのみ。
蒙古の波
2007/04/07 20:54
これって、もしかして小野不由美『十二国記』に匹敵する?思わずうなってしまう人間、いや暴力を日ジョウトする武士に対する視線のストレートなこと・・・
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
『源平の風』に続く第二弾で、前巻があまりに面白かったので続きを読むことにしました。この本は最初に出たのが1998年で、手元にあるのは2006年に7刷とあります。各巻年1刷のペースで増刷しているので、成功したシリーズといえるでしょう。高畠純の手になる挿絵、装釘は共通しているので、これ、といって目を惹くものではありませんが、ご老人の懐旧の念を掻き立てるには十分なもの。
ただしこのお話、外見は古臭くても、内容は恐ろしいほどに進歩的です。その核にあるのが主人公である狐・白狐魔丸の武士に対する見方で、これは未だに日本文化が拠って立つものは武士道であると勘違いしたまま、それを子々孫々に刷り込もうと躍起なご老人、自民党、官僚、或は文化人と称するスノッブには、到底受け入れられないもの、といっていいでしょう。
巻末に年表が載っているので、そこから書けば、前巻が1184年、ひよどり越えをする直前の義経に出会い、1185年、義経の逃亡を助けて、白駒山に眠る2年間を扱ったのに対し、この巻はそれから85年後、1271年、蒙古が「元」と改めた年から1281年の弘安の役を終えて再び白駒山に戻って眠るまで10年を扱います。構成も、前巻が2年・12章に対し、この巻では10年を20章で描いています。
カバーの紹介を補っておけば、白狐魔丸は仙人の勧めで京の都の出ます。そこで六波羅探題南方の北条時輔の郎党・市谷小平太を助けたことから、時輔の食客となり、時輔・時宗の骨肉相食む争いに巻き込まれることになります。そこで出会ったのが吉野の狐・雅姫でした。
ここでも白狐魔丸は愛すべき友人を失います。その小平太から頼まれたのが、友人である竹崎季長に、自身が描いた絵を届けることでした。二年以上の歳月をかけ、季長を探して日本中を旅した白狐が最後に辿り着いたのが九州です。その地にひたひたと迫るのは元の船団。
人が殺しあうのを見たくない、人間の、特に武士の身勝手な価値観に人々の平穏な生活を壊させたくない、と思う白狐魔丸、仙人、或は日蓮は・・・
個人的には、日蓮を起こした奇跡を描いた部分に引っ掛かりを覚えはしました。武士もですが僧侶の独善的な行動も民を結果的には苦しめる、私はそう思っているので、このまま日蓮礼賛になったら、読むのやめようかと思ったのです。それは杞憂でした。狐の視線は、そして斉藤の筆はそれ以上日蓮に向かうことはありません。
それはいいのですが、もっと描かれるべき北條時輔、雅姫の物語も途中で消えてしまいます。そのかわり、重みを増すのが京都で出会い白駒山にも現れた妖狼ブルテ・チョノです。彼が見せようとするもの、それが後半を盛り上げていきます。私などには噴飯物の説ですが、この手の話は子どもには受けるのでしょう、高一の次女などはそれを聞いただけで、この本を読みたい、と騒ぐ始末です。
怒りのままに思わぬ殺生をしてしまった仙人と白狐魔丸の心の動きは、まさに師弟そのものです。累々たる死人の山、荒廃した都を前に己の力の至らなさを知りうなだれる二人。敗戦後の焦土となった日本を見て、心から悲しみを覚えた帝国軍人が何人いたか、彼らが沖縄の人々に、朝鮮から強制連行した人々に何をしたか。結局、彼らは武士と同じ、殺人者の集団でしかなかった。
もっと書いて欲しい、もっと読みたい、そう思わせる物語です。古代テーマの日本製ファンタジーの多くが結局は根拠のない皇室礼賛の罠に陥り、無批判に武士を偉いとするのに対し、なんと斉藤の筆は自由なのでしょう。それだけでも立派です。小野不由美『十二国記』と並んで、今後とも書き継がれ、読み継がれていくべき児童文学の枠を越えた作品と言っていいでしょう。
源平の風
2006/12/31 21:16
歴史の傍観人としての狐の目線。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Yumikoit - この投稿者のレビュー一覧を見る
人間臭いことを考えるきつねである。
ニンゲンの言葉を聞き、ニンゲンの社会に興味を持つ。
そして、「きつねというものは修行すると化けられるものらしい」ということを知り、仙人の元へ尋ねていく。
孫悟空とは違って、生真面目で、良識?あふれるきつねだ。
人間に化けられるようになった狐が、興味を持ったのは、義経だった。
歴史の傍観人としてのきつね。
けっこう好きだなぁ。
元禄の雪
2017/07/03 21:04
『元禄の雪 白狐魔記6』
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
白駒山の仙人から化身の術をさずかったきつねの白狐魔丸
島原の乱で天草四郎時貞の最期を見届けてからおよそ六十年
ときは元禄、生類憐れみの令が布かれている時代
はじめて江戸に入り江戸城に出入りするうちに
浅野内匠頭の殿中刃傷沙汰にかかわることになる
読んでいるうちに歴史が好きになる1996年からの人気長寿シリーズ
既刊6冊の第6作は2012年初版
シリーズスタートから21年
前作刊行から5年がたち続刊が待たれるところ
天草の霧
2017/07/01 21:44
『天草の霧 白狐魔記5』
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
白駒山の仙人から化身の術をさずかったきつねの白狐魔丸
織田信長の最期にたちあってから白駒山に戻って数十年
徳川三代家光の治世に九州は島原で切支丹の反乱にかかわることになる
一揆を率いる若者天草四郎時貞、対する幕府軍総大将は板倉重昌
重昌を思う狐の雅姫と重昌に仕える南蛮堂煙之丞
圧制への反抗と信仰と主君の仇討ちと
たがいに殺しあう人間を見つめる白狐魔丸の物語
読んでいるうちに歴史が好きになる1996年からの人気長寿シリーズ
既刊6冊の第5作は2010年初版
戦国の雲
2017/06/03 20:54
『戦国の雲 白狐魔記4』
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
白駒山の仙人から化身の術をさずかったきつねの白狐魔丸
足利十五代の盛衰を見たのち
「天下布武」に決意をこめた織田信長に出会う
ひとりの人間にかかわると
多くの人間の死を目にすることになってしまうが
信長を仇とねらう鉄砲の名手不動丸の行方も気になる
織田勢がとりかこむ一向宗の拠点にのりこんだ白狐魔丸が見たものは
読んでいるうちに歴史が好きになる1996年からの人気長寿シリーズ
既刊6冊の第4作は2006年初版
洛中の火
2017/04/27 19:38
『洛中の火 白狐魔記3』
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
白駒山の仙人から化身の術をさずかったきつねの白狐魔丸
元寇の時代から約五十年の眠りにつき
目ざめて出会ったのは楠木正成に仕える十蔵という武士だった
執権北条高時に対する後醍醐天皇、護良親王、足利尊氏
覇を競って戦い殺しあう人間の姿を見つめる白狐魔丸
人間に興味をもったきつねの目を通して描く斉藤洋の歴史奇譚
読んでいるうちに歴史に詳しくなる1996年からの人気長寿シリーズ
既刊6冊の第3作は2000年初版
蒙古の波
2017/04/10 21:59
『蒙古の波 白狐魔記2』
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
白駒山の仙人に出会い化身の術をさずかったきつねの白狐魔丸
源義経とその家来たちと別れてから眠りつづけて八十五年
目ざめたのは北条時宗が執権となっていた時代だった
京の五条大橋で助けた武士にかかわったことから
元の大軍と対峙する武士団にいた竹崎季長と出会い...
人間に興味をもったきつねの目を通して描く斉藤洋の歴史奇譚
1996年からの人気長寿シリーズ、既刊6冊の第2作は1998年初版
源平の風
2017/02/06 19:14
『白狐魔記 源平の風』
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
白駒山の仙人に出会い化身の術をさずかったきつねの白狐魔丸
ふるさとに帰る途上で出会ったのは
兄頼朝に追われ山中を逃げる源義経の一行八人だった
義経の窮地にかつてのの恩義から白狐魔丸はある決断をする
人間に興味をもったきつねの目を通して描く斉藤洋の歴史奇譚
1996年初版、既刊6冊の長寿シリーズ第1作
天草の霧
2010/09/04 22:24
天草四郎ファンの私としては、このストーリーはあんまり好きじゃありません、南蛮堂煙之丞は好きだけど。でもねえ、私としては『ルーディーボール エピソード1 シュタードの伯爵』の続きが読みたいぞ!
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
私が斉藤洋の作品に初めて出会ったのが、この『白狐魔記』でした。そのころ中学生だった次女に、これ面白いよ、と差し出すと、あっさり「この人、『ルドルフとイッパイアッテナ』書いた人だよ、知らなかったの」と斬り返されてしまいました。『源平の風 白狐魔記』が1996年、『蒙古の波 白狐魔記』が1998年、『洛中の火 白狐魔記』が2000年の出版で、いつ終わったといっても違和感のない作品ですから、ここで終わったと思っていました。
ところが、今まで二年に一冊だったペースを大きく狂わして2006年に『白狐魔記 戦国の雲』が出ました。正直、予想していなかったのですが、戦国時代と白狐魔記というのは、当然過ぎる組み合わせではありました。で、これを読んで私は「これでようやくこのシリーズも終わった」と思いました。なぜかといえば、日本国内の大きな争いは、明治維新で終わり、日清・日露、そして満州事変から第二次大戦という対外戦争が残るだけだからです。
どうも、このお話に幕末の動乱は似合わない、だからこれで終わり、そう思いました。それから四年、私の予想を覆してシリーズ新刊が出版されました。しかも、扱われるのが明治維新ではなくて、島原の乱、いやはや、渋いところを狙ってきたものです。そんなことを思ってよく利用する近所の市立図書館の司書さんに話たところ「あら、みーちゃんさん、だって前の巻だって終わっていなかったでしょ、続きが出て当然ですよ」と次女のようにバッサリ。
気付かないのは私だけなのでしょうか・・・。で、今回は島原の乱、天草四郎時貞が扱われますが、最近の世の中の風潮とはちょっと違い、四郎に対してかなり厳しい評価が下されます。これは意外でした。今までの巻では、よく知らない北條時輔はともかく、源義経、楠木正成、織田信長は、私たちがよく知る昔ながらの男たちであったわけです。でも、四郎については容赦なくバッサリ、そんな感じです。
装釘・挿絵は、おなじみの高畠 純、カバー折り返しの案内は
*
白駒山の仙人の弟子となり、修行ののち、
人間に化けることができるようになった狐、
白狐魔丸の人間探求の物語。
江戸に幕府がひらかれ三十余年。
九州島原で、飢饉や重税、そして
信仰の弾圧に苦しむ農民が一斉蜂起した。
一揆の大将は不思議な術と眼力をもつ若者。
名を天草四郎時貞という。
*
となっていて、物語全体は全32章からなります。
主人公は、白狐魔丸。白駒山の仙人のもとで化身を修業した狐です。今まで、源義経、北条時輔、楠木正成、織田信長、豊臣秀吉といった武将たちと時代を隔てて出遭ってきています。源平時代が1184年で、島原の乱が1637年ですから、450年以上の時が経っています。で、その間に彼? は体憑依、感憑依、魂憑依という三憑依のうち、体、感の二つを自在に操るようになっています。
これらの技を白狐魔丸に教えたのが、白駒山の仙人ですが、狐を弟子にし、白狐魔丸と名付け、術を教えたところまではいいのですが、そのまま気ままに旅をし日本にいることは少なく、このお話では360年ぶりに天竺から帰ってくることになっています。450年のうちの360年、弟子をほっぽっておくのですから、何だ、なんて思います。でも、白狐魔丸は仙人が留守の間、白駒山で無駄な殺生が起きないよう猟師たちの活動を妨げていました。
で、今回、特筆すべきキャラが登場しました。今まで、このお話に笑いを取るような人物が姿を見せることは少なかったのですが、今回は違います。それが南蛮堂煙之丞です。なんだか名前を見ただけで、こっけいです。彼は、たばこ、たばこ道具を商う男で、仙術を習いに白駒山の仙人のもとを訪れ、留守を守っていた白狐魔丸を仙人と思い込み、弟子入りを希望する、ここらは落語のような雰囲気です。
そして、勿論、雅姫も姿を見せます。彼女は、吉野の狐で、白狐魔丸とは360年以上前、文永九年に、北条時輔の屋敷で出会っています。雅姫は時輔が好きで忘れられず、その後も時輔に似た風情の平家顔の武将に好意を抱きます。小桜と名乗って、織田信長のところに出入りしていたこともあり、気性のはげしいのは許せるが、荒いのは嫌いといます。白狐魔丸の首を傾げる仕草などが狐丸出しだと言ってからかうなど、明るく妖艶な存在です。
彼らが島原の乱のなかで、天草四郎時貞や、人を見れば殺したくなる武士・宮本武蔵とどう絡んでいくのか。今回は、白駒山の仙人もかなり活躍します。四郎は救世主なのか、それとも人々を誑かす悪魔の生まれ変わりなのか、あなた自身の目で確かめてください。で、この流れからいくと、次は幕末篇となって、白狐魔丸が坂本竜馬と出会う、出版は2012年頃。なわけは、ないか・・・
それより、私としては『ルーディーボール エピソード1 シュタードの伯爵』の続きが読みたいぞ!
蒙古の波
2005/02/16 17:18
より強くなった
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:江川あおい - この投稿者のレビュー一覧を見る
白孤魔丸という、人間に変化できる狐の話、第2弾。目覚めたら元寇の時代。前回より術が強くなったのは、やはり白ちゃんが大好きな「修行」のおかげでしょうか?(笑) 何度もしつこいようですが、歴史小説苦手の人もスムーズに読み進むことができる作品だと思います。
洛中の火
2005/01/10 18:51
シリーズ全て集めたくなった
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:江川あおい - この投稿者のレビュー一覧を見る
白駒山で修行し、化身することができるようになった「白孤魔丸」が主人公のシリーズ。今回は足利幕府へと移り変わるとき、という時代設定。歴史小説は苦手な私だが、この話に出てくる人は有名人ばかりで(笑)拒否反応もなく読み進むことができた。シリーズ4冊あるようなので、ぜひ全て読破したい。
源平の風
2002/06/27 00:52
半人前きつねの冒険
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さくらまち - この投稿者のレビュー一覧を見る
母きつねのもとを旅立ったばかりのきつねが、人間に化ける術を身につけ、兄頼朝に追われ落ちのびてゆく源義経と出会う…
義経と兄頼朝の争いは、縄張り争いでしかないと言いきってみたり、戦いをうまく避けるのが大将のつとめだと考えたり、歴史上のお客様としての視点のきつねの率直過ぎるほどの言葉の数々はまさに目からうろこ。失ってしまった何かを取り戻せるかも。
15 件中 1 件~ 15 件を表示 |