紙の本
いい意味で教科書的なオススメ本
2023/02/07 12:36
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投稿者:はまのなまけ - この投稿者のレビュー一覧を見る
新書の役割であった、学問への入門書の役割を十分に満たしていて満足感の高い一冊だった。
身近な出来事の導入、テーマに関した学説のまとめ、さらに深掘りするためのブックガイドが、テーマごとに並んでいる。
読後に、日常生活を眺める解像度が上がった気持ちがしたし、紹介されて気になった本をほしい本リストに追加した。
妖怪あたりから民俗学に興味をもったひとにも(そういう話題はないのだけれど)読んでみて損はないと感じてもらえるのではないだろうか。
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非常にラフな内容・本当に岩波新書?
2022/03/04 10:35
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投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトル通り、民俗学はどういう視点で物事を考える学問なのかを、実例を用いて著者が分かりやすく説明している1冊です。
著者の個性なのか、書かれている内容が非常にラフです。これをテーマに学問をするのか、と驚く事例もありました。
「本当にこれで岩波新書なの?」と思わざるを得ない1冊です。でも、面白く読みやすいです。
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幅広い研究対象
2022/11/15 10:45
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投稿者:かずさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
民俗学といえば柳田国男、民俗資料、伝承が考え付くが、その研究対象は幅が広く社会学の範疇と思うものも含まれている。著者は民俗学の入門書が柳田国男の弟子達が書いたものから進んでないことを憂い、あえてこの本を書いたと。内容も衣食住・生産交通交易・地縁血縁社縁と多岐に渡っている。構成も学術的定義から一歩進んだ場合の推薦図書、コラムと堅苦しさはない。興味のある部分から読んでみても良いと思う。
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民俗学の入門書
2022/11/01 23:18
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投稿者:あ - この投稿者のレビュー一覧を見る
新しい形式の民俗学の入門書。具体例が豊富でわかりやすい。ただし、学問的な概論書ではないので、読むと入門書とは少し違う感じがするかもしれない。
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民俗学 ッて 何?
2022/10/29 14:12
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投稿者:安堵 玲 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ともあれ、「民俗学」とは何ぞや。本書「終章」と「あとがき」にヒントがある。ただヒントだけ。
ともあれ、「民俗学」なのだから柳田国男の名が多く登場する。とくに終章にあるような方言周圏論は、民俗学の「ユニーク」さのひとつだと思うが。
ともあれ、今和二郎の考現学的発想を深めても面白かったと思うのだが。
ともあれ、第一章 アナトミー、第二章 ストラテジー およびところどころ単語のあとのアルファベットは、民俗学用語か?
ともあれ、各章末にある「民俗調査」(アンケート)は興味深い。
ともあれ、「民俗学入門」とは何ぞや。
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民俗学の本は対象に関して書かれることが多い様に見受けられる。が、この本は民俗学の骨組みについて繰り返し書かれている。そこがこの本の特徴ではないか。
終章の「私(たち)が資料である」という言葉に膝を打つ。
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民俗学の本は僕から見て、遠くの話から近めの話まで色々あるようだ。この本も面白かった。もしかしたら世代の感覚があるのかもしれない。はっきりわけないにしても、80年代以前を知っているかどうかは違いがありそうな気がする。民俗学のことを考えると世代間断裂は、わたしたちのいたところを失ってしまうのではと心配になる。これから生きる人たちに、あったかもしれない人生を想像することも知ってほしい。画面上で名詞を共通するなかまが集まることばかりが過去未来の共有ではないし、むしろ名詞[識別]付けで自分を規定してアバター化することから脱するために。この世は平坦なときをぬっていくものではないと、民俗学の入門で感じられると思った。勉強も現実もアナログで、勝手に動いている。
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かの有名な柳田國男が、その礎を築き上げた学問である。
本書は、衣・食・住・働く・運ぶ・取り替える(交換する)という、極めて現代人的な、「営み」を背骨として、平易な言葉と、広範にわたる実例を元に「民俗学」を解説した入門書である。
筆者のプロフィール欄に、身長186センチと記されているのは、不思議に思うが、北海道出身の中年の大男が、関西で四苦八苦しながらも、民俗学を教えてきた集大成がここにある。
筆者は冒頭で「民俗学とは、人々の「せつなさ」と「しょうもなさ」に寄り添う学問ではないかと思っている。《中略》「せつなさ」とは、人々がそれぞれ生きる時代や地域や状況のなかで、ひたむきに忍耐と工夫を重ね、一生懸命に「日々の暮らし」を営んでいることへの感嘆と賛辞である。その一方、そうした人々が、しばしば心無い差別や抑圧や暴力の被害者となり、逆に加害者となり、あるいは無責任な傍観者となる。そして、その過ちに学ぶところなく、あるいは、学んでもすぐに忘れてしまい、また同じ過ちを繰り返す。そういった人々が抱え込む「しょうもなさ」も残念なことに認めざるをえない私たちの世界の一面である。(i頁より引用)」と述べる。
それこそ、今現在、世界を揺るがしているプーチン大統領によるウクライナ侵攻はまさに、「歴史に学ぶことなく、あるいは忘れた帰結として」起こっているといえる。
そんな人間社会を生きることは、迷いや不安、恐怖に溢れたものであると同時に、喜びや感動、そして希望も多分に含んだものだと思う。
そうであればこそ、「私たち一人一人のささやかな生きざまそのもの」を「資料」=「研究材料」とする民俗学の入り口に立ってみることは非常に有益である。
本書を読むことで、普段何気なく見たり聞いたり味わったりしていることから、驚くほど深淵な世界が垣間見える。
さて、ここで大学について感心する記述が後半にあったので、やや唐突な感はあるものの、引用しておきたい。「役に立つ研究を志すことが間違いとはいわないが、役に立たない研究が必ずしも悪いわけでもない。そういった役に立つ/立たないという区分を一旦棚上げして、事実と論理の前に跪いてみる。そうやって、森羅万象(universe)に対する普遍的な(universal)知識を生産し、公開し、更新し、蓄積する。そのことを通じて、結果的に一定の確率で「役に立つ知識」を提供することが、「制度」としての「大学university」ないし学問の存在意義であると筆者は思っている。(220~221頁より引用)」
という記述だが、「世の中にある多くの物事」もそうであると改めて思わされる。
一見、なんの意味も持たないような経験が、たちどころに思い出され、思いがけない出会いや解決策に繋がった経験が皆さんにも私にもあると思う。
何事にも、効率やスピードが要請される現代であればこそ、本書のように「答えの出ない議論を、答えはありませんが、興味深いですよね?」と馬鹿正直な姿勢で我々に語りかけてくれる本は、なおのこと価値を帯びる。
帯にもあるように、答えをくれる本ではないが、きっと皆さんの期待を裏切らないと思う。オススメする。
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入門書としてももちろんですが、ブックガイドとしてもありがたい一冊でした。
あれも知りたい、これも読みたい…と誘われます。
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「新書」というモノは、或る分野の研究等や関係事項に関して、或る程度一般読者に判り易いように、適当な分量に纏めて示すという性質が在ると思う。そういうことなので「新書」という存在自体が「入門」という性格を帯びるかもしれない。本書は題名そのものに「入門」を冠している。
本書を読んでみて「大学の少し大きな教室での講義」を拝聴しているような気分になった。大学講師を務めている著者の声や話し口調を知る訳ではないのだが、読んでいて「声音が聞こえるような…」という気もした。時に淡々と、時に少し力が入り、時には笑ってしまうような、そういう空気感が在った。
実際、本書は著者が大学で担当している講義の内容を整理して、読むための本に仕上げているということのようである。読んでみての感じたことは間違ってはいなかった訳だ。
「“民俗学”って何?」という扉を開いてみて、更に在る多数の扉を指し示すような感だ。民俗学の研究で論じるような事柄、「くらし」、「なりわい」、「つながり」というような人々の営為を考える扉の鍵になり得る話題を提示しているというのが本書であると思った。
“民俗学”というのは「成果を挙げている営為」から「失敗を繰り返してしまうような営為」に至るまで、人の在り様「そのもの」を論じてみようとするようなモノなのかもしれない。
それは「過去から積み上げられた何か」を追うことにもなろう。が、「記録」を紐解く「歴史学」、「発掘されたモノ」を分析する「考古学」とは少し違う。そこには「人々の記憶」とか、「記録」や「発掘されたモノ」とは一味違うかもしれない、「人々の営為が在った何らかの証」を探ってみようとする活動が入り込むのだと見受けられる。
そういうような事柄に関して、著者御自身の想い出のような手近な所から、よく在りそうな、多くの人が想起し易い何かを引き合いに、実に巧みに語っているのが本書だと思う。
「つながり」という部分の終盤に、「現在」の論点が示されていた。所謂「ネット社会」というような状況で、最近20年程の様子が巧く纏められていたと思う。(この部分を分冊にするか、少し加筆しても、非常に面白いモノになるような気がした。)
結局、“民俗学”が見詰めようとする「人々の営為」そのものは、遥かな大昔から延々と現在に至り、未来へと続く。それに寄り添ってみようとするのが“民俗学”だと思った。だから昔の何かの慣行の変遷のようなことから、近年のネット社会の変遷のようなことに至るまで、何でも論じられるという側面も在る“民俗学”だと思った。
そして面白いのは“民俗学”が「人々の営為」そのものを見詰めようとする以上、「私の人生」もまた「資料?」になり得るのかもしれないという話しだ。何も、少し先の時代に自身の遺した何かが資料になるというような妙な事は意識する必然性が低いとは思う。が、「後世に誰かが注目するかもしれない、自身が生きた証を…」という程度に時々思い出すのも悪くはないと、本書を読みながら思っていた。
本書は、色々な物事を考えて行く上でのヒントのようなモノを多々与えてくれていると思う。
扱う事柄が多岐に亘る“民俗学”というような事柄に関して「入門書」ということにでもなれば、複数の筆者が綴った様々な論点の文章を集めたモノになる傾向が在るのかもしれない。対して本書は「単著入門書」という方式だ。自身としては、このスタイルで好いと思う。本当に、時に淡々と、時に少し力が入り、時には笑ってしまうような「教室で語る講師の話しに見入を傾ける」という感で、少しだけ力が入りながら熱心に読了出来たのだから。
一寸愉しいので広く御薦めしたい。
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民俗学というと「柳田國男」的な伝統的な田舎の農村地帯での風習や祭事、口承の類いをイメージしてしまうが、そういう曖昧でざっくりとしたイメージしか持たない人向けに書かれた、21世紀の現在における「民俗学」とはどのような学問であるのかを解説してくれる「民俗学」の入門書。新書ということもあり大変読みやすく判りやすくコンパクト。「私(たち)が資料である」とあるように、人里離れた山中の村に古くから伝わる怪しい言い伝えといった「妖怪ハンター」や「宗像教授」的な世界だけではない今現在の自分たちの日常や生活と直に繋がっている学問としての「民俗学」を教えてくれる。
各章ごとに学生に対して行ったアンケート結果の取りまとめと関連書籍のブックガイドが付されているのも良い。
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民俗学は「普通の人々」の「日々の暮らし」が、なぜ現在の姿になったのか、その来歴の解明を目的とした学問、と定義した上で、幅広いジャンルにわたり説明がなされる。旧来の民俗学イメージは1章がカバー範囲という印象であったのだが、2章ではブラック企業やGAFA,3章では夫婦別姓・同性婚やSNSまで話が展開するので、これはもう社会科学の領域ではないかとさえ思えてくる。それだけ学問領域というのは線引きが難しく、民俗学の学際性のあらわれだとも言えるのだが、民俗学がこのようなポジションであるのは、著者の言う「私(たち)が資料である」というコペルニクス転回による必然的な結果であるとも言えるのかもしれない。
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まさに入門書として、一般読者が「民俗学とはなんぞや」を知るのにとても有益な1冊だと思いました。
人々の日常の風景から社会の変化や歴史が見えてくるという民俗学の面白さが伝わってきます。ブックガイドに掲載されている本も読んでみたいと思いました。
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近代化において形が変化しつつも、日本のなかでいきづいているものもあれば、崩壊していってるものもある
昔がよかったのか
今がいいのか
この本に紹介されいる本は目を通したい
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序論で少し「難しい話なのかな」となってしまったが、各論でわかりやすさ、身近さを感じるにつけこれは面白い…と。最後にもう一度序論の内容を読み直すと、すっと頭に入ってきた。
とにかくレンジの広い学問で、その辺にあるもの全てが対象となり、特に普通の人々の暮らしの変遷を追いかけるという性質上、隣接する学問分野も多岐にわたっている。各章のブックガイドも人類学から歴史学から社会学、建築、経済史、政治などなどさまざまなジャンルの本が紹介されている。なので楽しそうな学問だな、と思うと同時に概論としてまとめるのにとんでもない労力がかかるぞ…と勝手に慄いている。